概要
フレーム
駆動位置
発電機能
走行距離
走行速度
動力補助割合
電動機
蓄電池
充電
車輪サイズ
変速機
前照灯
二酸化炭素排出量
騒音
総質量
電動自転車
メーカー
概要
電動補助自転車はバッテリー(蓄電池)でモータ(電動機)を回して、人力を補助する自転車で1994年に最初に市販された。メーカーによっては、電動アシスト自転車、電動ハイブリッド自転車または単に電動自転車と呼んでいる。電動自転車という呼び名は電動機で自走する自転車(ペダル付きの原動機付き自転車、後記)と紛らわしい。
自転車はシティサイクルを基本にしている。漕ぐ力(具体的にはトルク)と速度をセンサーで検知して、モータ出力を制御し、人力を補助する。補助なので自走はしない。モーターの動力だけで走ると運転免許がいるが、補助だと免許は不要。原動機付き自転車に該当しないので、ヘルメット無しで歩道も走ることができる。自転車の範疇に入るので、自転車保険の対象となる。
いつも坂道を走る人や風の強い地域の人に役立つ。坂道を楽々と上ることができ、向かい風に対しても軽く走ることが出来る。変速機の付いたものもある。蓄電池(二次電池とも言われる)搭載位置は、前輪上(買い物かご下)、ペダル上(サドル下)及び後輪上(荷物台下)などがある。電池が切れた時は普通の自転車として人力のみで走ることが出来るが、ペダル漕ぎは重くなる。間接的に、CO2を排出するという問題がある。
参考: 自転車の種類
フレーム
電動補助自転車のフレームは、U型又はスタガード型となっている。スポーツタイプのものは、菱形フレームとなっている。
U型
上管(トップチューブ)をなくし、スカートをはいた女性でも、フレームの下管(ダウンチューブ)を跨いで乗り降りしやすいように、下管をU字形にしたフレーム。上管がない分の強度を確保するために、下管は太くなっている。
スタガード型
上管(トップチューブ)は頭管の上部と立管(シートチューブ)の中間部あるいはそれより下と結び、上管の高さを低くしている。女性などが上管をまたいで乗れるようにしたもの。スタガーは、食い違い、千鳥配置またはジグザグ配置などの意味。
折りたたみ型
折りたたみの出来る折りたたみ電動補助自転車。
駆動車輪
駆動車輪で分類すると、後輪駆動および両輪駆動がある。
- 後輪駆動
- ペダル部にモーターが付いている。
- 1) 変速機は内装変速機が使われる。外装変速機は取り付けできない。
- 両輪駆動
- 前輪はモーターで駆動し、後輪はシティ車と同じようにペダルの人力で駆動する。
- 1) 雪道も滑りにくい。
- 2) 走行の安定性がある。
- 3) 高価。
- 4) 内装変速機又は外装変速機が取付け可能。
- クランク長
- 車輪径に対応したクランク長を表1に示す(メーカーはあいうえお順)。
- クランク長は脚長に関係する。利用者として多い女性の脚長にクランク長を合わせているようである。
車輪 | サンヨー | パナソニック | ブリヂストン | ヤマハ |
---|---|---|---|---|
24型 | 155 | 165 | 165 | 165 |
26型 | 165 | 165 | 165 | 165 |
27型 | 165 | 165 | 165 | 165 |
発電機能
下り坂などでブレーキを作動させると、発電機に切り替わり、蓄電池(バッテリー)を充電しながら走る電動補助自転車もある。
走行距離
1回の充電で走行できる距離は、メーカーおよび機種により、25~75km。走行距離を長くすると、蓄電池は大きくかつ重くなるので、実用上十分と思われる距離にしている。
走行速度
走行速度は人の漕ぐ速度によるが、10~24km/h。24km/h以上では、電動補助は無くなり、ペダルの踏みが重くなるので、実質的な最高速度は24km/hとなる。
街で見かけるシティサイクル(ママチャリ)の速度は10~15km/h。急いで走っていると思われる速度は15~18km/h。
動力補助割合
- 補助割合
- 走行速度10km/hまでは人が出した動力の2倍の動力が補助される。動力の測定は磁歪センサーで行っている。10km/hから24km/hの間の補助割合は、直線的に減少し24km/hでは零となる制御となっている。坂道では平地よりペダルの踏みが重くなることに変わりはないが、その重さは一般のシティ車の約30%ですむ。
- 補助割合 計算器
- 人力に対する動力補助割合を求める計算器を次に示す。
走行速度を半角数字で入れて、[計算]を押すと、その速度に於ける動力補助割合が出ます。
- 計算例
- 走行速度が20km/hの時は、動力補助割合は人力の 0.57倍となる。例えば、人力が100Wの場合は、100W x 0.57 = 57Wの動力が補助され、合計動力は157Wとなる。
参考: 人の力を補うため原動機を用いる自転車の基準(法規制)
参考: 人が出せる動力、登坂必要ギア比 計算器
電動機
モータ(電動機)定格出力は補助という目的から、235~250W(ワット)。電圧24~26V(ボルト)の直流ブラシレスモーターが使われる。回転数は1,500~3,000 rpm。減速機で減速して駆動している。電動機の取付位置は、前輪ハブ、後輪ハブまたはボトムブラケットシェル。
ハブモーターは、前輪または後輪のハブに組み込んだモーター(電動機)。電動機はDC(直流)24~26V(ボルト)そして回転数1,500~3,000rpmのブラシレスモーターであることが多い。車輪駆動回転数まで減速するための減速機が合わせ組み込まれている。
蓄電池
- 概要
- 電動補助自転車の心臓は蓄電池(二次電池)なので、その性能および価格が重要な選定要素となる。
- 種類
- 蓄電池の種類はメーカー形式によって、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池が使われている。
- 電圧・容量
- 電圧は24~26V(ボルト)。容量は2.8~7.2Ah(アンペアアワー)。容量が大きいほど、1回の充電で走る距離が長い。
- 質量
- 蓄電池の質量は、電池の種類及びメーカー形式によって異なり、リチウムイオン電池は1.2kg前後。
- 動力質量比
- 蓄電池の動力と質量の比。120Wh/kg前後となっている。この値が大きいことが望ましい。
- 寿命
- 電池寿命は充電回数で300~500回。3~5年で寿命になることもあるので、消耗品として費用を計上する必要がある。温度が高くなるほど自己放電率が大きくなるので、直射日光があたらない所に自転車を保管することが望ましい。
- 充電時間
- 蓄電池の充電時間は、メーカー、蓄電池の種類、および走行距離などにより異なり、1.5~5h(時間)。
- 残量表示
- 蓄電池の残量表示機能の付いたものが多い。
- 電池切れ
- モーターで補助していないときは、モーターとペダル軸との連結はクラッチで切るので、電池が切れても補助のないとき以上にはペダルは重くならない。
参考: 蓄電池
充電
蓄電池の充電は、自転車から外した蓄電池を家庭の100Vのコンセントにプラグを差込んだ充電器に接続して行う。
ブレーキレバーを握るとモーターを発電機に切り替えて発電し、バッテリーに補充電するものもある。下り坂を惰性走行中に自動的にモーターブレーキが働いてバッテリーに補充電するものもある。モードを切り替えると、平地走行でも補充電できるものもある。
車輪サイズ
車輪サイズは、メーカーにより各種あり、20型、24型、26型および27型など。大きい方が乗り心地および走行性などが良い。目安としては、男性には27型そして女性には26型が向いている。股下寸法に合ったフームサイズの自転車を選定する。車輪サイズが大きいとフレームサイズも大きくなる。
参考: フレームサイズ
変速機
変速機が付いた機種もある。変速機は内装3段または外装6段などが使われている。変速することにより、坂道ではより軽くそして平坦路ではより早く走ることができる。
参考: 変速機
前照灯
前照灯は、駆動用の蓄電池から電源を取るバッテリーライトが多い。発電機(ダイナモ)から電気を取る前照灯は速度によって明るさが変わるが、バッテリーライトは速度にかかわらず一定の明るさとなる。
二酸化炭素排出量
蓄電池を充電するときに電力を使うので、電動補助自転車で走ると、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素(CO2)を間接的に排出することとなる。具体的には、電力会社の発電タービンを回すための加熱蒸気を作るボイラの煙突から排出される。電力1kWh当たりのCO2排出割合は、0.55kg-CO2/kWhであるが、発電効率および原子力発電の割合などの違いにより、厳密には各電力会社によって異なる。
リチウムイオン蓄電池の充放電効率[95%]および電動機の効率[75%]を考慮すると、電動機出力1kW当たりの実際のCO2排出割合は、0.55/0.95/0.75 = 0.77kg-CO2/kWh電動機または0.77g-CO2/Wh電動機となる。
騒音
騒音レベルは、メーカー、機種および走行速度によって異なるが、自転車から1m離れた位置で、50~60dB(デシベル)。この程度の騒音は、町の暗騒音に消されて感知できない。家庭用の空調機の騒音レベル(40dB前後)よりは大きい。
参考: 騒音
総質量
1回の充電で走ることのできる走行距離および自転車の質量は右のグラフに示す。自転車の質量は21~26kgそして走行距離は、20~80kmとなっている。質量が小さいほど軽く走ることが出来る。カタログに重量とあるのは質量の誤り。
電動自転車 (ペダル付きの原動機付自転車)
電動機(モーター)を備え自走するが、ペダルを用いて人力によっても走行できる電動自転車は、「ペダル付きの原動機付自転車」と呼ばれ、道路交通法第2条第1項第10号に該当する。従って、運転免許の取得、標識(ナンバー)の交付、自賠責保険の加入およびヘルメットの着用等、原動機付自転車の規則に従うことが必要。フル電動自転車とも呼ばれる。
メーカー
電動補助自転車の国内メーカーは次の通り。
パナソニック サイクルテック、ブリヂストンサイクル、宮田工業 など (あいうえお順)