タイヤの呼び方

ETRTO
タイヤ幅[mm] - リム径[mm](ビード座直径)
ISO
ETRTOの規格を採用しているので、ETRTOと同じ
インチ系
タイヤ外径[inch] x タイヤ幅[inch] x (必要に応じ:タイヤ高さ[inch])
フランス系
タイヤ外径[mm] x タイヤ幅[mm]

フランス系のタイヤ幅の後ろのA,B,C,Dの記号は、リム直径を表している。 Aは直径が小さく細幅でDは広幅となる。日本ではCしか使われていない。 フランス系はマウンテンバイクのタイヤには使われない。

inch(インチ)

丸タイヤ(チューブラータイヤ)にはETRTO番号はない。タイヤ呼び径[inch] x タイヤ幅[mm]

タイヤ呼び寸法

タイヤの呼び寸法にはETRTO、ISO、インチ系およびフランス系がある。それらを表1、表2に示す。

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表1 タイヤ呼び寸法
ETRTOインチ系フランス系外径
54-1108 1/2 x 2-
62-20312 x 1/2 x 2 1/4320 x 57322
47-30516 x 1.75[x 2]-399
32-34916 x 1 1/4-
47-35518 x 1.75[x 2]-448
28-40620 x 1 1/8-462
37-40620 x 1.5-480
47-40620 x 1.75-500
54-40620 x 2.0-514
57-40620 x 2.125-520
54-42820 x 2-536
47-50122 x 1 3/4600 x 45C
37-50724 x 1.5-581
47-50724 x 1.75[x 2]600 x 50C601
37-54024 x 1 3/8 A600 x 35A616
28-541-600 x 28A597
37-541-600 x 35A615
25-55926 x 1.0609
28-55926 x 1.25-
32-55926 x 1.25623
38-55926 x 1.5-
40-55926 x 1.5639
44-55926 x 1.6-
47-55926 x 1.75[x 2]650 x 50653
50-55926 x 1.9-659
54-559 26 x 2.0-666
55-559 26 x 2.2-
60-55926 x 2.4-
57-55926 x 2.3[2.125]-673
20-57126 x 3/4650 x 20C611
23-57126 x 1650 x 23C617
40-571-650C651
47-57126 x 1 5/8650 x 45C
54-57126 x 2650 x 50C
28-58426 x 1 1/8 x 1 1/2B650 x 28B640
32-58426 x 1 3/8650B
37-58426 x 1 3/8 x 1 1/2B650 x 38A
40-58426 x 1 1/2 x 1 3/8650 x 38B662
44-58426 x 1 1/2 x 1 5/8650 x 42B672
47-58426 x 1 5/8650B
37-59026 x 1 3/8650[x 35]A668
32-59726 x 1 1/4-661
40-60927 x 1 1/2650 x 32
18-622-700 x 18C658
20-622-700 x 20C664
23-622-700 x 23C668
25-622-700 x 25C672
26-622-700 x 26C 
28-62228 x 1 5/8 x 1 3/8700 x 28C[700C]678
30-622 700 x 30C 
32-62228 x 1 1/4 x 1 3/4700 x 32C686
35-62228 x 1 5/8 x 1 3/8700 x 35C
37-62228 x 1 5/8 x 1 3/8700 x 37C696
38-62228 x 1 5/8 x 1 1/2700 x 38C700
40-62228 x 1 1/2700 x 40C 
42-62228 x 1.6700 x 42C 
45-622 700 x 45C 
47-62228 x 1.75700 x 47C712
20-63027 x 1-
25-63027 x 1 1/8-680
28-63027 x 1 1/8-
32-63027 x 1 3/8-694
38-63528 x 1 1/2 700 x 38B[35B]714
40-63528 x 5/8700B715
37-64228 x 1 3/8700A
44-64228 x 3/4700A
54-62229 x 2.1
55-62229 x 2.2
60-62229 x 2.3
表2 丸タイヤ(チューブラータイヤ)呼び寸法
呼びメーカー
24 x 18P
24 x 22T
26 x 19P,C
26 x 20A,V
26 x 22A,C
27 x 18P
27 x 19C
27 x 21P
27 x 22P
27 x 23C
28 x 18A,T
28 x 19C,T
28 x 20A,T
28 x 21T,V
28 x 22A,C,T,V
28 x 23A,V
28 x 24V
28 x 25A,T
28 x 27V
28 x 32T,V
28 x 34T,V

メーカー
P: パナソニック
A: A.Dugast
C: Continental
T: TUFO
V: Vittoria

※参考資料 →タイヤ諸元(JIS)リム

タイヤとリム等の関係等

タイヤの互換性

タイヤはリムと一体になるので、ETRTOのようにタイヤ寸法をリム寸法で呼ぶのは、理にかなっている。タイヤ幅が多少違っていても、リム寸法が同じであれば、タイヤはほとんど互換性がある。

一方、タイヤ幅が似通っていてもリム寸法が異なれば、タイヤの互換性は無い。ETRTO記号が同じであれば、インチ系またはフランス系でどのような呼称であっても、完全に互換性がある。

分数表示と小数点表示

インチ系呼び幅は分数表示(主にロード車タイヤ、言わば英国・欧州系)および小数点表示(主にMTBタイヤ、言わば米国系)がある。これらの呼び幅をmmに換算した値が同じであっても、リム径が異なるため互換性はない。

例えば、1-1/4および1.25はいずれも31.75mmであるが、26 x 1-1/4のリム径は597mmそして26 x 1.25のリム径は559mmであり互換性はない。この直径での2mmの差は、円周ではその3.14倍の差すなわち6.28mmの差となる。

タイヤ外径計算器

ETRTOのタイヤ番号を参考にして、タイヤ幅およびリム径(ビード座直径)を半角数字で入れて、計算を押してください。およそのタイヤ外径が出ます。

タイヤ外径 計算器
タイヤ幅 リム径
mm; mm
タイヤ外径 mm

例えば、26型に太いタイヤ(ETRTO番号54-571)を付けたマウンテンバイクの車輪の外径は679mmであり、これはロード車700 x 28C(ETRTO番号28-622)の車輪外径678mmとほぼ等しい。車輪の大きさ(外径)はリムの大きさだけでは比較できないことを示している。

なお、27型のシティ車(ETRTO番号32-630)の車輪の外径は694mmで、ロード車700 x 28C(外径678mm)よりも大きく、路面の凹凸の影響を受けにくい。

中柄および小柄の女性に向いている26型シティ車(ETRTO番号37-590)の車輪外径は664mmで、ロード車700 x 28Cの車輪の外径694mmはシティ車の26型と27型のほぼ中間の大きさとなっている。

ただし、ロード車のタイヤ幅を旅行用に適した35mm(ETRTO番号35-622)とすると、車輪外径は692mmとなり27型シティ車とほぼ等しくなる。

タイヤ周長

タイヤ周長はタイヤ外径の3.14倍あり、次式で計算できる。

タイヤ周長 = 3.14 x タイヤ外径

タイヤ周長(前輪1回転で走る距離)を実測するには、タイヤ接地部側面と路面に、マーカーなどで印を付け、次に自転車を押して前輪が1回転した路面に印を付け、その距離を巻尺で測る。

自転車よりはるかに重い体重によってタイヤは変形するので、速度計(サイクルコンピューター)に入力する周長を実測するには、乗車姿勢で自転車に乗ってタイヤに体重をかけた状態で、友人や家族に印を付けて貰う方が実際の距離が出る。

体重にもよるが、体重をかけない場合に比べて、1回転で走る距離は10~30mm短い。

タイヤの空気容積計算器

リム径(ビード座直径)およびタイヤ幅を入れて、計算を押してください。クリンチャータイヤの空気容積が計算できます。

タイヤ空気容積 計算器
タイヤ幅 リム径
mm mm
空気容積 ml

[計算例]
タイヤ幅が28mmそしてリム径が622mmの場合、空気容積は776ml(ミリリットル)又は0.776リットルとなる。
(注)クリンチャータイヤ(WOタイヤともいう)を加圧したときのチューブは、ほぼ円形断面となっている。

タイヤの空気容積例

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表4 タイヤの空気容積例
車種 タイヤ寸法 空気容積
[ml]
シティ車 27 x 1-3/8 1,104
クロスバイク 700 x 28C 776
ロード(競技) 700 x 23C 460
ロード(旅行) 700 x 35C 1,363
MTB 26 x 2.0 2,986
小径車 20 x 1-1/8 518
小径車 20 x 1.5 797
 

表4は、上の「タイヤ空気容積計算器」で計算した空気容積の例である。また、図は700Cタイヤに関し、タイヤ空気容積を表したグラフである。

タイヤの空気容積は、乗り心地および空気圧低下の早さに影響する。タイヤが乗り心地に与える影響は、フレームが乗り心地に与える影響よりもはるかに大きい。

容積が大きいと、乗り心地が良くなる上、圧力低下は遅くなる。しかし、走行抵抗は幾分大きくなる。空気容積が小さいと、チューブからの空気抜け量が同じでも圧力低下が大きいので、空気圧は高めとして早めの空気圧点検と空気入れが必要。

天然ゴムチューブはブチルゴムチューブよりもガス透過率が大きく空気抜けが早いが、転がり抵抗は小さい。

タイヤ幅と用途例

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表5 タイヤ幅と特徴および用途例
タイヤ幅 空気容積[ml] 質量
衝撃吸収性
空気抵抗
転がり抵抗
耐摩耗性
耐パンク性
加速性 用途例
700 x 20C 310 競技(タイムトライアルなど)
700 x 23C 460

競技(一般)
700 x 25C 576 サイクリング、通勤
700 x 28C 776 サイクリング、通勤
700 x 32C 1,091 旅行、通勤
700 x 35C 1,363 旅行

700Cタイヤに関し、タイヤ幅と特徴および用途例の関係を表5に示す。 タイヤ幅が大きいと空気容積が大きく、衝撃吸収性が大きい。 空気抵抗は幅が狭いほど小さい。 空気圧が同じ場合は、タイヤ幅が大きいと接地部変形が少なく転がり抵抗は幾分小さいが、幅が狭いとより高圧にできるので、その場合は小さくなる。 中高速では空気抵抗の影響が大きく走行抵抗は大きい。 タイヤ幅が大きいと質量が大きくなり加速性が悪くなる。 表中の大小は相対的なもの。 用途例は方向性を示した一つの目安で厳密なものではない。 体重および荷物が重いと幅広の方向となる。

タイヤ幅とリム幅の関係

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表6 リム幅に対する望ましいタイヤ幅
  タイヤ幅[mm]
リム幅 18 20 23 25 28 32 35 37 40 44 47 50 54 57 60
13 1.38 1.54 1.77 1.92 2.15                    
15     1.53 1.67 1.87 2.13                  
17       1.47 1.65 1.88 2.06 2.18              
19         1.47 1.68 1.84 1.95 2.11 2.32 2.47        
21           1.52 1.67 1.76 1.90 2.10 2.24 2.38      
23             1.52 1.61 1.74 1.91 2.04 2.17 2.35    
25               1.48 1.60 1.76 1.88 2.00 2.16 2.28 2.40
27                     1.74 1.85 2.00 2.11 2.22

タイヤの装着性、耐離脱性、側壁に働く応力(耐久性)、運転制御性および耐パンク性などを考慮して、タイヤ幅はリム幅(JIS D9421は規定リム幅と呼んでいる)の約1.4~2.4倍であることが望ましい。 その範囲を表にすると、表6の 青色 の部分となる。 同じリム幅でもかなり広い範囲のタイヤ幅を受入れできることを示している。 この範囲より幅の狭いリムを使うと、リムおよびタイヤに過大な応力が働く。

ETRTOはこの範囲のタイヤはそれぞれのリムに装着できるとしている。 ただし、同表の 緑色 のタイヤを追加し、  赤文字 の数字のタイヤは除外している。 例えばリム幅13mmに適応できるタイヤ幅は18~25mmとなる。

選定順序としてはタイヤ幅を選んで、次にそれに合うリム幅を選ぶ。タイヤ幅が表のリム幅帯のほぼ中央にくるリム幅を選ぶとよい。

例えば、タイヤ幅が25mmならリム幅は15mm。 タイヤ幅が35mmならリム幅は17mmまたは19mmなど。 幅37mm以上のタイヤは主にオフロード用。 マウンテンバイクで舗装路を走る場合は、37mm以下のタイヤが望ましい。

タイヤ幅とリム幅の比(表の半角数字)が大きいとタイヤの弾性が大きくなり乗り心地は良くなるが、タイヤ側壁の応力は大きくなる。空気抵抗も大きくなる。 タイヤ幅が小さく、タイヤ幅とリム外幅がほぼ等しいと、空気抵抗は小さい。 リム外幅はリム幅より6.5~10mm大きい。

幅の広いタイヤと交換するに当たっては、フレーム、フォーク、ブレーキおよび泥よけとタイヤ間のすき間が十分にあることを確認する。

タイヤ幅と標準数の関係

表7 タイヤ幅と標準数の関係
タイヤ幅標準数
1818
2020
2322.4
2525
2828
3231.5
3535.5
3737.5
4040
4445
4747.5
5050
5454.5
5758
6060

ETRTOのタイヤ幅は標準数から取られている。タイヤ幅と標準数の関係を表7に示す。

ETRTOがタイヤ幅を決めたときには、市販のタイヤは既に存在していたために全てのタイヤ幅が標準数とはなっておらず、一部は当時のメーカー寸法との妥協値となっている。
【 参考資料:標準数 】

タイヤすき間

太いタイヤと交換するときは、タイヤとフレーム又はタイヤとフォークの間に適切なすき間(タイヤすき間)ができるか調べることが必要。

シートステイにおいては、タイヤ側面がシートステイに接触しないか(図のa寸法)又はタイヤ踏面がシートステイブリッジに接触しないか(図のb寸法)調べる。

チェーンステイにおいては、タイヤ側面がチェーンステイに接触しないか(図のa寸法)又はタイヤ踏面がチェーンステイブリッジに接触しないか(図のb寸法)調べる。

フォークにおいては、タイヤ側面がブレードに接触しないか(図のa寸法)又はタイヤ踏面がクラウンに接触しないか(図のb寸法)調べる。

泥よけが付いている場合は、タイヤと泥よけの間にすき間ができるか調べる。

タイヤ幅とリム応力

タイヤ空気圧が同じであれば、タイヤ幅が大きいほどリムの応力は大きくなる。表6の範囲を超えると薄いリムは破損する可能性ある。

UCI規則

ツール・ド・フランスなどの自転車競技の規則となっているUCI規則の1.3.018項 によれば、競技自転車の車輪直径はタイヤを含めて700mm以下そして550mm以上でなければならない。