構造
穴径
種類
クリンチャーリム
チューブラーリム
エアロリム
DHリム
ディスクリム
チューブレスリム
木製リム
アスペクト比
はとめ
スポーク穴の片寄り
製法
接合
材質
寸法
有効リム径
表面処理・加工
強度
リムの磨耗
リム破裂
リムの磨耗指示器
側壁厚さ測定方法
スポーク間隔
リムテープ
ブレーキシュー位置
リムはハブとスポークで結合して車輪の骨格を作る部品でスポーク穴およびバルブ穴が開いている。外側にチューブおよびタイヤが付く。
構造
リム側壁には内側と外側がある。クリンチャーリムの場合、内側はタイヤのビードを固定し、外側はリムブレーキのブレーキパッドが当たる面(ブレーキトラック)を形作っている。ただし、ディスクブレーキ用のリムはパッドの当たる面はない。
リム底にはスポーク(具体的にはニップル)を取り付けるスポーク穴およびバルブを通すバルブ穴を設ける。リムとハブのスポーク穴数は同じでなければならない。スポーク穴はリム中心線に対して左右交互にあけるのが一般的。
アルミ合金リムおよびCFRPリムのスポーク穴には鋼または黄銅製はとめ(鳩目)を入れて補強するかまたは穴部を帯状に肉厚を厚くするのが一般的。
参考資料:スポーク
穴径
自転車リム(JIS D9421)に規定するスポーク穴の寸法を表1そしてバルブ穴の寸法を表2に示す。表2のバルブとチューブの接合方式において、Mは金属圧接そしてRはゴム接着を示す。
スポーク線径 [mm] |
スポーク穴径 [mm] |
ニップル径 (参考) |
---|---|---|
2.6 | 5.0 | 4.6 |
2.3 | 4.7 | 4.3 |
2.3、2.0、1.8 | 4.4 | 4.0 |
バルブの種類 | 接合方式 | バルブ穴径 [mm] |
---|---|---|
英式弁 | M、R | 8.2 |
米式弁 | M | 8.2 |
R | 8.7 | |
仏式弁 | M、R | 6.3 |
種類
用途
自転車の用途で分けると、ロードリム、マウンテンバイクリム及びBMX(バイシクルモトクロス)リムなどがある。
規格
「JIS D9421 自転車-リム」 に規定するリムの種類および関連事項を表3に示す。平リム(ストレートサイドリム、SS)以外のリムはタイヤのビードに対する引っかかり(フック)が付いている。 フックはタイヤを高圧にしてもリムから外れにくくするために設けられている。リム端を厚くして、リムとしての強度およびリムブレーキに対する強度をいくぶん上げる効果もある。それぞれ名称が異なるが、フック付きのリム(クリンチャーリム)が主流となっている。歴史的な違いにより、フック付リムの呼び方は自転車の用途によって大きく分けると2種類となる。シティ車およびロード系自転車のリム(英国・欧州系)はWOリムそしてマウンテンバイクのリム(米国系)はHEリムと呼ばれる。 クロチェットは仏語の英語読みであり、主に欧州で使われる用語。英語のフックに相当する。
(表が見切れる場合は横にスクロールできます)
種類 | 記号 | 形式 | 呼び径 | 呼び幅 | 試験荷重 [N] |
寸法 |
---|---|---|---|---|---|---|
ビーデットエッジリム | BE | BE-1 | 26 | 22.5、25 | 500 | 表6 |
ワイヤードオンリム 又は ストレートサイドリム |
WO 又は SS |
WO-2 | 16~28 | 20.3 | 500 | 表4 |
WO-3 | 16~26 | 22.5 | 500 | 表4 | ||
WO-4 | 26、27、700C | 16.5 | 300 | 表4 | ||
WO-5 | 20~26 | 20.3 | 500 | 表4 | ||
SS | 194~642 | 20、22、24、27、30.5 | 500 | 表4 | ||
フックドエッジリム 又は フックドビードリム |
HE 又は HB |
HE-1 | 12 1/2~26 | 25 | 500 | 表5 |
HE-5 | 14~22 | 20 | 500 | 省略 | ||
HB | 270~611 | 20、25、27 | 500 | 表5 | ||
クロチェットタイプリム | CT | CT | 19、21、23、25 | 500 | 表7 | |
CT | 13、15、16、17 | 300 | 表7 |
クリンチャーリム
クリンチャータイヤを取り付けるリム。タイヤのビードが座るビード座(引っかかり、フック)が付いている。タイヤのビードをフックにかけて、空気圧で外れるのを防ぐ。材質はアルミ合金が多い。ワイヤードオンリム(WOリム)またはフックドエッジリム(HEリム)とも言う。
左右の側壁をつなぐ壁の数に応じて、単壁(シングルウオール)(写真左)および二重壁(ダブルウオール)(写真右)がある。単壁はシティ車などに使われる。二重壁は箱形とも呼ばれる。ロード車用は幅が狭く、マウンテンバイク用は幅が広い。
チューブラーリム
概要
丸タイヤ(チューブラータイヤ)を接着によって取り付けるリム。 接着剤はリムセメントと呼ばれる。フックがないため、クリンチャーリムより50g前後軽くできる。 競技用自転車のリムとして使われる。
材質
材質はアルミ合金または炭素繊維強化樹脂(CFRP)。
リムセメント
丸タイヤ(チューブラータイヤ)をリムに接着する接着剤。チューブラーセメントともいう。チューブまたは缶に入っている。セメントは接着剤のこと。建築用の水で練るセメントは、レンガなどを接合する接合剤という意味。新品のリムには腐食防止剤などが塗布されていることがあるので、溶剤などで拭取ることが望ましい。溶剤は炭素繊維強化樹脂(CFRP)製のリムには使えない。金属リム用リムセメントは、炭素繊維強化樹脂リムに使うと接着力は75%程度に下がる。接着剤メーカーによって異なるが、接着後2時間で最大接着力の約70%の接着力が得られる。最大接着力は6~24時間経過すると得られる。接着力はメーカーおよび品種によって最大50%の開きがある。再接着のときに接着剤を溶かして取る除去液がある。炭素繊維強化樹脂専用のもの(カーボンリムセメント)もある。チューブラータイヤ専用の両面接着テープ(幅17mm前後)もあるが、商品によっては転がり抵抗はリムセメントよりやや大きい。
エアロリム
概要
リム断面形状をV形、U形または卵形などの流線形にしたリムは、その空気抵抗減少機能に注目してエアロリム(空力リム)と呼ばれ、またその断面の高さ(奥行き)の大きさ(深さ)に注目してディープリム(深リム)とも呼ばれる。クリンチャーリム(写真左)及びチューブラーリム(写真右)のいずれにもエアロリムがある。 ディスクブレーキ専用のものは、リムブレーキのブレーキパッドが当たる平坦部がない。 1993年にカンパニョーロが導入してから知れ渡るようになった。
用途
ロード競技車、トライアスロン車およびタイムトライアル車などの競技車に使われる。
高さ(深さ)
高さ(深さ)は40mm~80mmであり、強度が大きくなるので、スポーク数を減らすこともできる。
空気抵抗
リムの形状は最初に風を切るタイヤと一体で空気抵抗が少なくなるように考えられている。空気はタイヤに当たり側面を流れ、リムの側面を流れて、リム内端を離れる。これらの流れにおいて渦が発生すると大きな抵抗となる。特に空気がリム内端を離れるときは渦が発生しやすい。卵形がV形より渦の発生が少ないようである。リム幅はタイヤ幅と同じかまたは狭い方が抵抗が少ない。空気抵抗は速度の2乗に比例する。高速時の動力低減効果は最大で約5W(ワット)。平坦路の高速走行においては、リムの質量増加によるマイナスよりも空気抵抗の減少効果が勝るが、軽量化のために炭素繊維強化樹脂(CFRP)製のリムも多い。
デカール
美観のために深リムの側面に貼る模様の付いたシート。ただし、車輪が回転すると模様は見えなくなる。リムの高さに応じて、16、38及び60mmなどのサイズが用意されている。
DHリム
ダウンヒル(DH)およびデュアルスラローム用の幅広のブロックタイヤを付けるリム。二重壁でリム幅は30~65mm。スポーク穴数は32穴または36穴など。材質は、アルミ合金など。
リムブレーキのパッドが当たる平面の無い、ディスクブレーキ専用のリムが多い。
ディスクリム
ディスクブレーキ専用のリム。リムブレーキは使えない。主に、マウンテンバイクに使われる。ディスクリムにはリムブレーキのパッドの当たる広いフランジ面は必要なく、またブレーキパッドによるリムの磨耗がないので、フランジを薄くすることができる。そのため、リムの軽量化を図れる。 陽極酸化(アノダイズ)などで着色しても、磨耗がないのでアルミ素地が出ることはない。ブレーキパッドが当たらないので、側面は左右平行な平面である必要はない。
チューブレスリム
チューブレスタイヤを取り付けるリム。USTリムが一般的。USTリムは、1999年からフランスのMavic社がマウンテンバイク用に市販しているチューブレスタイヤとチューブレスリムの統合方式の名称。業界標準となっている。
リムは二重壁になっていて、スポークは内壁の揺動式のニップルに取付ける。
ニップル回しは次の写真のような専用のものを使う。
バルブは専用仏式バルブ(左写真)が使われ、内壁に取付けてOリングでシールする。
タイヤはタイヤレバーを使わずに取付けできる。
外壁の中央に環状の溝があり、タイヤビードを入れ空気を入れるとリム側壁に広がるようになっている。
Mavic社はりムを作っているがタイヤは作っていない。チューブレスタイヤはタイヤメーカーが作っている。
オフロードでは異物が刺さるパンク(蚊刺し)よりも岩または倒木などによるリム打ちパンク(蛇噛み)が多く、チューブレスタイヤはチューブがないためリム打ちパンクを起こさない。
木製リム
木材で作ったリム。リムの種類はチューブラーリム。木材の種類はオーク(カシ・ナラの類)など。
1940年代頃まで一般的に使われた。現在も少しではあるが使われている。
木製リムは軽く、強度及び弾性がある。写真の例は高さ19.5mm、幅30.6mmそして質量663g。
ブレーキはリムブレーキ及びディスクブレーキがある。リムブレーキパッドはカーボンリム用を使う。
アスペクト比
リム
リムのアスペクト比(縦横比)は次式で求められる。
リムのアスペクト比 = リム高さ(a)/リム幅 (b)
図のリムは 高さa=24mm そして 幅b=20mm であるから、アスペクト比 a/b = 24/20 = 1.2 となっている。
リム・タイヤ一体
リムとタイヤ一体のアスペクト比は次式で求められる。
リムとタイヤ一体のアスペクト比 = リム・タイヤ合計高さ(A)/タイヤ幅 (B)
車輪の空気抵抗の減少効果には、リムとタイヤ一体のアスペクト比が影響する。リムとタイヤ一体のアスペクト比(A/B)が3前後(2.5~3.5)のとき空気抵抗は最小となる。
はとめ
アルミ合金リムおよびCFRPリムのスポーク穴に入れて、穴の縁を補強する鳩目状(フランジの付いた円筒状)のステンレス鋼製などの金具をはとめ(鳩目)という。 片はとめ(シングルアイレット)(写真左)および両はとめ(ダブルアイレット)(写真右)がある。片はとめが多い。
片はとめ
スポークの張力によって、ニップルがスポーク穴を広げて通り抜けないようにニップルを受け止める。はとめには走行中の衝撃等によるニップル座部のへこみを防止する効果もある。へこみはリム張力の減少をもたらす。車輪組みなどでニップルを回すときの、はとめは滑らかな面となり作業がやりやすい。はとめを付けない場合は、スポークの穴部のリムの肉厚を厚くする必要がある。単にはとめと言えば、片はとめを指す。
両はとめ
断面が箱形のリムの内壁と外壁を、一端がはとめ状になった筒状のはめ輪(フェルール)で連結しスポーク張力を両壁に分散するようにしたもの。いわゆるはとめではないが、ニップル部の外観がはとめと似ているのでこのような呼び方がされている。空力(エアロ)リムに対しては一般的でない。
次の写真の、左2つはクリンチャーリムの両はとめ、そして3つめはチューブラーリムの両はとめ。
両はとめの外から見た外観は片はとめ(いわゆる はとめ)と変わらない。
はとめ(下図の赤色)を介して筒状のはめ輪(下図の黄色)で連結した形もある。
スポーク穴の片寄り
リムにおけるスポーク穴の片寄り(オフセット)には次の2つの場合がある。
左右片寄り
リムの中心線(右図の緑色)に対して、左右交互の片寄り(図の赤寸法)があるスポーク穴。「JIS D9421 自転車-リム」はこの方式を推奨している。右フランジのスポークは右に片寄ったスポーク穴に入り、左フランジのスポークは左に片寄ったスポーク穴入る。
特殊な例としては、ペアードスポークの車輪は、 一般に右フランジのスポークは左に片寄ったスポーク穴に入り、左フランジのスポークは右に片寄ったスポーク穴入る。
バルブ穴とスポーク穴の位置関係は、リムを内側(ハブ側)横から見たとき、バルブ穴に最も近い右のスポーク穴はリム中心線の下側とする。
左片寄り
リムの中心線(右図の緑色)に対して、スポーク穴群の中心線が左に片寄っているスポーク穴。後輪のスプロケット群の存在によって小さくなった右スポークの傾き角(プレース角)を大きくすることにより、後輪の横剛性の低下を少なくする。おちょこ距離が左右均等に近付くので後輪の左右の張力も近づく。このようなリムはオフセットリムと呼ばれる。この場合も、左に片寄った中心線に対し左右交互の片寄りも設けることがある。
製法
アルミリムはアルミ合金を、リムの断面形状の穴の開いたダイより押し出して作る。リムの直径に対応する長さに切断し、環状に曲げ接合部を溶接または接着する。リムの接合部には、常に圧縮力が働いており、引張り力が働くことはない。ニップルおよびバルブを付ける穴を開ける。側壁を機械加工したものもある。ダイの穴は長時間かけて磨耗してくるので、ダイを新品と交換する前に作られたリムは肉厚が幾分厚くなっており、リムの質量は公称値よりもやや大きい。
接合
環状に曲げたリムの接合方法には、溶接、スリーブ接合およびピン接合がある。
溶接
リムの両端を溶接用のダイでつかみ、高電流を流してリム端を互いに強い力で押付け、アーク放電によって接合部を溶かして溶接する。盛り上がる分だけリム周長が短くなるので、その分だけ予め長く切断しておく。ブレーキパッドが滑らかに当たるよう盛り上がった溶接のビードを削り取って平坦にする。ビードを取ると強度が低下し、接合していない部分の80~90%の強度となる。
スリーブ接合
溶融したアルミ合金をリム断面形状に合致する形状の穴の開いたダイで押出し成型後に切断して作った長さ80mm程のスリーブを、エポキシ系の接着剤を付けたリム端面内側に差し込む。リムにバンドを掛けてバンドの両端を油圧シリンダーで引き寄せて、スリーブを押し込んで一体のリムとする。ピン接合より強度は大きいが生産費も大きい。
ピン接合
押出し時に両側のビード下に設けた穴にエポキシ系の接着剤を入れた後に、先の尖った長さ50mm程度の鋼製のピンを差し込む。リムにバンドを掛けてバンドの両端を油圧シリンダーで引き寄せて、ピンを穴に押し込んで一体のリムとする。溶接リムより生産費を下げることができる。
材質
リムの材質は、鋼、アルミ合金、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、スカンジウムアルミ合金およびマグネシウム合金である。
シティ車に使われることのある鋼製リムは質量が大きいが、ブレーキ掛けによってほとんど磨耗しない。雨にぬれるとアルミ合金リムよりもパッドとリムの摩擦係数が大きく低下するので、後輪は雨の影響が少ないハブブレーキが使われる。 鋼製リムはスポークニップルを支持する強度が大きい。
アルミ合金リムは鋼製リムよりも、リムブレーキのパッドに対する摩擦係数がやや大きい。特に雨でぬれた時の摩擦係数の差は大きい。
炭素繊維強化樹脂(CFRP)で作ったリムは、カーボンリムと呼ばれることがある。カーボンリムには一般の金属スポークを使う形およびリムとスポークを一体にした形がある。3例を下図に示す。
多くはエアロリム(空力リム)となっている。アルミ合金リムに比べて高価ではあるが、軽いために主に競技用の自転車に使われる。アルミ合金リムに比べて剛性を大きくできるので、スポーク本数を減らして車輪を軽くできる利点もある。
寸法
「JIS D9421 自転車-リム」 に規定するリムの寸法を表4~表7に示す。表4のリム呼び径はビード座直径。規定リム幅は一般にはリム幅と呼ばれる。
(表が見切れる場合は横にスクロールできます)
形式 | リムの呼び | リム呼び径 (ビード座直径) |
リム外径 mm |
リム外幅 mm |
規定リム幅 mm |
リム高さ mm |
ビードフランジ高さ mm |
スポーク穴数 (参考) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
WO-2 | 24 x 1 3/8 | 540 | 552 | 28又は26 | 20.3 | 11.6 | 6.3 | 36 |
26 x 1 1/2 | 584 | 597 | 28又は26 | 20.3 | 11.6 | 6.3 | 36 | |
26 x 1 3/8 | 590 | 603 | 28又は26 | 20.3 | 11.6 | 6.3 | 36 | |
26 x 1 1/4 | 597 | 610 | 28又は26 | 20.3 | 11.6 | 6.3 | 36 | |
27 x 1 3/8 | 630 | 643 | 28又は26 | 20.3 | 11.6 | 6.3 | 36 | |
27 x 1 1/4 | 630 | 643 | 28又は26 | 20.3 | 11.6 | 6.3 | 36 | |
28 x 1 1/2 | 635 | 647 | 28又は26 | 20.3 | 11.6 | 6.3 | 36 | |
28 x 1 3/8 | 642 | 655 | 28又は26 | 20.3 | 11.6 | 6.3 | 36 | |
WO-3 | 24 x 1 3/8 | 540 | 552 | 32.5 | 22.5 | 14.1 | 6.3 | 36 |
25 x 1 3/8 | 565 | 578 | 32.5 | 22.5 | 14.1 | 6.3 | 36 | |
26 x 1 1/2 | 584 | 597 | 32.5 | 22.5 | 14.1 | 6.3 | 36 | |
26 x 1 3/8 | 590 | 603 | 32.5 | 22.5 | 14.1 | 6.3 | 36 | |
WO-4 | 26 x 1 1/2 | 597 | 610 | 23 | 16.5 | 10.8 | 6.3 | 36 |
27 x 1 1/4 | 630 | 643 | 23 | 16.5 | 10.8 | 6.3 | 36 | |
700C | 622 | 635 | 23 | 16.5 | 10.8 | 6.3 | 36 | |
WO-5 | 24 x 1 3/8 | 540 | 552 | 28又は26 | 20.3 | 12.6 | 6.3 | 36 |
25 x 1 3/8 | 565 | 578 | 28又は26 | 20.3 | 12.6 | 6.3 | 36 | |
26 x 1 3/8 | 590 | 603 | 28又は26 | 20.3 | 12.6 | 6.3 | 36 |
形式 | リムの呼び | リム呼び径 | リム外径 mm |
リム外幅 mm |
規定リム幅 mm |
リム高さ mm |
スポーク穴数 (参考) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
HE-1 | 24 x 1.75 | HB524 | 524 | 33 | 25 | 14.8 | 36 |
26 x 1.75 | HB575 | 575 | 33 | 25 | 14.8 | 36 |
形式 | リムの呼び | リム外径 mm |
リム外幅 mm |
規定リム幅 mm |
リム高さ mm |
ビードフランジ高さ mm |
スポーク穴数 (参考) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
BE-1 | 26 x 1 3/8 | 600 | 40 | 22.2 | 14.9 | 10.5 | 32又は40 |
26 x 1 1/2 | 600 | 40 | 22.2 | 14.9 | 10.5 | 32又は40 | |
26 x 1 3/4 | 600 | 40 | 22.2 | 14.9 | 11.0 | 32又は40 |
リムの呼び幅 | 規定リム幅 mm |
フランジ高さ mm |
ビードフランジ高さ mm |
フック幅 mm |
---|---|---|---|---|
13C | 13 | 5 | 2 | 1.5 |
15C | 15 | 5 | 2 | 1.5 |
16C | 16 | 5.5 | 2 | 1.5 |
17C | 17 | 5.5 | 2 | 1.5 |
19C | 19 | 6.5 | 2.5 | 1.5 |
21C | 21 | 6.5 | 2.5 | 1.5 |
23C | 23 | 7.5 | 4.5 | 1.5 |
25C | 25 | 7.5 | 4.5 | 1.5 |
参考資料:タイヤ寸法、タイヤ幅とリム幅の関係
有効リム径
リムに取り付けた全てのニップルの外端のマイナス溝底または外端が接する円の直径。スポーク長の計算に使う。どちらを使うかによってスポーク長は変わる。チューブラーリムの場合は、ニップル端を有効リム径としてもよいが、クリンチャーリムの場合は、チューブの保護上、ニップルのマイナス溝底を有効リム径とすることが望ましい。英語の頭文字からERDともいう。
表面処理・加工
アルミ合金リムは、表面処理をしていないもの及び表面処理をしたものがある。表面処理としては、陽極酸化処理およびセラミックコーティングがある。
陽極酸化(アノダイズ)
陽極酸化処理は、耐食性および耐磨耗性の向上(表面硬さの向上)または着色を目的として、アルミ合金の表面に酸化皮膜を作る方法。陽極酸化処理により、リムブレーキのパッドに対する耐摩耗性は向上するが雨天時の摩擦係数は、処理をしていないリムより減少する(滑りやすくなる)。疲労に対しても悪い影響を与える。陽極酸化皮膜はアルミ合金よりも熱伝導率が低いため断熱材となり、長距離の坂下りのブレーキ掛けで温度上昇したブレーキパッドのリムからの放熱を妨げ、温度が上がってブレーキの利きが悪くなることがある。皮膜厚さは用途に応じ0.01~0.1mmとする。着色酸化皮膜は薄い。
陽極酸化は次のように行う。アルミを電解液に入れて、アルミを陽極とし電解槽を陰極とすると、液が電気分解されて酸素が発生する。この酸素がアルミと化学反応して硬い酸化皮膜(Al2O3 )を作る。使用する電解液の種類(硫酸、クロム酸、燐酸、蓚酸およびほう酸など)や電解条件(時間、温度、電流および電圧など)によって、酸化皮膜の性状や色が異なる。
セラミックコーティング
セラミックコーティングをしたリムはセラミックリムと呼ばれることがある。ブレーキパッドとの摩擦力(特に雨に濡れたとき)の向上およびリムの磨耗の減少を意図している。欠点はパッドからの熱伝導が悪いこと、高価なことおよびブレーキパッドの磨耗が早いこと。セラミックコーティングが無ければ、摩擦熱はリム全体に伝導され放熱されるが、セラミックコーティングがあると熱の絶縁体となりアルミ合金リムへの熱伝導が阻害されブレーキパッドの温度が上がりるためパッド表面が溶ける。そのため、パッドはセラミックリム専用のものが必要。
タングステンカーバイドコーティング
アルミ製のリムにタングステンカーバイド(WC)をコーティングしたリムは、タングステンカーバイドリムと呼ばれることがある。ブレーキパッドによるリムの磨耗を減らすことを主目的としている。ブレーキ性能の向上もある。パッドは専用のものが必要。セラミックリムよりも耐磨耗性が大きい。
機械加工
リムのブレーキパッドの当たる面を機械加工したリム(マシンドリム)がある。機械加工により、多数の環状の微細な溝を設けている。ブレーキ鳴きを防止する効果があるが、いずれ磨耗するので効果はなくなる。リムはリム断面の真っすぐな素材を環状にして端部を接合して作る。曲げ加工精度が悪く接合部に生じた段差をリム全体の機械加工により取るのは邪道。機械加工によりリムは薄くなり、かつ加工するリム側面が平坦でなければ厚さの均一性が失われる。
へこみ(ディンプル)加工
空気抵抗を減らすことを意図して、リムの表面に多くの小さなへこみ(ディンプル)を付ける加工(右写真)。くぼみの形状および寸法は各種ある。主に、炭素繊維強化樹脂(CFRP)製のリムに付けられる。走行中にリムの層流空気層の剥離が起こると乱流が生じて空気抵抗が増加する。くぼみを付けると層流の剥離が遅れて乱流抵抗が減る。
カーボンラミネート
炭素繊維強化樹脂(CFRP、俗にカーボンと呼ばれる)をアルミ合金などに積層(ラミネート)すること。ホイールのリムの例では、アルミ合金の1.3mmの壁厚を0.7mmに減らしてCFRPを積層し、強度を上げると同時に軽量化している。ブレーキパッドがあたる部分は、アルミ合金のまま残している。カーボンラミネートのあるリムはカーボンラミネートリムという。
粉体塗装
静電ガン(右図、電圧30~90kV)で、樹脂(エポキシまたはポリエステルなど)および顔料の微細な混合粉体に静電気を与え、地面にアースを取ったリムに噴射すると、静電気の作用で全面に付着する。加熱炉に入れて約200°Cで約10分間加熱すると、樹脂粉体は溶けてリムの表面に均一に付着する。膜厚は50~80µmとなる。液体塗装に比べて、硬くかつ剥離しにくい。あらゆる色のリムがきる。
研磨
アルミ合金リムを研磨機の前でゆっくりと回転させて研磨する。スポーク面は光沢研磨そしてブレーキ面は磨き研磨とすることがある。
強度
種類 表3の試験荷重を、リムの円環が変形するよう直径方向に加え、2分間放置した後、荷重を取り除いたときの、荷重点での永久ひずみは1mm以下でなければならない(JIS D9421、自転車-リム)。リムの弱い部分は、スポーク張力によって応力集中の起きるスポーク穴の周辺であるが、この部分の強度に対する規定はない。
一般には、静的強度はスポークよりもリムが小さく、いずれかが破損するまでスポーク張力を増大させると、スポークが切断するよりも先にリム穴の周囲が膨らむかまたは亀裂が入る。壁厚が厚く、リム幅が大きいほどリムの強度は大きいが質量は大きくなる。一般に、競技車は質量を重視し、旅行車およびマウンテンバイクは強度が重視される。
同じ空気圧の場合、タイヤ幅が大きいほどリムに働く応力は大きくなる。
リムの磨耗
アルミ合金リムのブレーキパッドの当る面は、ブレーキ掛けによって磨耗する。その部分の肉厚が0.5~0.7mm以下になると、高圧タイヤ(圧力700kPa以上)の場合はタイヤの圧力によって亀裂が入る可能性がある。 同時にリムの破損によってタイヤが支持を失い破裂することもある。そのため、側壁厚さが1mm以下になるとリムを新品と交換することが望ましい。この現象はリム破裂(リムブローアウト)と呼ばれることがある。
軽量リムは肉厚が元々薄く、破裂臨界点に達しやすい。よくブレーキを掛ける場合は走行距離が1万km以上になると、リムの肉厚(側壁厚さ)を点検することが望ましい。(側壁厚さ測定方法)
リム破裂
ブレーキ掛けによりリム側壁が磨耗して薄くなり、タイヤ(チューブ)の圧力に耐えられなくなって、側壁に円周方向の亀裂が生じてリム側壁が部分的に飛び出すことはリム破裂と呼ばれる。破裂時に大きな音がするのでリム爆発(リムイクスプロージョン)とも呼ばれる。
軽量化のために側壁を薄くしたアルミ合金リムおよび高い空気圧のタイヤにおいて起こりやすい。
ブレーキパッドの寿命の増大(パッド磨耗の減少)および制動力の向上への要求が、リムの磨耗を早めるパッドを生み出したことも原因となっている。雨のときにリムが小砂などで汚れた状態でブレーキを掛けると、パッドに小砂などが埋め込まれてリムに磨耗を起こしやすくなる。 品質の悪いブレーキパッドは、小砂などを埋め込みやすいので、パッドの点検が必要。
リムの磨耗指示器
磨耗指示器(ウエア インジケーター)という大げさな名称を付けた、リム側面に小さな溝またはへこみのあるリムがある。 磨耗指示器は、危険なリム破裂の予防のために考えられたもの。1社が特許を取り、他社がその特許を回避した方式の特許を取ることで、各種の方式が生まれた。外部指示器および内部指示器がある。
外部指示器はブレーキパッドが当たるリム側面(外面)に規定する磨耗量に対応する深さの溝または穴状のへこみ(右図のパッド当たり面)を設けたリム。リムの磨耗によって溝等は相対的に浅くなり、さらに磨耗が進むと溝等が消える。溝の形状、深さ(側壁厚さに応じて、例えば0.5~0.7mm)、長さ、数および向き(半径方向または円周方向など)等はメーカーによって異なる。
内部指示器はリムを貫通していない小さな穴またはへこみを内壁に設けたもの。リムが磨耗するとリム壁に小さな穴が開く。
リムが規定値まで磨耗すると、リムは新品と交換する。
側壁厚さ測定方法
側壁厚さを測定するには、例えば長さ10~20mmのスポークの切片または銅くぎの頭を落とした小片などの厚さ寸法の分かったものをゲージとして使い、ノギスで測定する。ゲージは何箇所かの側壁が薄いと思われる位置にあてて測定する。
右図のようにゲージ(緑色)を側壁の内側および外壁にあて、ノギスでN寸法を測定する。側壁厚さ t は、次式で計算できる。
t = N - 2 x g
ここに、g はゲージ厚さ。 例えば、ゲージ厚さ2mmそして測定値が4.9mmなら、側壁厚さ = 4.9 - 2 x 2 = 0.9mm 。
磨耗によりリム厚さが0.5mm以下になると、リム破裂が生じる可能性がある。
リムのスポーク間隔
一つの要因として、リムのスポーク間隔が短いほど車輪の強度は大きくなる。スポーク間隔を計算する計算器を次に示す。
所定項目を半角数字で入れて、[計算]を押して下さい。スポーク間距離が計算できます。
- 計算例
- リム外径622mm、リム高さ10.8mmそしてスポーク数36本の場合、スポーク間距離は52.4mmとなる。
リムテープ
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概要
WOタイヤ(クリンチャータイヤ)用リムの底面全周に貼り付けるテープ。リムストリップ(細長い切れ)、リムフラップまたはふんどしとも呼ばれる。1個のリムに対して1巻となっている。
使用目的
スポークのニップル溝の角に対してチューブを保護する。リムのバルブ穴の角を覆い、角によってチューブに傷が付くのを防ぐ働きもある。
寸法
テープ幅はリム幅に応じてロード車用は14~18mmそしてマウンテンバイク用は18~25mm。リムの底面全体をほぼ覆う幅のものが望ましい。
バルブ穴
多くのメーカーはバルブを通すためのバルブ穴を開けているが、開けていないものは自分で開けなければならない。バルブ穴の大きさは、ロード車用とマウンテンバイク用では異なる。
取付方法
リムテープのバルブ穴をリムのバルブ穴に合わせる。リムテープをリムに接着しながら一巻きして、巻き始めの位置に来たときは、先端と終端が合うように切断して貼る。
材質
材質はゴム、樹脂および布などで背面に接着剤が付いている。
» リムテープ
リムとブレーキシューの位置関係
WOリム(表4)においては、リム高さはビードフランジ高さのほぼ半分となっているため、ビード座直径(リム呼び径)位置はリム高さの中心(すなわちブレーキシュー中心)にほぼ対応する。
言い換えれば、ビード座直径の半分(半径R)は、ハブ芯(車軸芯)からブレーキシュー中心までの距離に対応する。
従って、キャリパーブレーキを固定するボルト芯位置は、ハブ芯から測ってリム呼び径の半分(半径)にブレーキのリーチを加えた位置となる。
式にすると、
車軸芯からブレーキ固定芯までの距離C = リム呼び径/2 + リーチ
又は、
C = リム呼び半径R + リーチ
故に、
リーチ = C - R
例えば、フレームを変えず車輪をリム径630mmから622mmに変える場合、630/2 - 622/2 = 4mmより、キャリパーブレーキのリーチに4mmの余裕がなければシューとリムは対応しない。