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自転車のクランク

この記事は執筆から年月が経過しており、記載されている情報(価格、規格、トレンドなど)は現在とは異なっている可能性があります。現在、最新事情に合わせたアップデートを順次行っておりますが、記事更新までは、過去の参考資料としてご活用いただけますと幸いです。

クランクとは

一般に、往復運動を回転運動に変える装置をクランクと呼ぶ。自転車の場合は、ペダル軸とクランク軸を連結している棒をクランクと呼ぶ(狭義)。広義には、左右のペダル、左右のクランクおよびクランク軸の一体をクランクと呼ぶ。ペダルおよびクランクが発明されたのは1861年、それまでは足で路面を蹴って走っていた。

» クランク

種類(JIS)

JIS D9415(自転車-ギヤクランク)に規定するクランクの種類を表1に示す。

(表が見切れるときは横にスクロールできます)

表1 クランクの種類(JIS D9415)
クランク軸への組付形式種類スプロケット段数
コッタード形シングル-コッタード形1段
コッタレス形シングル-コッタレス形1段
ダブル-コッタレス形2段
トリプル-コッタレス形3段

同表のコッタード形はコッターと呼ばれるテーパーの付いた円筒形のくさび栓でクランクをクランク軸に固定する方式で、一部のシテイサイクルに使われている。

コッタレス形はコッタを使わずボルトまたはナットで固定する方式で大部分の自転車に使われている。

クランクの呼び方(JIS)は、スプロケット歯厚の呼び-歯数-クランク長とする。

例えば、スプロケット歯厚の呼び3/32、歯数48 x 38 x 28Tの3段そしてクランク長165mmの場合、3/32 - 48 x 38 x 28 - 165のように表す。歯厚の呼びは1/8および3/32の2種類がある。

材質、製法

クランクの材質はアルミ合金が多いが、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、チタン合金又は鋼もある。材料がアルミ合金の製法としては鍛造が使われる。

表面処理としては、アルミ合金に対しては陽極酸化(アノダイズ)そして鋼に対してはクロムめっきなどが使われる。

クランクの分類

クランクの分類の仕方の一つとして、左クランク、クランク軸および右クランクがどの程度一体となっているかで区別する方法がある。

ワンピースクランク

左右のクランクおよびクランク軸を一体成形したクランク。BMX車などに使われる。昔の米国製の自転車に使われていた。鍛造で作られる。右クランクに付いた駆動ピンをスプロケットの駆動ピン穴に入れて、スプロケットを駆動する。ボトムブラケットシェルからクランクを外すには、左ペダルを外してから外す。次に、ロックナット、コーンおよび玉の付いた保持器を外す。

ツーピースクランク

右クランクとクランク軸が一体となっており、左クランクはクランク軸と連結するクランク。シマノのホローテック II などが該当する。ウルトラトルクもツーピースと見なせる。

スリーピースクランク

左クランク、クランク軸および右クランクが独立の部品となっており、これらを組立てて作るクランク。最も多く使われている。右クランクとしてはクランクセットが使われる。クランク軸とクランクの連結方式には、コッタード、四角テーパ 、オクタリンクおよびISISがある(後記)。

ホローテック II

概要

中空クランクセットと外部ボトムブラケットの組合せ方式に対するシマノの商品名。2003年にXTRそして2004年にXTおよびデュラエースのクランクとして導入された。

特徴

右クランクとクランク軸を一体にすることにより、部品点数を減らして軽量化すると同時に剛性も向上させている。右クランクにクランクボルトがないので、それが緩むという現象が起きない。 ボトムブラケットシェル(BBシェル)に対して外部軸受けとなっているため、中空軸は太く、軸受は大きくそして軸受間距離は長くなっている。Qファクターは少し大きい。

構造

軸受部はBBシェルの内ねじにねじ込む。BBシェル両端面の平行度が必要。 軸受はカートリッジ軸受を使っている。クランク軸の左端はスプラインとなっており、クランク穴のスプラインとかみ合ってトルクを伝達する方式はクランク端は2つ割りとなっており、5mm六角レンチを使って2本のボルトで1-2-1-2-の順に交互に締める。 締付トルクは10~15Nm。軸端がオクタリンクとなっている方式もある。

BBシェル幅

シェル幅は68mmおよび73mmに対応している。異なるBBシェル幅に対してはスペーサーで調節する。スペーサー(3個付属している)の厚さおよびブラケット厚さによって左右のアダプター(軸受部)間距離は75.5mmとなるようにしている(下表)。 ブラケット厚さはE形ディレイラーのブラケットおよびチェーンガイドのブラケットに対応する。

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アダプター間距離 [mm]
シェル幅スペーサー厚さブラケット厚さ合計
682.52.5x2075.5
2.52.52.5
7302.50
002.5

工具

軸受部および左クランクの取付けに専用工具(外部ボトムブラケット工具およびキャップ締付工具)が必要。

ウルトラトルク

概要

カンパニョーロ社のクランクセットと外部ボトムブラケットの組合せ方式の商品名。2006年に出した。

特徴

カートリッジ形よりも太い中空軸とすることにより、軸の横剛性および捩り剛性を大きくしようとしている。 左右の外部軸受を半軸の端より入れることができるので、外部ボトムブラケットであるにもかかわらずQファクターは大きくなっていない。

構造

左右のクランクは中空半軸と一体となっており、BBシェルの中央部で外径10mmのボルト1本で固定する(10mmのソケットレンチを使う)。 半軸の端面は鋸歯状継手(ハース継手)となっており、自動的な芯出しおよびトルク伝達ができる。外部軸受はカートリッジ軸受を使っている。

BBシェル幅

シェル幅は68mm。

工具

軸受部の取付けに外部ボトムブラケット工具そして10mmの半軸連結ボルト回しにクランクセット工具(右図)が必要。

クランクセット

1段
2段
3段

概要

クランクとスプロケットをボルトで連結して一体としたものはクランクセットと呼ばれている。英国ではチェーンセットと呼ばれ、同じく欧州のUCIも英国用語を使っている。ロードバイク用及びマウンテンバイク用などがある。

» クランクセット

段数

スプロケットの数によって1段、2段および3段の3種類がある。1段構成は1段クランクセット(シングルクランクセット)、 2段構成は2段クランクセット(ダブルクランクセット)そして3段構成は3段クランクセット(トリプルクランクセット)と呼ばれることがある。

スプロケットを取付けるためにクランクから放射状に出た腕(足)は、スパイダー(くも)と呼ばれる。スプロケットのクランク腕への取付けには、専用のスプロケットボルトおよびスプロケットナットが使われる。

クランク軸取付穴

クランク軸取付穴は、クランク軸端の4種類の形状のいずれかに対応した形となる。JISのコッタレスクランクのクランク軸取付穴は、断面が正方形で軸方向の面勾配が2°の穴が開いている。この穴に軸端が四角形のクランク軸が入る。 規格外ではあるが、クランク軸取付け穴を四角ではなく、軸端に合せてセレーション(鋸歯状)加工したクランクもある(例えば、オクタリンク)。

取付穴の向き

四角テーパーのクランク軸に取付けるためのクランクの角穴の向きは2種類ある。角穴の頂点を結ぶ線がクランク中心線と一致する向きが一般的であるが、稀に中心線に対して45°傾いている向きがある。

ペダル軸取付ねじ

ペダリングで緩まないよう、右クランクは右ねじそして左クランクは左ねじとなっている。区別するために、右はRそして左はLの刻印があることが多い。なお、イタリアンは左右のクランク共に右ねじであるから、左右2種類のクランクを必要としない。

トラッククランクセット

トラック競技に使う自転車であるトラックレーサーに使う単段のクランクセット。剛性が要求される。

クランクの材質は冷間鍛造のアルミ合金または炭素繊維強化樹脂(CFRP)など。

クランク長は、160、165、167.5、170、172.5又は175mmなど。クランク軸は、JIS4角テーパーが使われる。スプロケット歯数は、49T、48T、46Tまたは44Tが多い。 スプロケットを取付けるボルトのPCDは、144mm。

ボルト数は5本が多い。質量は650~720g。チェーンは単段用の1/2 x 1/8が対応する。競輪に使うものは、NJS(現JKA)の認定マークが付く。

中空クランク

軽量化のために、管のように中空にしたクランクは中空クランクという。シマノはホローテックと名づけている。中空クランクは製法が複雑なので高価となる。 製法はメーカーによって異なるが、一つの製法は溝形の鍛造アルミ合金を2つ向き合わせ、接合部を溶接して作る。

コンパクトクランク

コンパクトクランクは、34Tなどの歯数の少ない(小さい)スプロケットが装着できるよう、固定するボルト穴のピッチ円直径(PCD)を110mm以下にしたクランクまたはそのクランクとスプロケットとの組合せ。 一般に、50_34T(又は50_36T)の2段であることが多い。3段より質量が小さく、かつ左右のへダル間距離が短くなる利点もある。前ディレイラーは3段の必要がなく、後ディレイラーは長ケージの必要はない。欠点はスプロケットの磨耗が早いこと。Hamiltonは2002年のツール・ド・フランスにおいて、52_36Tのコンパクトクランクで走った。

クランク長

クランク軸芯とペダル軸芯の距離をクランク長と呼び、ぺダル従って足の回転半径が決まる。シティサイクルの27型のクランク長は170mmそして26型のクランク長は165mmであることが多い。マウンテンバイクなどのその他の自転車のクランク長は車輪外径(型)に関わらず170mmであることが多い。マウンテンバイクの中には175mmのクランクがついているものがある。

スポーツバイク用のシマノのクランク長は165mmから180mmまで、次のように2.5mmおきにある。
165、167.5、170、172.5、175、177.5、180

なお、フランスのストロングライト社のクランク長は160~182.5mm、そして、TA社のクランク長は150~185mm。

参考資料:クランク長の例

クランク長 計算器

脚長を半角数字で入れて、_計算_を押して下さい。 ケイデンスが70~80rpmの場合の脚長に適応した最適クランク長および望ましいクランク長が出ます。

ここで言う脚長とは、素足で床に立った時の(ペダル踏み幅を近似するために、足の内間隔を150mmほど離して立つ)、床から大腿骨上端(脚の関節部分、指で押すと分かる)までの距離で、鋼製巻き尺で測れます。脚長は股下寸法よりもペダルに加わる力とより関連する。(人によるが、脚長は股下寸法よりも50mm前後長い。)

望ましいクランク長は、四捨五入前の最適クランク長±2.5mmを四捨五入した範囲となっています。

クランク長 計算器
脚長 mm
最適クランク長 mm
望ましいクランク長
mm
計算例
脚長820mmの人は、最適クランク長は168mmそして望ましいクランク長は165~170mmとなる。

ケイデンスとクランク長

クランク長はケイデンスとも関連があり、ケイデンスが大きい場合は最適クランク長は短くなる傾向にある(右図)。常用ケイデンスが約90rpm以上の場合は、クランク長はやや短くする。逆に常用ケイデンスが約60rpm以下の場合は、クランク長はやや長くする。トラックレーサーは高ケイデンスで使われることが多く、クランク長は短めとなっている。

クランク長と動力

動力が最大となるクランク長がある。

脚長と胴長

統計上、背が高い人ほど、身長に対する脚長の割合が大きく、胴長の割合が少ない。言い換えると、背の高い人と低い人を比べると脚長差は胴長差よりかなり大きい。従って、脚長の代わりに、身長によってクランク長を決めることは適切でない。会議室などで椅子に腰を掛けているときは、誰が背が高いのか判然としないが全員が起立すると分かる。

クランク軸

クランク軸と軸受が一体となったユニットはボトムブラケットという奇妙な名称で呼ばれている。ハンガーまたは頭文字をとってBBとも呼ばれる。

クランク軸長によってチェーンラインが決まる。前後スプロケットのチェーンラインの差が1mm以内となるよう軸長を選定する。

左右のクランクはスプロケットへのトルクの伝え方が異なる。左クランクはクランク軸を通して右クランクのスプロケットへトルクを伝達するのに対し、右クランクはスプロケットに直接にトルクを与える。

クランク軸単体の強度については、JIS D9415に次の規定がある。中央より左右それぞれ50mmの位置(クランク取付部)で支持し、中央に荷重を加えたときの破断荷重は20kN以上で、そのときの荷重と中央のたわみとの積は30Nm以上でなければならない。

クランク軸をクランクと連結する形式には、次のようにコッタード、四角テーパー、オクタリンク及びISISなどあるが互換性はない。

コッタード

クランクとクランク軸の固定に、コッターを使うクランク。クランクのコッター穴(径9.35mm)は、クランクとクランク軸が一体になった穴であるが、穴芯は軸の外周部を通るため、軸の穴部は半円状の平たい切り欠きとなる。 この部分をコッターの平たい部分が押す。シティ車に使われている。コッターはクランクをクランク軸に固定するために、その軸に偏芯して垂直にクランクおよびクランク軸に開けた共通の穴に差し込むくさびの栓。 一端に雄ねじが切ってあり、取付後ナットで固定して外れないようにする。

四角テーパー

クランク軸の両端の断面が四角で2°のテーパー(四角テーパー)となっている連結方式。コッターを使わないので、コッターレスとも呼ばれる。 クランクは同じく四角でテーパーの付いた穴があいている。JISおよびISOの規格がある。JISとISOを比べると、2°のテーパーは同じであるが、四角の幅および長さは少し異なる。そのためクランクが軸に入る位置も少し異なる。

JISクランクをISOクランク軸に入れると、4.5mm余分に奥に入る。ISOクランクをJISクランク軸に入れると、4.5mm外に出る。JISに準拠しているのはシマノなど、そしてISOに準拠しているのはカンパニョーロなど。

四角テーパーのクランク軸の付いたボトムブラケット(BB)はフランスのストロングライト社が1940年代に初めて世に出した。

オクタリンク

V1
V2

クランク軸に8歯のスプラインを使う連結方式をシマノはオクタリンクと名づけている。8歯のセレーション(スプライン)を使っている。オクタは「8」のこと。左写真は当初出たV1形(XTR、DuraAce、Ultegra、105 )そして右写真はその後に出たV2形(DeoreXT、DeoreLX、Deore、Tiagra、Sora)。スプラインの外径は等しいが、その長さと幅が異なるために互換性がない。V1は長さ5mm、幅2.2mmそしてV2は長さ9mm、幅2.8mmとなっている。

ISIS

クランク軸に10歯のスプラインを使う連結方式をメーカーはISISと名づけている。オクタリンクはシマノの特許のため無償で使えないので、メーカー数社が対抗して作った規格。国際規格であるかの如き紛らわしい名称となっているがメーカー(Race Face Performance Products社およびSRAM社 など、なお、Race Face Performance Products社は、2011年に18年の歴史を閉じた )の規格。スプラインの歯は10歯で、その断面形状はスプロケットと似ている。スプライン長さは16mmで1°のテーパーが付いている。 クランクはM15のボルトで固定する。軸の強度および軸受などの構造などは、メーカーによって異なる。オクタリンクは8歯で断面形状も異なるため互換性はない。

ポリゴンP3

DIN 32711の軸断面形状を採用した軸端。軸断面がおむすびのような多角形(ポリゴン)をしている(上図の赤色)。テーパーが付いている。ドイツの戦車の駆動軸の結合部形状として考案されたといわれる。マウンテンバイクのクランクセットとして採用しているメーカーがある。他の形状に比べて強度が大きいとメーカーはいう。

参考資料:スプロケット

スパイダー

  くも(スパイダー)の足のように、放射状に腕(アーム)または足が出た部品を一般にスパイダーという。スプロケット取付けのために、クランクから放射状に出た足は、スパイダーアームまたはスパイダーという。日本ではくもの足と言うが、米国ではくもの腕と言う。足の数は3~6本。スパイダーとクランクを一体成形した一体形およびクランクと連結する連結形がある。例えば、5本の足が出ているものは、5足スパイダーという。クランクを1本の足として兼ねたものもある。

一体形

ロード車用のクランクは、一体形が一般的。下図に4足スパイダーおよび5足スパイダーを示す。

軽量化のためにクランクを1足として使っている形がある。スパイダーの付いたクランクは、スパイダーアームクランクまたはスパイダークランクという。

連結形

連結形は中央に雌スプラインがあり、クランクの雄スプラインが入り、ロックリングで固定してトルクを伝達する。ロックリングの着脱は、ロックリング工具で行う。スプロケットを固定するボルト穴があり、そのピッチ円直径(PCD)は、94、104、110又は130mmなどがある。

ピッチ円直径(PCD)

中には、クランクに複数(5本または4本)の腕(アーム、スパイダー)が付いていて、それを複数のボルトでスプロケットと固定する型がある。このボルト群は、ある仮想円の上に配置されている。この仮想円の直径(単位はmm)を、スプロケットボルトのピッチ円直径(PCD)と言う。取り付け相手のピッチ円直径と合わない場合は、両方のピッチ円直径を持つアダプターが必要となる。

スプロケットボルトに対して、PCD=110及び130mmの2種類のボルト穴を設けたスパイダーがある(下図)。

ピッチ円直径 計算器

ボルト穴数および穴芯間距離(となりの穴芯との直線距離)を半角数字で入れて、_計算_を押して下さい。クランクのボルト穴の ピッチ円直径(PCD)が出ます。

穴芯間距離
ピッチ円直径 計算器
ボルト穴数
穴芯間距離 mm
ピッチ円直径 mm
計算例
ボルト穴数 5そして穴芯間距離 76.5mmの場合、ボルト穴のピッチ円直径(PCD)は130mm。

ピッチ円直径と歯数

スプロケットを付けるクランクアームのピッチ円直径(PCD)と最小歯数の関係を表2に示す。

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表2 クランクのピッチ円直径に対する最小歯数
ピッチ円直径 [mm]144135130110967458
最小歯数 [T]41383834282420

同表において、ピッチ円直径135mm(カンパニョーロ等)と130mm(シマノ等)の違いは、主にメーカーの規格の違い。

歯数が大、中および小の3段のスプロケットを付けるクランクは、大および中のスプロケットを付ける。大PCDおよび小スプロケットを付ける小PCDを設けている。例えば、大PCDが130mmそして小PCDが74mmの場合、PCD130x74のように表す。

ピッチ円直径が110mm以下のクランクは、コンパクトクランクまたはコンパクトドライブと呼ばれることがある。

クランクオフセット

クランクオフセットは、ペダル軸が付く面とクランク軸が付く面間の垂直距離(図の距離c)。図において、クランクオフセット c = b - a 。JIS D9415(自転車-クランク)によれば、クランクオフセットは正であること(c>=0)。

ロープロファイルクランク

幅の短いボトムブラケットにおいてもクランクがチェーンステイに当たらないように、外の方へ曲げたクランク。かかとおよび足首がクランクに当たりにくい。1980年代に現れた形状。それ以前はクランクはフレーム芯と平行であった。現在もクランクはフレーム芯と平行であるのが一般的。この真っすぐなペダルをロープロファイルと呼び、曲がった形はワイドプロファイルと呼ぶのが適切と思われる。

エアロクランク

スパイダーを円盤状にして、空気抵抗を減らそうとしたクランク。クランクも幅広の板状にした形もある。エアロは空力(空気力学)のこと。タイムトライアルバイク及びトライアスロンバイクなどに使われることがある。

クランクボルト

クランクをカートリッジボトムブラケット(BBユニット)のクランク軸に取付けるボルト。ボトムブラケットのメーカーおよび形式によって異なる。

クランクキャップ

クランクをボトムブラケットのクランク軸に固定するボルト部に、ごみ及び水が入らないよう、且つねじを保護するため、そして美観上取付けるふた(キャップ)。キャップには外ねじが切られていて、クランク軸穴の内ねじにねじ込む。キャップを回すために、5mmなどの六角レンチを入れるための六角穴またはピンスパナを入れる穴などが設けられている。キャップを外して、クランク抜きの工具をねじ込む形のクランクもある。

可変長クランク

クランク長を変えられるクランク。アジャスタブルクランクともいう。クランク長をかえる機構として次のような方式がある。

差込

ペダル軸を取付ける差込(インサート)を変えることによってクランク長を変える。3種の差込はペダルねじを切ったペダル軸穴位置が2.5mmずれており、クランク長を170mm、172.5mm又は175mmに変えることができる。

伸縮

ペダルの付いたクランクアームを中空にしたクランク本体の中でピストンのように伸縮(スライド)させ、側面からねじで固定してクランク長を無段階に変える。

ペダルスライド

独自のペダル取付板をクランク上でスライドさせることによってクランク長を無段階に変える。右図に2社の例を示す。

スパイダー位置

クランクをスパイダーに取付ける位置を変えることによってクランク長を変える。

ローターシステム

足からクランクへの動力伝達を大きくすることを意図して、左右のクランクが同時には死点とならないようにしたクランク機構の商品名。スペインの Rotor Bike Componentes社の製品。真偽は分からないが、メーカーは動力が最大16%増加すると主張している。

右クランク裏とスパイダーの間に付けためがね状のリンクによってクランクとスパイダー間の角度が連続的に変わるようにして、右クランクが下死点のときは左クランクは上死点を過ぎており、かつ左クランクが下死点のときは右クランクは上死点を過ぎているようにしている。

90°位置および270°位置においては左右のクランクは共に水平となる。

軸Aおよび軸Cはスパイダーに付いている。軸Bは右クランクの裏から独立に出たアームに付いており、軸Dはクランクの裏に付いている。

リンクXは軸Aと軸Bを連結している。リンクYは軸Cと軸Dを連結している。Qファクターはロードの2段用が151mm、ロードの3段用が160mmそしてMTB用が170mmとなっている。チェーンラインはロードの2段用が44mm、ロードの3段用が45mmそしてMTB用が50mmとなっている。質量は、ロードの2段用が1190g(チタン)または1280g(鋼)、ロードの3段用が1210g(チタン)または1300g(鋼)。そしてMTB用が1195g(チタン)または1280g(鋼)となっている。

工具

クランク抜き工具

 クランクをクランク軸から外すクランク抜き工具がある。クランク抜きは、ナットに相当するナット部およびボルトに相当するボルト部で構成している。ボルト部は1本物でその外ねじがナット部の内ねじ(見えない)を通って左右に出ている。ナット部はナットの下部外面にもねじが切られており、この雄ねじをクランクの M22x1 の雌ねじにダストキャップを外してねじ込む。その前に、クランクをクランク軸に固定している固定ボルトは8mm六角レンチで外しておく。ナット部にねじ込まれているボルト部の六角をスパナなどの工具で回すと、その先端の回転板がクランク軸端を押して、クランクがクランク軸から押し出される。回転板がボルト部に対して自由に回ることにより、ボルト部とクランク軸端の間の回転摩擦がない。

ワンキーリリース

クランク抜き工具を使わず、六角レンチでクランクをクランク軸(BB軸)から外せるようにした、クランクの着脱方式をワンキーリリースという。いわば、クランク抜き工具を内蔵したような機能。クランクのキャップを取り付けた状態で、中央の六角穴付きクランクボルトを、8mm(メーカーによっては6mm)の六角レンチで半時計方向に回して緩める。クランクポルトのフランジ(フランジ付きボルト)が、クランクにねじ込まれて一体となったキャップの内面と接しているので、キャップ(従ってクランク)がクランクポルトのフランジによって外へ押されて、クランクが外れる。

取付時には、キャップ内面とクランクボルトフランジ外面にグリースを塗布して、取外し時の摩擦抵抗を減少させる。

ロックリング工具

連結形スパイダーをクランクに取付けるロックリングを回す工具。工具はスパナで回す。

外部ボトムブラケット工具

外部ボトムブラケット(イクスターナルBB)のアダプター(16切込み)をボトムブラケットシェルに取付けるための工具。 柄が付いた形およびソケットレンチで回す形がある。柄付形はレンチを必要とせず、締付時に工具の歯とアダプターの切込みとの噛み合いが見える。キャップ締付工具が付属している。

ソケットレンチ形(丸形)はトルクレンチを使って所定トルクで締付けることができる。締付トルクは30~50Nm。

キャップ締付工具

ホローテック IIなどの左クランクのキャップを締め付けるための工具。シマノの商品番号はTL-FC16。締付トルクは0.4~0.7Nm。

強度試験

JIS D9415(自転車-クランク)に規定があるクランクの強度試験を以下に示す。

ペダル取付部静荷重強度

試験用クランク軸にクランクを水平に固定し、 試験用ペダル軸を取り付け(締付けトルク 40±5 Nm )、取付面から55mmの位置の負荷点に鉛直荷重1,500Nを1分間加え、荷重を除いたときの変位は2mm以下でなければならない(下図)。

スプロケット固定強度

右クランクが水平になるよう、大スプロケットにチェーンをかけて固定し、負荷点(クランクのペダル軸芯上)に鉛直荷重2,000Nを1分間加えたとき、結合部分に緩みを生じてはならない(下図)。

クランク水平落下衝撃強度

試験用クランク軸を鉛直に固定し、負荷点(ペダル取付軸芯上)に10kgの重りを150mmの高さから10回落下させたとき、クランク軸が破損してはならず、永久変形量はクランク先端で測って5mm以下でなければならない。

クランク鉛直落下衝撃強度

試験用クランク軸を水平に固定し、試験用ペダル軸を付けたクランクを鉛直下方に取付け、負荷点(ペダル軸のペダル面から100mm位置)に質量10kg(おもり台を含む)のおもりを1,000mmの高さから落下させちとき、クランクが破損してはならない。 鋼製クランクについては、この試験を省略できる(下図)。

繰返し疲労強度

試験用クランク軸を水平に固定し、左右のクランクおよび試験用ペダル軸を取付け、負荷点(クランク面から65mmの位置)に1,400N(鋼製クランクについては1,100N)の荷重を周期25Hz以下で5万回加えたとき、クランクにひび割れおよび破損がなく、クランクとクランク軸との結合部にがたを生じてはならない。なお、クランクの水平からの下げ角は45度にし、荷重の方向は右クランクは鉛直下方、左クランクは鉛直上方とし、交互に荷重を加える。

トルク

クランク角によるチェーン駆動のトルク変動を下図に示す。

クランク角0°及び360°はペダルが上死点に来た位置。クランク角180°はペダルが下死点に来た位置。トルク曲線の下の面積は動力を表している。

左クランクによってクランク軸にはトルクが加わり右クランクに伝達される。一方、右クランクはクランクスプロケット(チェーンリング)に直接トルクを伝達する。この左右のクランクのトルクがチェーンを駆動する。

クランクスプロケット、チェーン及び後輪スプロケットには周期的に変動するトルクが加わることとなる。

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