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自転車のねじ等の締付けトルク

自転車のディレイラー、ブレーキ、クランク、ボトムブラケットなどの締付けトルクについて、確認方法や注意点と、シマノ部品の場合を例に実際のトルク(数値)を紹介します。

適正なトルクで締め付けるには、自転車整備に適したトルク範囲に対応しているトルクレンチを使用します。

自転車部品の締付けトルクは、同じ種類の部品でもメーカーやモデル、年式、固定方式、材質などによって異なります。ここで紹介する数値は、あくまでも特定の製品や方式に適する例であり、すべての自転車や自転車用部品に共通する標準値ではありません。

ホイール、ハンドル、ステム、ブレーキ、クランク、ペダル、サドルなどは、取付け不良が転倒や重大な事故につながる部品です。作業後に確実な固定と正常な動作を確認できない場合は乗車せず、自転車専門店で点検を受けてください。

締付けトルクの確認と作業順序

  1. 締め付け部付近や部品に、刻印または印刷された値を確認する。
  2. 部品の正確な型番などを調べ、メーカー公式の取扱説明書を確認する。
  3. フレーム、フォーク、ハンドルなど組み合わされる側に許容される上限値も確認する。
  4. 工具、潤滑剤、ねじ固定剤、締付け順序などが指定されている場合はそれに従う。

特に、カーボン製のフレーム、フォーク、ハンドル、シートポスト等や、それらにパーツを取り付ける際は、締めすぎにより破損や外観からは分かりにくい損傷が生じることがありますので、各メーカー推奨の指定トルク値をあらかじめご確認ください。

シマノ部品の場合の例

以下は、シマノ公式の一次資料「ディーラーマニュアル 基本作業書(DM-GN0001-30)」に掲載された部品の締付けトルクの例です。掲載ページも付しますのでそちらでも確認可能です。

実際の整備の際は、自転車・フレーム・フォーク・部品等に表示された指定値や、その製品の取扱説明書の内容を最優先してください。製品を特定できない場合や複数の指定が食い違う場合は、推測で締め付けず、メーカーまたは自転車専門店に確認することをお勧めします。

作業書は専門整備者向けのディーラーマニュアルです。数値だけでは作業手順を完結できませんので、専門知識がない場合や手順・適合を確認できない場合は、自分で取り付けず専門店へ依頼してください。

1. リアディレイラー

部位・作業内容締め付けトルク使用工具(適する工具)掲載ページ
リアディレイラー取付け
(スタンダードタイプ)
8 - 10 N·m5mm六角レンチP.25
リアディレイラー取付け
(ブラケットタイプ / BMXタイプ)
3 - 4 N·mスパナ / メガネレンチP.13, P.26
インナーケーブル固定ボルト6 - 7 N·m4mm / 5mm六角レンチP.19, P.30
プーリー固定ボルト
(プーリー交換)
2.5 - 5 N·m3mm六角レンチP.23, P.34

作業時の注意: リアディレイラー本体はフォークエンドとの間にすき間がないことを確認し、ケーブルは指定された溝に沿わせて固定してください。プーリーには取付け方向の指定があるため、矢印などを確認してください。


2. フロントディレイラー

部位・作業内容締め付けトルク使用工具(適する工具)掲載ページ
バンドタイプ クランプボルト5 - 7 N·m5mm六角レンチP.39
Eタイプ ブラケット固定ボルト5 - 7 N·m六角レンチ / スパナP.40
Eタイプ BBアダプター35 - 50 N·mシマノ専用BB工具P.40
ワイヤー固定ボルト
(MTB/トレッキング用)
5 - 7 N·m5mm六角レンチ / 9mmスパナP.44 - P.46
インナーケーブル固定ボルト
(ロード用)
6 - 7 N·m5mm六角レンチP.56, P.62

作業時の注意: クランプの高さ・角度、チェーンガイドとチェーンリングの位置、ケーブルの通し方は方式によって異なります。トルク値だけで位置決めせず、該当する取付け図と調整手順に従ってください。


3. ブレーキシステム

ディスクブレーキ

部位・作業内容締め付けトルク使用工具(適する工具)掲載ページ
ディスクブレーキローター
(センターロック方式)
40 - 50 N·mTL-LR15(モンキレンチ併用)
/ TL-FC36 / TL-LR11 / TL-LR10
P.82, P.83
ディスクブレーキローター
(5本・6本ボルト留めタイプ)
2 - 4 N·mヘクサロビュラ(トルクス)#25P.84 - P.86
ブレーキレバー取付け
(下記の特定モデルを除く)
6 - 8 N·m4mm / 5mm六角レンチP.87
ブレーキレバー取付け
(BL-M987 / BL-M9000 / BL-M9020
/ BL-MT200 / BL-MT201
/ BL-MT401 / BL-MT402-3A)
4 - 6 N·m4mm / 5mm六角レンチP.87
ブレーキホース接続ボルト
(レバー側)
5 - 7 N·m8mmスパナP.91
バンジョーボルト
(キャリパー側 / 3mm六角)
5 - 7 N·m3mm六角レンチP.92
バンジョーボルト
(キャリパー側 / 4mm六角)
8 - 10 N·m4mm六角レンチP.92
キャリパー取付けボルト
(ポストマウント / ISマウント)
6 - 8 N·m5mm六角レンチP.106, P.107
ケーブルサポーター
(C型ガイド / ケーブルストッパー)
0.3 - 0.5 N·m六角レンチ / ドライバーP.109
ブリードねじ
(Oリング部)
0.3 - 0.5 N·m六角レンチ / ドライバーP.120

作業時の注意: 5本・6本ボルト留めローターは、指定された順序で専用ボルトを締めてください。ロックワッシャー付きタイプのロックワッシャーは再使用できません。油圧系統の作業後は、ホースの差込み、Oリング、オイル漏れ、レバーの感触およびブレーキの作動を確認してください。

リムブレーキ(Vブレーキ / キャリパー / カンチ)

部位・作業内容締め付けトルク使用工具(適する工具)掲載ページ
Vブレーキ
レバー取付けボルト
6 - 8 N·m4mm / 5mm六角レンチP.121
Vブレーキ
リンク固定ボルト
(フレーム台座)
5 - 7 N·m5mm六角レンチP.122
Vブレーキ
シュー固定ナット
6 - 8 N·m5mm六角レンチP.123
Vブレーキ
ケーブル取付けボルト
6 - 8 N·m5mm六角レンチP.123
キャリパーブレーキ
取付けボルト
(ナットタイプ)
8 - 10 N·m5mm六角レンチ / 10mmスパナP.127
キャリパーブレーキ
シュー取付けボルト
5 - 7 N·m六角レンチ / スパナP.128
キャリパーブレーキ
ケーブル固定ボルト
6 - 8 N·m六角レンチ / スパナP.128
カートリッジシュー固定ボルト1 - 1.5 N·m2mm六角レンチP.131
カンチレバーブレーキ
シュー固定ナット
8 - 9 N·m10mmスパナ / 5mm六角レンチP.135
カンチレバーブレーキ
ケーブル取付けボルト
6 - 8 N·m5mm六角レンチP.135

作業時の注意: シューの左右・前後方向、リムとの位置およびすき間、ケーブルの通し方を取扱説明書どおりに調整してください。取付け後はレバーを繰り返し操作し、各部の固定、シューのすき間および正常な制動を確認してください。


4. フロントチェーンホイール / クランクセット / BB

部位・作業内容締め付けトルク使用工具(適する工具)掲載ページ
左クランクアーム
取付けボルト
(2本交互締め)
12 - 14 N·m5mm六角レンチP.145
クランクアーム キャップ0.7 - 1.5 N·mTL-FC16 / TL-FC18P.144
HOLLOWTECH II
左右BBアダプター
35 - 50 N·mTL-FC32 / TL-FC33
/ TL-FC36 / TL-FC37
(TL-FC24 / TL-FC25 アダプター併用)
P.143
OCTALINK
/ スクエアタイプ
BB本体・アダプター
50 - 70 N·mTL-UN74-S / TL-UN66P.148, P.149
スクエアタイプ
クランク取付けボルト
35 - 50 N·m8mm / 10mm六角レンチ、
または TL-FC10 / TL-FC11
+ 15mmスパナ
P.150

作業時の注意: HOLLOWTECH IIのキャップは軸方向のすき間を調整する部品で、左クランクアームの固定ボルトとは指定トルクが異なります。はずれ止めプレートとプレートピンを正しくセットし、2本の固定ボルトを少しずつ交互に締め、約100 km走行後および定期的にトルクを再確認してください。BBのグリス、スペーサー、ねじ方向は該当する方式の指示に従ってください。


5. ペダル / クリート

部位・作業内容締め付けトルク使用工具(適する工具)掲載ページ
クリート取付けボルト
(SPD 仮止め)
2.5 N·m4mm六角レンチP.159
クリート取付けボルト
(SPD / SPD-SL 本締め)
5 - 6 N·m4mm六角レンチP.160, P.165
ペダル取付け
(クランクアームへの装着)
35 - 55 N·m8mm六角レンチ
/ 15mmペダルレンチ
P.161, P.165

作業時の注意: ペダルのねじ部には指定どおり少量のグリスを塗布してください。右ペダルは右ねじ、左ペダルは左ねじです。6mm工具穴のペダルは6mm六角レンチだけで本締めせず、ペダルレンチ面がある場合は15mmペダルレンチを使用してください。クリートは位置を調整して確実に固定し、安全な場所で装着・解除を練習してください。製品別マニュアルに異なる指定がある場合は、そちらを優先してください。


6. ハブダイナモ / フリーホイール

部位・作業内容締め付けトルク使用工具(適する工具)掲載ページ
ハブナット
(M9 / E2タイプ フロントホイール固定)
20 - 25 N·m15mmスパナP.172
フランジナット
(J2 / J2-Aタイプ フロントホイール固定)
20 N·m15mmスパナP.172, P.173
マルチプルフリーホイール取付け30 N·mTL-FW30
(スパナ / モンキレンチ併用)
P.181

作業時の注意: ハブナットまたはフランジナットは片側だけを集中的に締めず、左右を交互に締めてください。ホイールが確実に固定され、ハブダイナモの配線が正しく接続され、車輪を回したときにライトが点灯することを確認してください。


その他

表に無い部品についても、汎用的な数値を当てはめず、その自転車・部品の取扱説明書を確認してください。

指定値や作業手順を確認できない場合は、自転車専門店への依頼をお勧めします。

作業時の注意

  • 指定値がトルクレンチの測定範囲内にあることを確認する。
  • 低トルクのねじには、対応するトルクドライバーなどを使用する。
  • ボルトに合う寸法・形状のビットを奥まで差し込み、工具をボルトに対してまっすぐに保つ。
  • グリス、ねじ固定剤、ワッシャーの有無は締付け軸力に影響するため、説明書の指定に従う。
  • 複数のボルトで固定する部品は、指定された順序で少しずつ均等に締める。
  • 再使用不可の指定があるボルト、ロックワッシャー、ナットなどは再使用しない。
  • トルクレンチの数値だけでなく、取付け方向、部品のかみ合わせ、必要なすき間、摩耗や損傷の有無も確認する。

トルクレンチ

クイックレリーズ(クイックリリース)について

従来型のホイール用クイックレリーズは、単純にナットをトルクレンチで締める固定方式ではありません。レバーをOPEN位置にして車輪をフォークエンドまたはフレームの奥まで確実にセットし、レバーがハブ軸と平行になる付近から閉じる手に抵抗を感じるよう、調整ナットで固定力を調整します。そのうえで、手のひらを使ってレバーをCLOSE位置まで力強く閉じます。レバーをナットのように回して固定してはいけません。

レバーが簡単に閉じる場合は固定力が不足しています。反対に強すぎて閉じられない場合も、調整ナットを一度に大きく回さず、少しずつ再調整してください。閉じたレバーはフレームやフォークに沿わせ、走行中に障害物に引っ掛かったり、ディスクブレーキローターなどに干渉したりしない位置にします。乗車前には、レバーがCLOSE位置まで閉じていることと、車輪が正しく固定されていることを毎回確認してください。

詳しい調整方法、レバーの向きおよび乗車前点検は、シマノクイックレリーズ取扱説明書を参照してください。

» トルクレンチ

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