概要
道路勾配の表し方
道路標識
道路勾配の測り方
傾斜計
高度計
標高距離図
道路勾配変換器(角度→%)
道路勾配変換器(%→角度)
平均勾配 計算器
シミー
概要
自転車は坂に敏感で、視覚では感じられない坂でも、ペダルがやや重くなったり(上り坂)、やや軽くなる(下り坂)ことで、とてもゆるやかな坂の存在を知ることがある。
一方、勾配5度の坂は分度器を見ると大した坂でないように思われますが、自転車には大変きつい坂です。勾配5度の坂が20mあると、もはや坂の向こうは見えない。
道路構造令の第20条によれば、道路の縦断勾配は道路の区分および設計速度に応じて、2~12%以下でなければならない。
長距離の坂の状況は、坂の断面図である標高距離図を作成して把握する。
動力体重比の大きい人は登坂に有利。直線の下り坂をペダルを漕がず高速で下ると、シミーと呼ばれる横振動を起こすことがある。
参考資料:登坂時間計算器
道路勾配の表し方
道路勾配を表す方法には、パーセント(%)と角度があるが、一般にはパーセントが使われる。パーセントは水平100mに対して、垂直に何メートル上がるかで表し、1m上がれば1%となる。水平1mに対して垂直に1cm上がるのが1%の坂と考えたほうが感覚的には分かりやすい。勾配45°の道路は存在しないが、この道路を%勾配で表すと勾配100%となる。なお、直立の崖の%勾配は無限大となる。
道路勾配を式で表すと次式のようになる。
道路勾配[%] = 100 x 垂直距離[m]÷水平距離[m]
坂を上るのに必要な力は、道路勾配[%]にほぼ比例する。例えば4%の坂は2%の坂のおよそ2倍の力を必要とする。
道路標識
勾配を表わす道路標識がある。勾配は、パーセント(%)で表わされている。上り勾配及び下り勾配がある。
道路勾配の測り方
坂の傾きは、ホームセンターなどで売っている傾斜計を道の段差ブロック(路肩ブロック)の上に置くと分かる。路面はでこぼこがあるので、路面に置く場合は定規などを置いてその上に置くと良い。坂道の始まり部および終わり部は緩やかなので(縦断曲線となっている)、その区間を過ぎた地点で測るのが望ましい。
または、次のように水準器と棒と巻尺を使って測定できる。1mの棒を道路の縦断方向(進行方向)に、水準器で水平に置き棒端と路面の垂直距離をcm単位で計ればその値がそのまま道路勾配[%]となる。例えば、垂直距離が2.8cmなら、道路勾配は2.8%。棒の長さが1mでない場合は、次式で計算できる。
道路勾配[%] = 100 x 水平棒端と路面の距離[mm]÷棒の長さ[mm]
例えば、棒の長さが500mmそして棒端と路面の距離が12mmの場合は、道路勾配[%] = 100 x 12[mm]÷500[mm] = 2.4%
傾斜計
道路勾配を計測する計器は、傾斜計または勾配計と呼ばれる。右図は水準器の原理を使った傾斜計で、ハンドルに付けて使う。
サイクルコンピュータの中には、道路勾配を計測する機能の付いたものがある。センサーの違いにより、次の2種類の形がある。
1) 気圧計を使って高度差を出し、それを距離で割って短区間(100m以上)の平均勾配を表示する。
2) 重力の向きを検知するセンサーを使って、現在の勾配を表示する。
高度計
- 気圧高度計
- 気圧を測定して高度を表示する計器。手のひらにのる大きさ。高度が高くなると気圧が下がるという関係を使っている。気圧高度計を搭載した腕時計及びサイクルコンピュータがある。
- GPS高度計
- GPSの機能を使って高度を表示する。GPS受信機に搭載されていることがある。
標高距離図
標高距離図(プロファイルマップ)は、グラフの縦軸に標高(m)をとり、横軸に距離(km)(地図上の水平距離)をとつて、坂の状況を断面図としたもの。国土地理院発行の2万5千分の1の地形図および地図上で距離の測れる地図距離計(キルビメータ)を使って作る。峠越えのサイクリングなどで、坂の状況を把握するのに使われる。
A4のグラフ用紙(方眼紙)を横にして、縦軸の1cmを標高差100m(1mmが10m)とすると、標高差1800mまで書ける。2cmを標高差100m(1mmが5m)とすると、標高差900mまで書ける。横軸は1cmを1kmとすると26kmまで、
5mmを1kmとすると52kmまで書ける。 画面の地図上でルートをなぞると標高距離図が自動的に作成されるソフトもある。
道路勾配 変換器(角度→%)
半角数字で、道路勾配を[度]の単位で入れて、計算を押して下さい。[%]の単位に変換されます。
道路勾配 変換器(%→角度)
半角数字で、道路勾配を[%]の単位で入れて、計算を押して下さい。[度]の単位に変換されます。
道路勾配の[%]と[度]の関係線図を下図に示す。タンゼント(tan)曲線であるが、角度が小さいので直線に近い。
道路平均勾配 計算器
区間距離および標高差から、平均勾配を計算する計算器です。
区間距離(延長距離)および標高差を半角数字で入れて、計算を押して下さい。道路の平均勾配が出ます。
神奈川県箱根町を通る国道1号線(箱根駅伝の道)に於いて、宮ノ下(標高417m)~箱根峠(標高818m)間の区間距離は13.4kmそして標高差は401m。上の計算器で計算すると平均勾配は3%となる。ただし、下り坂も含まれているので、上り坂だけの平均勾配はこれよりやや大きくなると思われる。なお、最大勾配は13%(恵明学園前~湯坂路付近)。
栃木県日光市の第2いろは坂(上り)の区間距離は9.5kmそして標高差は約400m。平均勾配を計算すると、4.2%となる。なお、最大勾配は8.8%。第1いろは坂(下り)の区間距離は6.5kmそして標高差は約400m。平均勾配を計算すると、6.2%となる。なお最大勾配は13.4%。この事例では、最大勾配は平均勾配の約2倍となっている。
注:標高差は国土地理院発行の2万5千分の1の地形図(大きな書店で売っている)から読みとれます。
参考資料:道路最大勾配
シミー
シミーは、坂や丘を(ペダルを漕がずに)高速(30km/h以上)で下るときなどに、前輪の接地点に対し前輪(およびその上の頭管)が横振動を起こす現象。
人間/自転車系の横振動数5~10Hzの共振現象。影響する要因は速度、人と自転車の質量(自転車の質量が小さいほうが起こしやすい)、フレームの横弾性(自転車は縦方向の剛性は大きいが、横方向の剛性は小さい、剛性が大きいと起こしにくい)および路面の粗さ(路面が粗いほど共振のかく乱要因となりシミーは起きにくく、舗装の良い路面は起こしやすい)など。
片足を上管に乗せるか、またはサドルから腰を浮かすと、振動系が変りシミーが止まることがある。ハンドルをきつく握ると、かえってシミーを増幅させる。ハンドルを軽く握っているとシミーを起しにくい。