概要
ハブに取り付け共に回転する、ディスクブレーキの円盤。ブレーキディスク及びディスクブレーキローターとも言う。
ブレーキローターをキャリパーのブレーキパッドで締付けて制動する。
次の意図でローターに複数の穴をあけている。
(1)穴の淵でパッドの表面を清掃する。(2)軽くする。(3)穴の換気作用で放熱をよくする。
型式
分割形及び一体形がある。分割形は、スパイダーにローターをM4などのボルト6本(又は5本)で固定している。それぞれ適切な材質とする。
大きさ
ローターの大きさは外径で表し、140、160、(165)、180、(185)、200および(203)mmなど。140mmは後輪用。
クロスカントリー(XC)バイクには160mmローターそして丘下り(DH)バイクには200mmローターが使われることが多い。
前輪と後輪ではローター径が異なることが多い。例えば、前輪は180mmそして後輪は160mmとした形がある。
フレーム及びフォークのスペースから200mmのローターは取付できない形がある。
大きいほど制動トルクが大きくかつ放熱性も良い。ただし、やや重くなる。
厚さ
1.8mm及び2mmなど。
取付方式
ローターを取付けるハブの台座(マウント)は、センターロックおよびボルト取付のISがある(右上図)。
センターロックはシマノの特許でスプラインで回り止めをしてロックリングで固定するので作業は早い。ISは6本のボルト(M5など)で固定する。
取付手順
ボルト取付方式(IS)は、ボルト(
ローターボルト)締めによってローターが歪まないように少しずつ右図の順序(1→3→5→2→4→6)で均等に締める。
緩めるときも同じ順序で均等に緩める。
アダプター
シマノのセンターロック台座を6穴ボルトのローターが使えるように変換する部品として、
センターロックアダプターがある。
放熱
放熱性を良くするために、アルミ合金フィンを付けた形がある。温度が約40℃低くなるという。
形状、模様
ウエーブローターと称する形状がある。模様で構成した、マウンテンバイク用のローターもある。
多層ローター
軽量化のために、ステンレス鋼をアルミ合金に積層(アイステック)または鋼をカーボン(CFRP)に積層した、
3層ローターがある。
材質
材質は高炭素鋼、ステンレス鋼、チタン合金、アルミ合金及びカーボンセラミックなど。
ローターはチタン合金とし中央部(ローターキャリアー)はカーボン又はアルミ合金として軽量化した形もある。
磨耗
硬度が大きいほど磨耗は少ない。アルミ合金製は軽いが磨耗は早い。
質量
各社の金属性ローターの質量を打点したグラフを示す。外径180mmのローターの質量は、約150gである。
外径160mmのカーボンセラミック製ローターの質量は、約60gである。
精度
「ディスクの外縁部内側5mmの位置における横ぶれは0.8mm以下」(JIS D9414、自転車-ブレーキ)と規定しているが、0.2mm以下であることが望ましい。
また、ローターの左右の平行度は0.02mm以下であることが望ましい。平行度を出すためにはローターの左右の面を同時に加工する。
平行度が悪いと、ブレーキ掛けにおいて脈動による振動及び騒音が生じることがある。
リコール
Cannondaleは2013年モデルのSlice RS(トライアスロン及びタイムトライアルバイク)のブレーキローターがゆるむことがあるとして約500台をリコールした。
メーカー
シマノ 、ヨシガイ 、AbsoluteBlack 、Alligator 、Ashima 、BBB Bike Parts 、Bitex Industrial 、Braking 、Carbon-Ti 、Clarks Cycle Systems 、Fibrax 、Formula Brake 、Gatorbrake 、
Gusset Bikes 、Hayes Disc Brake 、Hope Technology 、Interloc Racing Design 、Kettle Cycles 、LLS 、Magura 、Moment Industries 、Mucky Nutz 、
Quad Technologies 、Ravx 、SRAM(Avid) 、SR Suntour 、Scrub Components 、Tektro Technology 、Trickstuff 、Uberbike Components 、
Xi’an Changda Titanium Products 、
など。