アウター (outer、outer cable、cable housing、outer housing)

概要

ブレーキまたは変速機のケーブル(ロープ)を、中に通し案内する特殊チューブの和名。ケーブルハウジング、アウターケーブル、アウターワイヤーまたはアウターケーシングとも呼ばれる。ケーブルハウジング以外は和製英語。ケーブルと合わせて、自転車のライフラインと言う人がいる。

発明者

アウターとその中に入れたケーブル(ロープ)で力を伝達するという機構は英国のRaleigh Bicycle Company の創立者のFrank Bowden(1848-1921年)によって発明されたもので、エンジンの燃料スロットルの操作用などとしても使われている。発明者の名からボーデンケーブルと呼ばれることもある。

用途

ブレーキ用および変速機用がある。ロープを引いた張力とほぼ同じ大きさの圧縮力がアウターに働く。構造等はメーカーによって異なる。変速機用はブレーキ用より圧縮強度が小さいので、ブレーキ用として使用してはならない。言い換えるとブレーキ用と変速機用は互換性はない。

ブレーキ用


テフロン樹脂チューブの外面に長方形断面の鋼帯をらせん状に巻き、その上に樹脂製の外装チューブをかぶせてある(シマノ製)。鋼帯を密着巻きにすることにより、ブレーキ操作による圧縮力に耐えると同時に自由に曲げることができる。曲げる曲率半径に応じて長さがいくらか変わるが、ブレーキとして問題はない。写真は外装チューブを部分的に剥がし、らせん鋼帯を出した状態。ナイロンをコーティングしたプラスチック製(質量18g/m)もある。

変速機用


テフロン樹脂チューブ外面に複数(18本程)の直径0.5mmの丸鋼線(ワイヤー)を、ピッチ100mm程の大変ゆるい螺旋状に巻き、その上を樹脂製の外装チューブで覆っている(シマノ製)。このような構造にすると、圧縮力による変形が少なく、かつ、アウターを曲げてもロープの通る中心線の長さは変わらない。この特性はディレイラーの正確な移動のために重要。正確なSISを可能にした。ブレーキ用アウターほど圧縮力には強くないが、大きな圧縮力は働かない。写真は外装チューブを部分的に剥がし、鋼線を出した状態。

外径

4 、4.5 、5及び6mmなど。

カラーアウター


アウターの色は黒が一般的であるが、白などの色の付いたものもある。画像の色は一例。

セラミックアウター


一端に球面のへこみそして他端に球面の出っ張りのある長さ約4mmの数多くのセラミック円筒(右図)をテフロンチューブに数珠のように通し、その外に熱収縮性のプラスチックを被せて熱収縮させたアウター。 アウターは圧縮変形しないことが求められるが、セラミックは圧縮変形しない。ブレーキ用と変速機用は共通。