エネルギー効率の高い走り方
ペダル回転数の測り方
ペダル回転数の意味合い
ハイ及びローケイデンス
ケイデンスと時間記録
ケイデンス計算器
ペダル1回転時間計算器
エネルギー効率の高い走り方
ペダル(クランク)回転数が一定になるように走ると、エネルギー効率が高い。そのためには、上り坂、向かい風や悪路など走行負荷が大きくなる場合は、変速機で速度を落としペダル回転数は変えないようにする。つまり、ペダル回転数が一定となるよう、変速機で速度を変えて走るのが効率的な走り方となる。
坂道を上る時、最低速の回転比(ギア比)で走ると、ペダルが回転している割には走行速度が遅いので、相対的にペダルがぐるぐると速く回っているように感じる。
しかし、ペダル回転数を測ってみると、平地走行時の回転数と変わらない。
ペダル回転数の測り方
右のペダルのみに注目して、腕時計の秒針(デジタルの場合は、秒数字)によって、60秒(1分)間に回したペダル回転数を数えると、それが毎分回転数(rpmと表す)となる。 ペダル(クランク)の毎分回転数は、ケイデンスと呼ばれる。
サイクルコンピューターの中には、ケイデンスが測れる機能が付いたものもある。
ペダル回転数の意味合い
ペダル(クランク)回転一定で走るのが効率的な訳だが、その一定回転数は体力差などにより個人差がある。また、サイクリングと競技では回転数が異なる。
風が強くない平坦路におけるペダル回転数は、一般には下記(ペダル回転数の意味合い)のようであるが、好みや個人差があるので目安。自分に適した回転数を決めるのが望ましい。
エネルギー効率の高い70rpm前後が標準的な回転数。坂道および強風の向かい風のときは、ペダル回転数を下げる。
最適回転数はクランク長によって変わる。クランク長が長いと最適回転数は低くなる傾向にある。
ペダル回転数の意味合い
- ~40 rpm
- 変速機トップでこの回転数だと、筋肉の負担が大きい。
- 50 rpm
- マウンテンバイクでの登坂に適当。普通歩行と同じリズム。普通の歩行数は毎分50歩行(右1歩+左1歩のサイクルを1歩行として)。
- 50~60 rpm
- 変速機なしのシティ車(ママチャリ)に適当。
- 60~70 rpm
- 変速機付きのシティ車やマウンテンバイクに適当。ロードバイクの登坂に適当。60 rpmは1秒間に1回転。
- 70 rpm
- エネルギー効率が最も高い。サイクリング、通勤および旅行に向いている。
- 70~80 rpm
- クロスバイクやランドナーに適当。
- 80~90 rpm
- 長距離競技用。ツール・ド・フランスの競技者の多くがこの範囲。
- 80~100 rpm
- ロードレーサーはこの範囲が適当。ランス・アームストロングは低ギア比の95 rpmで長距離の坂道を登った。
- 0~100 rpm
- この回転数範囲では、ペダルに加えることの出来る力の大きさはほぼ一定。
- 100 rpm
- タイムトライアルはこの回転数の人が多い。ほとんどの長距離時間記録は、この回転数で出ている。その平均は約103 rpm。
- 100 rpm~
- 100 rpmより回転数が上がると、回転数の上昇と共にペダルに加えられる力は減少していく。ペダルの速さを追って力を加えることが困難になっていくため。
- 120 rpm
- この回転数から上では馬力は低下していく。
ハイ及びローケイデンス
速いペダル回転はハイケイデンスそして遅いペダル回転はローケイデンスということがある。しかし、その基準は何回転であるという定義はない。
エネルギー効率の高いケイデンス70rpmを基準にして、それより早やければハイケイデンスそしてそれより遅ければローケイデンスと見なしてもよい。
あるいは、自分の常用ケイデンスを基準にして考えてもよい。
一般に、ハイケイデンスはローケイデンスに比べて疲れにくいので長距離走行に向いているが、心拍数は上がる。
訓練として見ると、ハイケイデンスは心肺機能の訓練向いており、ローケイデンスは筋力及びその持久力の訓練に向いている。
ケイデンスと時間記録
1937年から1996年までの世界時間記録(アワーレコード)を出した自転車(トラックレーサー)の転がり(ペダル1回転で進む距離)およびケイデンス(ペダル毎分回転数)をグラフにして、下図に示す。
縦軸は1,900年代の下2桁(例えば、40は1,940年のこと)そして横軸は転がり(赤点)およびケイデンス(青点)となっている。同一年次(横線)の転がりとケイデンスは、同一の記録であり対応している。 年代を追ってこのグラフを見ると、時間記録の更新はケイデンス(青点)の増加によってではなく、転がり(赤点)の増加によって得られている。 ケイデンス(青点)のグラフを見ると、速度を出すためのケイデンスは105rpm前後が上限であることを示している。
なお、時間記録とは、1時間に走った距離の記録。数値上は平均速度[km/h]に等しい。一般に、時間記録は観衆が見守る風の無い屋内競技場で計測される。
転がりは、ギア比とタイヤ外径で決まり、次式で求められる。
転がり[m] = ギア比 x 後輪外径[m] x 3.14
転がり大きいと足への負担が大きいため、成長途中の青少年には、大きな転がり(8m以上)は好ましくない。
走行速度は転がり(ロールアウト)とケイデンスの積として求まり、次式で計算できる。
走行速度[km/h] = 転がり[m] x ケイデンス[rpm] x 0.06
参考: 多段転がり計算器
ケイデンス計算器
速度計にケイデンス(ペダル毎分回転数)表示がない場合、次の計算器で計算できます。
ギア比または総合ギア比、タイヤ外径および走行速度を半角数字で入れて、[計算]を押して下さい。ケイデンス(ペダル毎分回転数)が出ます。
(注 1) ギア比 = クランクスプロケット歯数/後輪スプロケット歯数
(注 2) 内装変速機(ハブギア)の場合は、ギア比に替えて総合ギア比を入れてください。
- 計算例 1
- ギア比 2.8 、タイヤ外径 678mm そして 走行速度 26km/h の場合、ケイデンスは73rpm
- 計算例 2
- 総合ギア比 2.6 、タイヤ外径 694mm そして 走行速度 23km/h の場合、ケイデンスは68rpm
ペダル1回転時間計算器
ケイデンスからペダルが1回転する時間を求める計算器です。
ケイデンスを半角数字で入れて、[計算]を押して下さい。ペダルが1回転する時間が計算できます。
- 計算例
- ケイデンスが80rpmの場合、ペダルが1回転時間する時間は、0.75秒。
計算器で計算したデータをグラフにして、下図に示す。ペダルを1秒間に1回転させると、ケイデンスは60rpmとなる。