転がりの定義
転がりとは、ペダル1回転で進む距離のこと。ロールアウトまたはディベロップメント(展開)とも言う。転がりは、ギア比とタイヤ外径で決まり、次式で計算できる。
転がり = ギア比 x 後輪外径 x 3.14
転がりは、足および脚に対する負荷の目安となる。転がりが大きいほど負荷が大きい。ギア比の範囲に替えて、転がりの範囲で変速の範囲を表すこともできる。
転がり制限
転がりが大きいほど脚および足への負担が大きい。少年競技(レース)では、成長期の脚および足を保護するという意味で、転がりに制限を設けることが多い。具体的には、ディレイラーの制限ねじで制限する。ある少年競技の転がり制限の例を表1に示す。例えば、18歳の男性の転がりは7.9m以下でなければならない。
年齢 | 転がり制限 |
---|---|
13才以下 | 5.5m |
15才以下 | 6.0m |
17才以下 | 6.5m |
19才以下 | 男:7.9m、女:7.4m |
USA cyclingの競技規定の中の転がり制限を表2に示す。同表のロード競技の転がり制限は、青少年ロード競技のUCIの転がり制限7.93m(26feet)に等しい。
競技 | 年齢 | 転がり制限 |
---|---|---|
ロード | 10~18才 | 7.93m |
トラック | 10~12才 | 6.00m |
13~14才 | 6.36m | |
15~16才 | 6.78m | |
17~18才 | 制限なし |
サイクロクロス競技およびマウンテンバイク競技については、転がり制限の規定がない。チェーンが前最大スプロケットおよび後最小スプロケットに掛かっているとき、すなわちギア比最大のときに、転がりは最大となる。
転がり試験
少年競技の自転車の転がりは、例えば次のようにして判定する。
- 転がり制限の距離の始点および終点に進路と直角の直線の印を付ける。
- チェーンを前最大スプロケットおよび後最小スプロケットに移す。
- クランクを垂直にして始点の印の位置に合わせる。
- 自転車を後に押して、クランクが1回転する位置で止める。
- 垂直になったクランク位置が終点に達していなければ合格。
多段転がり計算器
次の計算器で、クランクスプロケット(前スプロケット)と後スプロケット(カセット)の全ての組み合わせに対応した転がり(ペダル1回転で走る距離)が一度に計算できます。
タイヤ外径、クランク スプロケット歯数および後輪スプロケット歯数を半角数字で入れて(無い段の歯数は空白のままとする)、[計算]を押して下さい。歯数の組合せに対応した転がりが出ます。
(表が見切れる場合は横にスクロールできます)
- 計算例
- タイヤ外径678mm(700x28C)、クランクスプロケット歯数、30-39-53T、そして後輪スプロケット歯数、12-13-14-15-16-17-19-21-23Tの場合。
- 計算結果
- 上表のように、小スプロケット使用時の転がりは 2.78~5.32 m、中間スプロケット使用時の転がりは 3.61~6.92m、そして大スプロケット使用時の転がりは 4.91~9.4m。
青少年ロード競技のUCI の転がり制限7.93mを超えているので、この自転車ではUCI公認の青少年ロード競技には出られない。青少年の脚・足の発達上、7.93m(約8m)以上の転がりは好ましくないとすれば、クランクの大スプロケットと後輪の1段~3段のスプロケットの組合せは転がり制限を越えるから青少年は使わないことが望ましい。
走行速度計算器
転がりにケイデンスを掛けると、毎分速度[m/分]となる。速度換算すると毎時速度[km/h]となる。次に、転がりとケイデンスから速度を計算する計算器を示す。
- 計算例
- ペダル1回転で走る距離が8.87mそしてペダル回転数が80rpmの場合、走行速度は42.6km/hとなる。