自転車泥棒
個人泥棒
自転車泥棒は道徳心のない男性で年齢は13~25歳であることが多い。盗んだ自転車は道などに放置されることが多く、見つかるのを恐れ犯人が乗ることは少ない。稀に、インターネットで売却されることもある。盗んだ高級ロードバイクは、部品が中古専門店などに売却されたとがある(犯人は警視庁に窃盗容疑で逮捕された)。「他人の高級自転車を無断でネットオークションに出品し、売却先を確保した上で盗み出していたとして、警視庁池袋署は、窃盗容疑で30代の男の逮捕状を取った」(時事通信 )
窃盗団
軽トラックなどで住宅地などを回り、鍵のかかった自転車を車に積んで盗む。犯人は外国人が多い。盗んだ自転車は外国に売却する。
泥棒はなくならない
「浜の真砂(まさご)は尽きるとも世に盗人(ぬすっと)の種(たね)は尽きまじ」(石川五右衛門)
泥棒を減らすには
泥棒を減らすには、学校での道徳教育が必要。教育の目的は「人格の完成をを目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」(教育基本法第一条)。
盗難場所
愛知県警察、新潟県警察及び宮崎県警察のそれぞれの調査では、自転車の約70%は駐輪場で盗まれている。次に多いのはアパート・マンションを含む住宅(新潟県、宮崎県)及び路上(愛知県)。盗まれた自転車の約60%(新潟県)及び約50%(宮崎県)は施錠していなかった。
盗難対策
- 錠
- 種類の異なる錠を前輪及び後輪に使う。
- 保管
- 保管方法及び場所を検討する。屋内に保管すれば盗まれない。
- 駐輪場
- 有料で管理人のいる駐輪場を使う。
- 記録、保管
- 自転車のメーカー名、一連番号(フレームに刻印がある)及び防犯登録番号を記録しておく。自転車の領収書は保管しておく。
- 写真
- 盗まれたときに警察に見せられるように、自転車の写真を撮っておく。
- 届出
- 盗難に合ったときは資料を持って速やかに近くの交番、駐在所または警察署に届け出る。見つかった自転車は所有者が引き取りに行かなければならない。
防犯登録
防犯登録は防犯登録所として指定を受けている自転車販売店又はホームセンターなどでできる。自動車運転免許証、健康保険証などの身分を証明できるものを持参する。「自転車防犯登録カード」に住所、氏名、電話番号を記入する。登録料は1台につき500円。有効期限は県によって異なり7~10年間。 インターネットで購入した自転車を防犯登録する場合は、車体番号を確認しなければならないため自転車を持参する必要がある。引越しなどで住所、電話番号が変わったときは、近くの交番、駐在所または警察署で変更の手続きをする。防犯登録を規定している法律、条項および条文は、次の通り。
「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」(1980年11月25日制定)
「第12条(自転車等の利用者の責務)
3 自転車を利用する者は、その利用する自転車について、国家公安委員会規則で定めるところにより、都道府県公安委員会が指定する者の行う防犯登録(以下「防犯登録」という。)を受けなければならない。」
「自転車の防犯登録を行う者の指定に関する規則」(国家公安委員会規則)
「第1条 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律第十二条第三項 の規定による指定(以下「指定」という。)は、自転車の盗難の防止及び盗品である自転車の回復に資するため、次に掲げる業務(以下「登録業務」という。)を同項 の防犯登録に係る業務として行おうとする者の申請により行う。
1 自転車を利用する者の申出により、登録カードを作成するとともに、当該申出に係る自転車に登録番号標を表示すること。
2 登録カード又は登録事項(自転車を利用する者の氏名又は名称及び住所、登録カード作成の年月日、登録番号その他登録カードに記載する事項をいう。以下同じ。)を、前号の申出のあった場所を管轄する都道府県警察に送付し、又は通知すること。 」
錠(ロック)
規格
規格としては「JIS D9456 自転車-錠」がある。規定のある錠は、馬てい錠、ワイヤ錠、チェーン錠および箱形錠。U錠の規定はない。
かぎ付き錠は、かぎによってシリンダを回転又はシリンダを移動させて開錠する構造で、専用のかぎ以外のもので容易に開錠してはならない(JIS D9456)。
馬てい錠
錠より円弧形の棒を出して、リムの内側のスポーク間に通して錠の反対側に入れて施錠する方式の錠。主に、シティ車のシートステイに取付けて、後輪が回らないようにするために使われる。リング錠とも言う。
ワイヤー錠
錠に固定されていて先端に連結金具の付いたワイヤーロープを錠に差し込んで環状とする錠。一般に、ワイヤーロープを後輪リムおよびフレームの後三角に通して固定する。路面に固定された金属棒などにフレームを固定することもできる。ケーブル錠またはケーブルロックとも呼ばれる。
チェーン錠
リンクがチェーン(くさり)でできている錠。くさりの部分にはカバーが付いている。くさりは錠と一体にした形および錠としては小さなU錠を使っている形がある。 キーであける形および数字ダイヤルを合わせてあける形がある。くさりの材質はメーカーによって異なり、切断しにくい硬度の大きい特殊鋼を使っているメーカーもある。
箱形錠
箱形をした錠。箱錠ともいう。スポーク間に錠の棒を入れて車輪が回わらないようにする。主に、シティ車に使われる。安全性は高くない。JIS D9456(自転車-錠)においては、箱形錠は自転車用補助錠と位置づけ、他の自転車用錠と併用するように規定している。
U錠
挟む部分がU形の錠。例外としてO形もある。一般に、後輪リムをフレームの後三角に留める。かぎ(キー)を下から入れる形式は横から入れる形式よりも泥棒が壊しにくいと言われる。オートバイ用は大きいが、自転車には小形でよい。シャックル錠ともいう。
手錠錠
カフロック又はカフ錠ともいう。2個の手錠(ハンドカフ)をチェーンで繋いでいる。一方の手錠で自転車のフレームなどを挟み、他方の手錠でフェンス柱又は自分の他の自転車などを挟む。手錠部分の口は75mmまで広げることができる。チェーン長さは、300mmなど。ワイヤー錠より切断されにくいとしている。
アラーム錠
警報(アラーム)のでる錠(ロック)。 警報の大きさは、110dBが一般的であるが中には120dBもある。電池が必要。 警報の出し方は、ケーブルの切断を検知する形または内蔵センサーで動きと衝撃を検知する形などがある。前輪又は後輪のディスクブレーキのローターに付ける形もある(右図の赤矢印)。
リンクプレート錠
鋼製の6個のリンクとシリンダー錠で構成している錠。リンクを後輪リムおよびフレームの後三角に通して固定する。又はフレームを何かの固定物に固定する。リンクの全長は約80cm。折りたたむと小さくなる。
自転車固定錠
コンクリートなどの壁または塀に自転車の上管(トップチューブ)を固定する錠。 錠は自転車のハンガーを兼ねており、アンカーボルトで壁または塀に固定しておく。錠の取っ手で棒を引いて錠を開き、上管を置き、棒を差し込んで鍵をかける。
ロッキングスキュアー
車輪またはサドルの盗難防止のために、鍵または専用のレバーを使わなければ開放できないようにしたスキュアー。セフト(盗み)プルーフスキュアー又はセキュリティスキュアーとも言う。
串(スキュアー)の長さは、前輪のつめ間隔、後輪のつめ間隔およびサドル支柱クランプによって異なるが、鍵または専用のレバーは共通となっている。鍵の種類を多くして盗まれにくくした形もある。レバーを使わずに、六角レンチで開閉する形式もある。
セキュリティボルト
頭の形状を専用のレバー又はソケットを使わなければ回せないようにしたボルト。ボルト止めした部品の盗難防止を目的としている。
セキュリティナット
頭の形状を専用のレバー又はソケットを使わなければ回せないようにしたナット。ナット止めした部品の盗難防止を目的としている。
アンカー
- 概要
- 自転車を固定するためのアンカー(いかり)。ロックアンカー、グラウンドアンカーまたはセキュリティアンカーともいう。コンクリートなどの地面または壁面にアンカーボルトで固定し、自転車をチェーン錠などでアンカーに固定する。
- ボルト
- アンカーを固定するボルト数は2本または4本。 ボルトが六角レンチで回せないよう、ボルト頭の六角穴に打ち込む鋼球が付属しているものもある。ボルトが回せないようボルトカバーの付いた形もある。
- 取付方法
- コンクリートドリルで下穴をあけ、アンカーボルトを入れてその心棒またはスリーブをハンマーで打ち込むと下部が開きアンカーボルトが下穴に固定される。
ウオールアンカー
壁(ウオール)に付けるアンカー。自転車の盗難防止のためチェーン錠又はくさりなどで自転車をレンガ及びコンクリートなどの壁面に固定するためのアンカー(いかり)。右端図はレンガ壁に埋め込んだ形。レンガ1個分の大きさとなっている。
保管
- 屋内保管
- 屋内に保管すれば、盗難に合うことはまずない。
- 自転車カバー
- 自転車に雨、雪および直射日光が当たらないように被せる覆い。防塵にもなる。錠と合わせて防犯効果もある。自転車カバーを折りたたんで入れる収納袋の付属したものもある。材質はビニル、ナイロンまたはポリエステルなど。シートまたは織物がある。良くない材質のものは、日光で劣化して破れる。
- 自転車保管庫
- 家庭などで自転車を保管するための施設。出し入れのための扉が付いている。雨および雪から自転車を保護すること並びに盗難防止を目的としている。施錠できる。横から入れるもの及び前から入れるものがある。多くは薄鋼板で作られている。 収容台数は1~3台。設置スペースの一例は、2000 x 1100mm。自転車保守用品などを置く棚のついたものもある。前面カバーの付いたテント形もある。自転車庫ともいう。
警報器
自転車を動かすとその動きを検知して、大きな警報音を出す器具。警報音の種類を選べるものもある。音の大きさは110dBが一般的。警報音が継続する時間は、例えば15秒など。防水形となっている。電池が必要。電波によってリモコンに連絡する形もある。取付位置はフレームの立管、サドル支柱又はハンドルなどの管状の個所。自分が乗るときに警報音が出ないようにするには、本体の暗証スイッチで暗証記号(例えば、CBA・・・など)を押すもの、又は本体及びリモコンのスイッチを入れる方法などがある。アラーム、自転車アラーム又はセキュリティアラームともいう。
監視カメラ
防犯カメラともいう。盗難の抑止効果に期待する。人を検知すると自動的に撮影する形もある。赤外線で夜間も撮影できる形もある。監視カメラの外観と同じであるが撮影はできないダミーカメラもある。
GPSトラッカー
GPSで自転車などの位置を追尾する設備。自転車トラッカー及びGPSトラッキングシステムともいう。自転車泥棒によって盗まれた自転車の位置を知ることが出来る。尾灯、立管又は操縦管などの中に取り付け、振動センサーによって作動する。左図は立管取付形、中図は尾灯内部に付いている形の構造そして右端図は操縦管取付形。一例は、盗難に遭うとスマートフォン及びパソコンに20秒おきに位置をアップロードする。当初は、警察がおとり捜査に使うおとり自転車用に開発されたが、一般用も市販されている。
おとり自転車
警察が自転車泥棒を逮捕するために、おとり捜査に使うGPSトラッカーを装備した自転車。比較的高価な自転車を使い、盗難のよくある場所に置いておく。自転車が動くと動きセンサーで検知し警察の設備に警報が出て、警察官が追跡を始める。オランダのアーメルスフォールト市(Amersfoort)などで導入されている。カリフォルニア州ロサンゼルス市警察は、おとり自転車を使って2年間で35人の自転車泥棒を逮捕した。右図は追跡して逮捕された自転車泥棒。
(当記事は本来あるべき画像が複数抜けています)