下管シフター
概要
ムの下管(ダウンチューブ)の上部横に付けるシフター。ダウンチューブシフターとも言う。前ディレイラー及び後ディレイラーにそれぞれ1個のレバーが対応する。
取付
ブレーズオンに取付けるか又は付属のクランプで取付ける。
操作
操作するときは操作する手をハンドルから離す。立ち漕ぎをしながらの操作は困難。SISと摩擦式を切り替えできるものもある。SISが作動不良になった時は、摩擦(フリクション)に切り替えて使う。
利点
STIに比べて、機構が複雑でなく安価、軽量そしてアウター及び操作ロープ(ケーブル)が短いという利点がある。変速回数の多い後ディレイラーにはSTIを使い、変速回数の少ない前ディレイラーには下管シフターを使って、全体として質量を減らすという方法もある。
バーエンドシフター
概要
ハンドル(バー)の端(エンド)に付けるシフター。前ディレイラー用及び後ディレイラー用がある。
用途
1990年初期にSTIが出現するまで、ドロップハンドルに使われていたが、現在も使われている。エアロバー及びリカンベントのUSSハンドルに使用できるが、操作上平ハンドルには向かない。サイクロクロスバイク、トライアスロンバイク、タイムトライアルバイク及び旅行車などに使われることがある。
機械式
8段、9段、10段及び11段用がある。摩擦シフトとインデックスシフトの切り替えができる形もある。インデックスが故障したときは、摩擦に切り替えて使う。
電気式
シマノのDi2はボタンで操作する。カンパニョーロのEPSはレバーで操作する。レバーを押すと変速が始まり、離すまで続く。レバーのみ中立位置に戻る。
取付
ハンドルへの固定方法の一例は、ハンドルの管端にシフターの幹部を差し込んで六角レンチでねじを締めると、幹部が広がり固定される。使用できるハンドル管端の内径は、19~22mm(シマノ製の場合)。
材質
材質はアルミ合金及びCFRP(俗に言うカーボン)など。
握りシフター
変速機の握り回転式シフター。ハンドルの握りの根元に付けたディレイラー用グリップを親指と人差し指で握って回転させることにより、ディレイラーを移動させる変速機のシフター。グリップを回すとその中の溝にロープ(ケーブル)を巻きつけてロープを引っ張り、ディレイラーを移動させる。どのスプロケットが使われているかを示す指示器が付いている。人によっては、レバー式シフターより操作がしやすい。
グリップシフター、ツイストシフターおよびレボシフター(シマノ語)とも言う。ブレーキレバーと一体の形もある。マウンテンバイクおよびシティ車などに使われる。
STI
ブレーキレバーとシフトレバーを上下に重ね合わせて一体にしたシマノの方式。STIはShimano Total Integrationの略語。ドロップハンドルに使用し操作性が良い。
右手で後ブレーキ及び後ディレイラーを操作し、左手で前ブレーキ及び前ディレイラーを操作する。左右とも、ブレーキレバーを中央側へ動かすと、チェーンが大スプロケットへと移動する。シフトレバーを中央側へ動かすと、チェーンが小スプロケットへと移動する。シフトロープの引きは、ラチェットで行っている。
STIのブレーキレバーはアーム比(機械利得)が小さいので、Vブレーキ(アーム比が大きい)には使えない。
エルゴパワー
概要
ドロップハンドル用のブレーキレバーとシフトレバーを一体にしたカンパニョーロ方式の商品名。シマノのSTIに対応する。STIの成功を追って開発された。
操作
ブレーキレバーの背後の副レバーを、薬指と小指で内側へ押すと、チェーンは大スプロケットへ移動する。本体内側の指レバーを、親指で押すとチェーンは小スプロケットへ移動する。アップシフトとダウンシフトでは別の指を使うので誤操作が無い。STIには指レバーはない。
レバー材質
炭素繊維強化樹脂(CFRP、俗に言うカーボン)。樹脂にメッキすると金属のように見える。
エルゴパワーとSTIの比較
エルゴパワーとSTIの外観上の違いを表に示す。エルゴパワーはハンドル前にアウターが出ていないので、ハンドルバッグの取付ができる。ブレーキレバーの背面にあるシフトレバーは、STIではチェーンを小スプロケットへ移すのに対し、エルゴパワーでは大スプロケットへ移すという違いがある。
項目 | STI | エルゴパワー |
---|---|---|
レバー | ブレーキレバーは シフトレバーと共用。 |
ブレーキレバーは ブレーキ専用。 |
アウター | ブレーキ用は バーテープ下となるが シフター用は外に出る。 |
ブレーキ用および シフター用共に バーテープの 下となる。 |
Di2
概要
シマノの電子制御シフトシステム。機械式のロープ(ケーブル)は使わない。電気式SISシフター、電気式前ディレイラー、電気式後ディレイラー、蓄電池、配線及び充電器で構成されている。取付位置は機械式と同じ。防水、耐振及び耐寒となっている。
グループ
2008年にデュラエース(Dura Ace)として市販された。その後、2011年にアルテグラ(Ultegra)用が追加された。
特徴
機械式のケーブル(ロープ)及びアウターによって生じる問題がない。シフトが約30%早く、かつ正確。用途は主に競技用。高価。
シフター
シフトはボタン(固体スイッチ)操作で行い、その位置は機械式のSTIに対応している。操作に力はいらない。機械式のように大きく動かず、動きは約2mm。パソコンのマウスをクリックする感じ。
ブレーキレバーのエンボスの付いたボタンを押すとチェーンは大スプロケットへ動き、レバーから後方へ出っ張ったボタンを押すと小スプロケットへ動く。フードに機械式シフターの部品を入れる必要がないので、形状は人間工学設計ができる。質量は255g。フライトデッキコンピューターと接続できる。
タイムトライアルバイク及びトライアスロンバイクに使うブレーキレバー/シフター及びバーエンドシフターもある。上下一対のボタンの内、一方はダウンシフト用そして他方はアップシフト用。
サテライトシフター
スプリンターがドロップハンドルのドロップ部を握った状態で後ディレイラーをシフトさせるシフトボタン(上図の赤矢印)。右手側のシフターでダウンシフトそして左手側のシフターでアップシフトを行う。
前ディレイラー
CPUを搭載している。プログラムされた自動作動となっている。サーボモーターで動く。ケージはチェーンをこすらないよう、後ディレイラー位置に対応して動く。後ディレイラーはチェーンの弛み側でチェーンを移動させるのに対し、前ディレイラーはチェーンの張り側でチェーンを移動させるので、後ろディレイラーよりはるかに動力の大きいサーボモーターが付いている。ケージの移動を制限するL(ロー)制限ねじ及びH(トップ)制限ねじが付いている。最大スプロケット歯数は、50~56T。最大キャパシティは16T。質量は124g。チェーンラインは43.5mm。
後ディレイラー
プログラムされた自動作動となっている。サーボモーターで動く。案内プーリの移動を制限するL(ロー)制限ねじ及びH(トップ)制限ねじが付いている。対応するスプロケット歯数は、最大が27Tそして最小が11T。トータルキャパシティは32T。質量は225g。
バッテリー
7.4Vリチウムイオンバッテリー。バッテリー受けのブラケットは、下管(ダウンチューブ)のボトルケージの座(ボス)に付ける。ケージが付いている場合は、ケージで挟んで付ける。質量は68g。充電器が付属している。公称使用可能距離は1000km。充電時間は90分。Calfee Design社は、フレームの立管(シートチューブ)に入るDi2用のバッテリーを作っている。
立管より取り出したバッテリーに付属の充電器のプラグを接続して充電する。コントローラーをハンドルステムの下部からハンドルステムに内蔵できるようにした自転車メーカーがある。
配線(ワイヤーハーネス)
シフター用及びディレイラー用で一組となる。シフター用は左右のシフターと接続する。ディレイラー用の短い配線は前デイレイラーと接続し、中間の長さの配線は後ディレイラーと接続し、そして長い配線はシフター用のコネクターと接続する。連結箱(ジャンクションボックス)はボトムブラケットシェルの下のロープ案内を外して付ける。
バッテリー受けとも配線されている。シフター用の配線長さは、フレームの大きさに応じて、S、M及びLの3種類がある。
内部配線
Di2のフレーム内配線(インターナルケーブルルーティング)ができるように、配線穴(右図赤矢印)を設けたフレームがある。
名称の由来
Digital の後に Integrated と Intelligence の2つの I (i2)が続いているので Di2 と呼んでいる。
EPS
電気シフトに対するカンパニョーロの方式。Electronic Power Shiftの略語。頭脳部(コンピュータ)はDTIと言う。リコードEPS及びスーパーリコードEPSがある。シフトレバーを押しておく時間で進む段数が決まる。1.5秒押すと11段進む。ロードバイク用及びタイムトライアルバイク/トライアスロンバイク用がある。
レトロシフト
シフターをブレーキレバーの前方上部に取付ける方式のブレーキ本体とレバーの商品名。ブレーキフードを持つことの多いサイクロクロスバイク用に作られた。STI は主にドロップハンドルのドロップ部を握って操作するのに対して、レトロシフトはブレーキフードを握って操作する。ドロップ部を握って操作するのは困難。シフターとしてはシマノなどの下管シフター(ダウンチューブシフター)又はバーエンドシフターを使う。
他社の部品(下管シフター又はバーエンドシフター)を付けると、シフター付きのブレーキレバーが出来上がる。シフター座の色は、緑、赤、青、灰(グレー)及び黄金(ゴールド)の5色がある。レバーの色は銀及び黒がある。