接触
前輪の泥よけまたはタイヤがつま先に当たることを、つま先接触(トウオーバーラップ)と呼ぶ。直進および半径の大きい曲がりでは、ハンドルを少ししか切らないから問題ないが、低速のためハンドルの切れが大きいと、つま先接触を起こす自転車がある。
前傾の乗車姿勢を重視して上管長を短くしたロード車の中には、前中距離(フロントセンター距離)も短く、つま先接触を起こすものがある。
ハンドルが切られていること及び切った方向と反対側のペダルが前に来ていることが同時に起きなければつま先接触は起こさないので、接触確率はさほど大きくない。ただし、例えばペダル回転数(ケイデンス)が60rpmの場合は、1秒間に1回の割合でペダルは前方に来ている。
泥よけの付いていない自転車に、泥よけを付ける場合は検討を要する。
つま先接触対策
つま先接触防止のために、曲がりに於いてはペダルが前輪タイヤおよび路面に当たらないように、傾いた側のペダルは上げることがある。この動作でつま先接触を避けることができる。しかし、サイクロクロスなどの競技に於いては、このような配慮は競技に不利となる。
つま先すき間の規定
つま先接触を起こさないために、つま先すき間(トウクリアランス)が必要となる。「JIS D9301 一般用自転車 」によれば、つま先すき間は89mm以上でなければならない。 ただし、結合ペダルには適用しない。米国の消費者製品安全委員会(CPSC)は、つま先すき間は3.5インチ(89mm)以上とすると規定しているので、つま先接触は転倒の危険があると考えているようである。
つま先すき間 計算器
前中距離からクランク長までの5項目を半角数字で入れて、[計算]を押して下さい。つま先すき間およびその場合の操縦角が計算できます。
注: 図の寸法には立体的な寸法を平面で表したものがあります。
- 前中距離
- ボトムブラケット軸心と前輪軸心の距離。→前中距離
- ボトムブラケット下がり
- 前輪と後輪の軸心を結ぶ直線とボトムブラケット芯の垂直距離。
- 泥よけ又はタイヤ半径
- 泥よけがない場合はタイヤ半径。
- ペダル踏面距離
- フレーム中心線からペダル踏面中心までの水平距離。
- クランク長
- クランク軸芯とペダル軸芯の距離。
- つま先すき間
- ペダル踏面中心から前輪タイヤまたは泥よけまでの最短距離。
- 操縦角
- フレーム中心線とタイヤ中心線の角度。
計算例
前中距離610mm、ボトムブラケット下がり70mm、泥よけ半径350mm、ペダル踏面距離180mm そしてクランク長175mmの場合。
つま先すき間は138mmそして操縦角は31.2°となる。
実際のつま先すき間は、靴の拇指球下から先端までの距離Bを引いた値となる(上図)。B=80mmなら、実際つま先すき間 = 138-80 = 58mmとなる。