自転車用語 (続き7)
自転車探険!
バルブステム穴 (valve stem hole)
リム
の
バルブステム
用穴。
チューブ
に付いたバルブステムをリムの外に出すために、リムに空けた丸穴。
バルブ穴
とも言う。
二重壁リム
には、内壁にもバルブステム穴が開いている。
穴の大きさは、バルブの型式によって異なり、
米式バルブ
が最も大きく(8.7mm)、
仏式バルブ
が最も小さい(6.3mm)。
英式バルブ
はその中間。 穴が大きいとリムの強度が低下するので、幅の狭いリムには米式バルブは使えない。工場では自動の穴打抜機で打抜いて開ける。
折りたたみ自転車 (folding bicycle、folding bike)
概要
電車、バス、船および飛行機などで運搬するために、工具を使わずに折りたたみ出来るようにした自転車。多くは30秒以下で折りたたむことができる。
折りたたんだ状態で倒れないものもある。
歴史
1939年にフランスのA.J.Marcelinが16型(インチ)の折りたたみ自転車の特許を取ったのが始まり。
折りたたみ
多くは
フレーム
を折りたたむためのヒンジおよび
操縦管
を折りたたむための操縦管下部のヒンジが付いている。
サドル支柱
はクランプを緩めてフレームの
立管
の中に押し込む。
ペダル
を折りたためるものもある。
フレーム
ステップスルーフレーム
とした形もある。
付属品
後荷台
及び
前かご
、
泥除け
、
スタンド
、
チェーンガード
の付いたものもある。
装備
変速機
付が多い。乗り心地を良くするために車輪が小さい補償として
サスペンション
付きもあるが、動力が吸収される他、重くなる。
車輪寸法
車輪寸法は、16型および20型が多い。14型、18型、24型、26型及び700Cもある。 計量法はインチの使用を禁じているので、カタログでは型で表している。
本体寸法
サドル高さ
および
ハンドル高さ
は
ロードバイク
などの一般車と平均的にはほぼ等しい。
折りたたみ寸法
各社の折りたたみ長さおよび折りたたみ高さを打点したグラフを右図に示す。
横軸は折りたたみ長さそして縦軸は折りたたみ高さである。
折りたたみ長さは70~95cmそして折りたたみ高さ50~75cmである。なお、折りたたみ幅は25~35cmである。16型は20型より折りたたみ寸法が短い。
ホイールベース
折りたたみ自転車はタイヤが小さいため路面の凹凸の外乱を受けやすく、
ホイールベース
が長いことは安定走行のために重要。
各メーカーのホイールベースを打点したグラフを右下図に示す。
16型より20型のホイールベースが長くなっている。
16型の平均は約930mm、20型の平均は約1010mmそして全体の平均は約980mmとなっている。これはロードバイクの平均とほぼ等しい。
ロードバイクのホイールベースは
シティ車
および
旅行車
より短く、乗り心地は必ずしも良くない。
クランク長
クランク長
は、165mm及び170mmなど。
駆動方式
チェーン駆動
、
ベルト駆動
および
シャフト駆動
がある。
電動
バッテリーとモーターで駆動を補助する折りたたみ式の
電動アシスト自転車
及び
折りたたみ電動自転車
がある。
変速
変速段数は3段、6段、7段、8段、9段、24(3x8)段または27(3x9)段である。
3段は
内装変速機
そして24段および27段は3段の内装変速機と 8段または9段の
外装変速機
を組み合わせている(
デュアルドライブ
)。
部品
小径車
の部品としては
カプレオ
がある。
運搬
折りたたんだ自転車を入れて運ぶための
輪行袋
がある。
走行速度
一例として、
クランクスプロケット
歯数45T及び後輪スプロケット(
カセットスプロケット
) 歯数9-26Tの外装変速機の付いた、
タイヤ外径462mmの自転車を
ケイデンス
70rpmで漕いだ場合は、
カセット26Tで最小速度10.5km/hそしてカセット9Tで最大速度30.5km/hとなる。
ただし、
ロードレーサー
などに比べると、車輪が小さくかつ、自転車質量が大きいのでペダル漕ぎは重い。
参考資料
「
走行速度 計算器
」
質量
各社の折りたたみ自転車質量を打点したグラフを右図に示す。自転車質量は16型の平均が12.9kgそして20型の平均が13.5kg。
ロードレーサーの質量7~10kgよりも大きい。
材質
フレームの材質はアルミ合金、クロモリ鋼およびチタン合金など。リムの材質はアルミ合金が多い。
選定
選定要因は、重さ(質量)、折りたたみ寸法、折りたたみ易さ、持ち運び易さ、装備の要否、剛性および走行性など。
競技
折りたたみ自転車メーカーのKansiがスポンサーとなった折りたたみ自転車競技(Folding Bike Race)が2007年からロンドンで行われている。
スタートすると組立てから始めて走る。2011年の競技者は100人以上。
リコール
(1) Dahonは2008~2009年に販売した折りたたみ自転車の
ハンドルステム
のヒンジに亀裂が入ることがあるとしてリコールした。
(2) Bike Fridayは2007~2012年に販売したTikit形折りたたみ自転車のハンドルステムが破損したとの報告が7台あったとして2012年に約3800台をリコールした。
(3) Mobility Holdings (Tern)は2011~2012年に生産したVerge及びEclipseモデルのフレームの下管(ダウンチューブ)の溶接部に弱い部分があるとしてリコールした。
(4) Mobility Holdings (Tern)は2012~2013年に米国で販売したモデルの上管がヒンジの所で破損することがあるとしてリコールした。
(5) West Marine(自転車小売店)は、2010~2013年に店頭及びウエブサイトで販売した中国製の2つのモデル Port Runner2及びJetty Express2は使用中にフレームが破損することがあるとして4600台をリコールした。
ロッカー
駅などに設置する折りたたみ自転車用のロッカーがある。右図は英国のある駅に設置したもの。
メーカー
17バイシルク
、
ウエルビーサイクル工業
、
エイム・インポーツアンドエクスポーツ
、
スマートコグ
、
バイク技術研究所
、
パナソニック サイクルテック
、
ビーズ
(ドッペルギャンガー)
ブリヂストンサイクル
、
ホダカ
、
村山コーポレーション
、
2x2 Worldwide
、
Aiolos Folding Bicycles
、
Airnimal
、
Amiivva
、
Asahi
、
AS Bikes
、
Atala Spa
、
Bazooka Sports
、
Bernds
、
Bianchi
、
Bigfish
、
Bike Friday
、
Birdy
、
Breezer Bikes
、
Brompton Bicycle
、
Capital Cycles
、
Citizen Bike
、
Clou
、
C.M. Wasson Company(Airframe)
、
Dahon
、
Dawes Cycles
、
Di Blasi Industriale
、
Downtube
、
Dynamic Bicycles
、
Fubi
、
Giant Manufacturing
、
Giatex Cycle
、
Grace Gallant Enterprises
、
Green Gear Cycling(Bike Friday)
、
Green Zebra Cycles
、
Halcyon Bikes
、
Heng Feng Bicycle
、
Hidesawa
、
iko Sportartikel Handels
、
Ixi Bicycle
、
Jango Flik
、
Jee Ann Bicycle
、
Kansi
、
Kenhill
、
KHS Bicycles
、
Kinn Ovations
、
Koga
、
Kwiggle Bike
、
Liyang Global
、
L.M. Gianetti
、
Long Antelope
、
Melon Bicycles
、
Mezzo
、
Miele
、
Ming Cycle
、
Mission Cycles
、
Mobiky-Tech
、
Mobility Holdings(Tern)
、
Montante Ccicli
、
Moulton Bicycle
、
Montague
、
Monty Bicycles
、
Onipax
、
Ori Bikes
、
Oyama
、
Pacific Cycles
、
Pacy
、
Panther Bike
、
Pinnacle Bikes
、
Pro Walker
、
Raleigh
、
Repco Sport
、
Ridgeback
、
Saracen Bikes
、
Shanghai Bst Bicycle Development
、
Silkmead Tubular
、
Sinclair Research
、
Sliding Bike
、
Society Blanc Marine
、
Strida
、
Sun Bicycles
、
Swift Folder
、
SwissBike
、
The GO Group
、
Tiger Cycles
、
Traub
、
Ubike
、
Urban Bike Concepts
、
Xootr LLC
、
Yuh Jiun Industrial
、
Zport
など。
オーバーホール (overhaul)
分解整備。点検および整備の為に分解すること。分解しないと内部の状態が分からないために行う。走行距離に応じた、分解整備箇所を設定する。
例えば、500kmオーバーホール、1,000kmオーバーホール、1,500kmオーバーホール等において、それぞれの分解整備箇所を設定する。
ディスクブレーキ (disk brake、disc brake)
概要
円盤ブレーキ。ハブに付けた金属製の円盤(ディスク、
ブレーキローター
)を、両側から
ディスクキャリパー
の
ディスクパッド
で締め付けて制動する
ブレーキ
。
用途
マウンテンバイク
及び
サイクロクロスバイク
などに使われる。
UCI
は禁止していたサイクロクロスバイクへの使用を2010年に許可した。
機械式
ブレーキレバー
の力を
ワイヤロープ
(ケーブル)でキャリパーへ伝達する。油圧式では使えない
STIレバー
を使うことができる。
機械式ディスクブレーキ
、メカニカルディスクブレーキ及びケーブルディスクブレーキとも言う。
流体式
ハンドルのブレーキレバーを引いた力でレバーに付いたピストン棒およびマスターシリンダーの中のピストンおよび戻しばねを押し、上昇した油圧を油圧チューブの流体(作動油)でキャリパーのキャリパーシリンダーへ伝達する。
パッドがローターを締め付ける力が機械式よりも大きいため、制動力も大きい。
流体ディスクブレーキ
及びハイドローリックディスクブレーキとも言う。
利点
リムブレーキ
と比べたディスクブレーキの利点は、
(1) 制動トルクが大きい。
(2) 泥道および水溜り道の影響を受けない。
(3) 雨水および雪による制動力の低下が少ない。
(4) ローターが大きいと放熱性が良い。
(5) ブレーキ掛けによる
リム
の磨耗がない。
(6) リムの形状を自由に設計できるので、リムの空力化及び軽量化が可能となる。
欠点
リムブレーキと比べたディスクブレーキの欠点は、
(1) 質量が150~350g大きい。車輪および
フォーク
の質量も大きくなる。
(2) 制動トルクは
スポーク
によって
タイヤ
に伝えるので、強度の大きい
ホイール
が必要。
(3) 前輪ブレーキの制動によりフォークに大きな力が働くので、強度の大きいフォークが必要。
(4)
ハブ
(
ディスクハブ
)にローター取付フランジが必要。
(5) 価格が高い。特に油圧式(流体式)は高い。
メーカー
シマノ
、
ヨシガイ
、
Clarks Cycle Systems
、
Formula Disc Brakes
、
Funn
、
Gatorbrake
、
Gusset Bikes
、
Hayes Disc Brake
、
Hope Technology
、
Interloc Racing Design
、
Magura
、
Miranda & Irmao
、
New Ultimate
、
Quad Technologies
、
SRAM(Avid)
、
SR Suntour
、
Tektro Technology
、など。
参考資料
「
ブレーキ
」
クランクプラー (crank puller、cotterless crank puller)
クランク抜き
のこと。
フレーム (frame)
概要
自転車の骨組みのこと。フレームに各種の部品を付けると自転車になる。
種類
自転車の種類に応じて、
ロードフレーム
、
マウンテンバイクフレーム
、タイムトライアルフレーム及びトライアスロンフレームなどがある。
構成
菱形フレーム
は、頭管、上管、立管、下管、チェーンステイ(左右2本)、 シートスティ(左右2本)の8本の管、ボトムブラケットシェル(BBシェル)およびチェーンステイ後端の
つめ(爪)
で構成されている。
これらの管の中では、下管に最も大きな応力が働く。
三角
上管、頭管、下管および立管が作る三角形は
前三角
そして立管、チェーンステイおよびシートステイが作る三角形は
後三角
と呼ばれる。
菱形以外のフレーム
ローステップフレーム
及び
ミキスト
などがある。
特殊フレーム
(1)
トリプルトライアングル
: 前三角の後部上に第三の三角を作ったフレーム。
(2)
ダブルトップチューブ
: 上管が上下に2本付いたフレーム。
(3)
ツイントップチューブ
: 上管が左右に2本付いたフレーム。
材質
アルミ合金、
クロモリ鋼
、
チタン合金
、カーボン(
カーボンフレーム
)、竹(
竹フレーム
)及び木材(
木製フレーム
)など。
透明で軽く、衝撃に強い
ポリカーボネイト
系の樹脂を射出成型して作った透明フレームがある(右図)。
質量
軽いものは、800g以下。
製作
フレームジグ
を使って組み立てる。
溶接フレーム
及び
ラグフレーム
がある。フレーム制作者は、
フレームビルダー
とも言う。
表面処理
塗装
が一般的であるが、中には
陽極酸化
をしたものがある。
バッグ
フレームの上管に取付けるバッグとして、
フレームバッグ
がある。
断層撮影
フレームなどの研究開発及び品質管理に
CTスキャナー
(コンピューター断層撮影装置)を使っているメーカーがある。
試験
フレームの疲労などの試験機として
フレーム試験機
がある。
継手
フレーム継手として、
BTC
(バイシクル・トルク・カップリング)がある。
リコール
(1) Cervéloは、2005年モデル年のR2.5カーボンフレームの下管が頭管から剥離する可能性があるとしてリコールした。
(2) Trek Bicycleは2005~2007年に販売したMT220型女性用自転車のフレームの溶接に欠陥があるとして約30台をリコールした。
(3) Fuji Bikesは、2007~2010年に販売した婦人自転車の下管の中央で破損する可能性があるとしてリコールした。
(4) Niner Bikesは2008~2009年に販売したサスペンション付きアルミ合金フレームの前三角の溶接部に亀裂が入ることがあるとして、約750台をリコールした。
(5) Norco Bicyclesは2010~2011年にカナダで販売したフレーム(中国製)の上管と下管の連結部の上管に亀裂が入ることがあるとして、約910台をリコールした。
(6) Specialized Bicycle Componentsは、2012年及び2013年モデルのロードバイク 及びサイクロクロスバイクのカーボン (
炭素繊維強化樹脂
)製フレームの前端と頭管の接続部に亀裂が入り剥離する可能性がある(右上図)として、約12,200台をリコールした。
メーカー
東洋フレーム
、
東叡社
、
Alutech Bikes and Parts
、
Arrow Racing
、
Astrix Sports
、
Aterford Precision Cycles
、
Atomlab
、
AX Lightness
、
Azonic
、
BEV
、
Carroll Composites
、
Ceepo
、
Chromag Bikes
、
Cinelli
、
Corima
、
Cotic
、
Curtis Bikes
、
Curtlo cycles
、
Cyclo Bicycles
、
Cyfac
、
Dedacciai
、
Dekerf Cycle Innovations
、
DMR
、
Eastern Bikes
、
Enigma Titanium
、
Evil Bikes
、
FBM Bike
、
Fetish Cycles
、
FireEye Bikes
、
Fort
、
Gilles Berthoud
、
Hed Cycling Products
、
Ellis Cycles
、
Independent Fabrication
、
Jerry Bicycle
、
Karbona Parts
、
Kent Eriksen
、
Kinesis UK
、
Leopard Cycles
、
Look Cycle
、
Lynskey Performance Designs
、
Matrix Cycles
、
Mercian Cycles
、
Neuvation Cycling
、
Nicolai
、
Origin8
、
OX Brand Bikes
、
Parlee Cycles
、
Pedal Force
、
Pennine Cycles
、
Primus Mootry Bicycles
、
Pro-Lite
、
PYGA Industries
、
PZ Racing
、
Ragley Bikes
、
Rewel
、
Ritchey Design
、
Rock Lobster Cycles
、
Rock Racing
、
Salsa Cycles
、
Saratoga Frameworks
、
Scott Sports
、
Sette
、
Soma Fabrications
、
Stanton Bikes
、
Supercross BMX
、
Surly
、
Syntace
、
TEAJ Cycling Group (Vassago)
、
Terra Nova Cycles
、
Time Ssport
、
Token Products
、
Tommasini
、
Trigon Exotic Material Technology
、
Tsunami Bikes
、
Turner Suspension Bicycles
、
Twofortythree Components
、
Ventana Mountain Bikes
、
Vistadeal
、
Wethepeople Bike
、
Whisper Cycles
、
Xi'an Changda Titanium Products
、
Yamaguchi Bicycles
など。
参考資料
「
フレーム
」 、「
フレーム寸法記入表
」 、「
自転車の種類
」
センタースタンド (center stand)
中央スタンド。駐車時に自転車が倒れないよう、中央部に付けるスタンド。中央部とは、
ポトムブラケット
の下または
チェーンステイ
前部。 1本中央スタンドと両立中央スタンドがある。両立中央スタンドは自転車を垂直に停められる。
元々はオートバイ用語。
メーカーは、
Gebr. Pletscher
、など。
潤滑油 (lubricating oil、lubricant、lube)
概要
潤滑油の目的は、金属表面に油膜を形成することによって、次の目的を達成すること。
(1) 金属同士の直接摩擦による磨耗を防止し寿命を長くすること。
(2)
摩擦係数
を減少させて
動力
損失を少なくすること。
油種
ウエットルーブ
及び
ドライルーブ
がある。
生分解性
のものもある。
容器
滴下容器、スプレー容器及びピンポイント容器などがある。
メーカー
呉工業
、
複合資材
、
Brunox
、
Dumonde Tech
、
Ernesto Lube
、
Fenwick's
、
Finish Line Technologies
、
Green Oil
、
Morgan Blue
、
Motorex
、
No-Flats
、
Orontas
、
Pedro's
、
PMS Products
、
Progold
、
Pure
、
Rock 'N' Roll Lubrication
、
Squirt
、
Tri-Flow Lubricants
、
Weldtite Products
、
White Lightning
など。
参考資料
「
チェーン伸び
」
チェーンの潤滑
股すき間 (crotch clearance、standover clearance )
概要
自転車を直立させて、靴をはいて
上管
(トップチューブ)にまたがって立った時の上管上端と股の間の垂直距離。
計算式
股すき間は、
股下寸法
から
上管高さ
を引くと得られる。式で表すと、
股すきま = 股下寸法 - 上管高さ
実例
股すき間まは、
ロードバイク
では20~30mmそして
マウンテンバイク
では
オフロード
の状態に応じて、50~100mmが望ましい。
フレームサイズ
股すき間は、
フレームサイズ
を決める一つの基準となる。
ギアテーブル (gear table)
ギア比
表。歯数比表。表の左欄に
クランクスプロケット
の歯数を並べ、表の上欄に
後輪スプロケット
の歯数を並べ、そして対応する升目にギア比
(クランクスプロケットと後輪スプロケットの歯数比)またはそのギア比においてクランク1回転で進む距離を記入した表。
参考資料
「
ギア比表
」
ツーリングバイク (touring bike、touring bicycle)
旅行車
。ツアーリングバイクがなまった用語。
ドロップハンドル
の付いた
ワイドレンジ
の
変速機
付きの自転車が一般的。
旅行用荷物を載せることを前提にしており、
後荷台
が付いている。荷重が大きいので、
フレーム
および
ホイール
は強度が大きいことが必要。
対荷重性、乗り心地および耐空気圧低下性などを重視して、
タイヤ
は
タイヤ空気容積
の大きい700x32Cまたは35Cが使われることが多い。
長距離安定走行のために、
ホイールベース
は長めであること。雨に備えて、
泥除け
が必要。日没後の走行に備えて
前照灯
が必要。
旅行車
及び旅行自転車とも言う。
クランクセット (crank set、crankset)
概要
クランク
の
スパイダー
と
チェーンリング
を
スプロケットボルト
で連結して一体としたもの。
英国ではチェーンセットと呼ばれ、同じく欧州の
UCI
も英国用語を使っている。
用途
ロードバイク
用及び
マウンテンバイク
用などがある。
スプロケット配置
スプロケットが
チェーンステイ
と当たらないよう、内側から小スプロケット、中間スプロケットそして大スプロケットの順に並べる(左図)。
連結
スプロケットは、
スプロケットボルト
によってクランクのスパイダーに固定している。
スプロケットの交換においては、ボルト穴の数(4本又は5本)および
ピッチ円直径
(PCD)が同じであることが必要。
スプロケットボルトに対して、PCD=110mm及び130mmの2種類のボルト穴を設けたスパイダーがある(右端図)。
シマノの
11段カセット
用クランクセットは4アームでPCD=110mm。
力のかかる
押し下げ行程
では
剛性
が大きくなるよう、力の比較的小さい
上死点及
び
下死点
では軽量化するようにしている。
歯数
メーカーによって異なり、次のような
歯数
がある。
2段(ダブル) : 53/39 、52/39 、52/42 、52/36 、50/36 、50/34 、48/34 、46/36 、46/34 及び 42/29 など。
3段(トリプル) : 63/39/30 、52/42/32 、52/42/30 、52/39/30 、50/39/30 、48/38/28 、48/36/24 、
46/36/24 、 44/32/22 及び 42/32/24 など。
シマノの
11段カセット
用のチェーンリングの歯数は、55/42 、54/42 、53/39 、52/36 、52/38 及び 50/34。
回転数
クランクセットの回転数は、
ケイデンス
と同じであり大きくないので、加速する上で質量はさほど大きな問題とはならない。
作品
廃品のクランクセットなどを使った作品がある。
クランクセット(右図の赤矢印)が何を表わしているのかは分らない。
メーカー
シマノ
、
スギノエンジニアリング
、
Aerozine
、
Ambrosio
、
bor
、
Campagnolo
、
Control Tech
、
Culprit Bicycles
、
Equinox
、
Fac Michelin
、
First Bicycle Components
、
Fulcrum Wheels
、
Full Speed Ahead(FSA)
、
FUNN
、
Gebhardt
、
Hive
、
Karbona Parts
、
KCNC
、
Ken Chang Ind.
、
Lunge Industry
、
Middleburn Components
、
Miranda & Irmao
、
Origin8
、
Paul Component
、
Pro-Lite
、
PZ Racing
、
Race Face Performance Products
、
Ridea
、
Rotor Bike Componentes
、
Sampson Sports
、
Sinz Racing Products
、
Specialites T.A.
、
SRAM
、
SR Suntour
、
Stronglight
、
Sun Race
、
THM Faserverbund-Technologie
、
Token Products
、
White Industries
、
Zipp Speed Weaponry
、 など。
参考資料
「
クランク
」
立ち漕ぎ (dancing、standing)
概要
急な短い坂を上る時、坂の途中で
加速
する時または
スプリント
において、
サドル
から腰を浮かせて
ペダル
に体重をかける走法。
走法
ペダルにかけた体重がつりあうよう、自転車は踏み込むペダルと反対方向に少し傾ける(振る)。
自転車は左右に振るが、ダンシング(踊り)とも言われるからと言っても、体は振ってはならない。
エネルギー消費
立ち漕ぎは、サドルでお尻を支持していないので脚と足の筋肉の適切な制御が難しい。
立ち漕ぎは、座漕ぎに比べてエネルギー消費が10%ほど多いので、不必要に立ち漕ぎをしないことが望ましい。
必要性
次の場合は、立ち漕ぎを必要とすることがある。
(1) 競技において、坂などで加速をする必要がある場合。
(2) 坂がきつくて、座漕ぎで対応できる
ギア比
がない場合。
(3) 背中を伸ばして、背中痛を直したい場合。
(4) 坂の途中で立ち漕ぎを休息としたい場合。
参考資料
「
立ち漕ぎ登坂勾配計算器
」
締付トルク (wrenching torque)
ボルト
、
ナット
または
ねじ
を締付ける
トルク
。ボルトなどが大きいほど締付けトルクも大きい。適正締付けトルクは取扱説明書に出ている。
めがねレンチ
などは、適正な締付け トルクが得られるよう、手の力を想定して柄(アーム)の長さを決めている。
トルクレンチ
で締めると、締付けトルクが表示される。
参考資料
「
締付トルク計算器
」 、「
締付トルク例
」
トラックハブ (track hub)
概要
トラックレーサー
などに使う
フリーホイール
のない
ハブ
。固定スプロケット(
トラックスプロケット
)を使い
単速
となる。
型式
固定スプロケットを付ける雄の右ねじを右側のみに付けた形および左右に付けた形がある。 左右付けの形は歯数の異なる固定スプロケットを左右に付け、車輪を左右反転してギア比を変えられる。 ハブのねじは右ねじの固定スプロケット用と後漕ぎ時にも緩まないよう左ねじの固定ナット(ロックリング)用の2段となっている。 スプロケット及びロックリングのねじの寸法を表1に示す。
スポーク穴数
スポーク穴
数は、28穴、32穴および36穴がある。
OLD
表1 スプロケット及びロックリングのねじ寸法
スプロケットねじ
ロックリングねじ
ISO、シマノ
1.375" x 24 TPI
1.29" x 24 TPI
Campagnolo
1.370" x 24 TPI
1.32" x 24 TPI
フレンチ
34.7 mm x 1.0 mm
33 mm x 1.0 mm
ロックナット間距離
(OLD)は、前輪ハブが100mmそして後輪ハブが110mm(主に
競輪自転車
ハブ用)、
120mm(一般的)、126mm及び130mm。
フランジ
ハブフランジ
は低(小)および高(大)がある。スポーク穴の
ピッチ円直径
(PCD)は47mmなど。
メーカー
シマノ
、
All-City
、
Origin 8
、
Phil Wood
、
Profile Racing
、
Victoire Cycles
、など。
固定ギア (fixed sprocket、fixed gear)
フリーホイール
を付けないで、直接後輪ハブ(
トラックハブ
)に固定する
スプロケット
。ハブに雄ねじがあり
固定スプロケット
の雌ねじを ねじ込んで固定する。 さらに固定ナットで押さえる。
固定ギア自転車
は、古典的な自転車で一般に
フリーホイール
及び
変速機
が付いていない。 自転車との一体感があり、かつ路面の状態が敏感に伝わってくる。
トラックレーサー
に使われる。
トルク (torque)
概要
ねじり力。回転力。力のモーメント。力(単位はニュートン)とその力が働く点までの距離(単位はメートル)の積(単位はニュートンメートル)。
計算式
トルク [Nm] = 力 [N] x 距離 [m]
種類
次の3種類のトルクがある。
(1) 駆動トルク
ペダル
および後輪などを駆動するトルク。
(2) 制動トルク
ブレーキ
によって、車輪の回転を止めるトルク。
(3) 締付けトルク
工具で部品のねじなどを締付けるトルク。
トルクレンチ
で設定できる。
参考資料
「
締付トルク計算器
」 、「
締付トルク例
」
めがねレンチ(offset wrench)
頭部の穴に
六角ボルト
またはナットの角が当たる12箇所のへこみを設けた
レンチ
(JIS B4632)。
スパナ
は6角を2点で回すのに対し、めがねレンチは6点で回すので、スパナのように6角の角をつぶすことが無い。
スネークバイト (snake bite、snake bites)
蛇噛み
のこと。スネークはへびそしてバイトは噛むこと。
パンク
の一形態。
横断歩道の段差
や
オフロード
の岩及び倒木などにより、
タイヤ
の
チューブ
が
リム
両端に押し付けられてできる小さな2つの穴(パンク)。 蛇が2つの牙で噛んだような感じになることから1950年代に名づけられた。このパンクによる空気抜けは早い。
タイヤの圧力
が十分でなく、タイヤが柔らかいと起こしやすい。ピンチフラット又はリムカットとも呼ばれる。蛇が人などを噛む(バイト)こともスネークバイトと呼ばれる。
フォークエンド (fork end)
フォーク
先端部の
爪
。
エンドは端のこと。
ハブ軸
を入れる下向きの切込みが付いている。
フロントドロップアウトとも呼ばれる。
稀に、
チェーンステイ
の後端部の爪をフォークエンドと言うことがある。
ペダルスパナ (pedal spanner)
クランク
から
ペダル
を外すか又は取り付ける時に使用する、口の開きが15mmの専用
スパナ
。
反対側が32mmの
ヘッドスパナ
になっているものもある。一般のスパナの厚みが大きくて入らない場合に使用する。
ペダルレンチ
とも言う。
フロントセンター (front center、front center distance)
前輪
ハブ軸
芯と
ボトムブラケット
(BB)軸芯の距離(右図)。すなわち、
前中距離
のこと。
なお、後輪軸心とBB軸心の距離は後中距離(
リアセンター
)と呼ばれる。
メガレンジ (megarange)
メガレンジは後輪の
歯数
34Tの
シマノ
の
スプロケット
のこと。
後輪の変速用スプロケット群(
カセットスプロケット
)の中の歯数34のスプロケットには、 赤い字又は白い字で
MEGARANGE
の刻印があるので、メガレンジと呼ばれる。
メガレンジを使うと速度比(
ギア比
)が小さくなるので、登坂が楽になる。
34Tのスプロケットを含むカセットスプロケットは、メガレンジカセットということもある。
6段の歯数は、14_15_18_21_24_34で、メガレンジとその前のスプロケットの歯数差は10Tとなっている。
7段の歯数は、11_13_15_18_21_24_34で、メガレンジとその前のスプロケットの歯数差は10Tとなっている。
8段の歯数は、11_13_15_17_20_23_26_34で、メガレンジとその前のスプロケットの歯数差は8Tとなっている。
キャパシティ (capacity)
前ディレイラー
及び
後ディレイラー
にそれぞれキャパシティがある。
前ディレイラー
前ディレイラーが
クランクスプロケット
の小スプロケットから大スプロケットへチェーンを持ち上げる能力を歯数で表したもの。
後ディレイラー
後ディレイラーが
カセットスプロケット
のチェーンのたるみを取れる容量(キャパシティ)を歯数で表したもの。
参考資料
「
ディレイラーのキャパシティ
」
オーバーロックナット寸法 (over locknut distance、OLD)
ハブ
における、
ロックナット間距離
。オーバーは「~間」の意味。
ハブ軸
の左右のロックナット外面間(ボルトの出ている面)またはそれに相当する外面間の距離。前輪OLD=100mm前後そして後輪OLD=100~145mm。 後輪軸はスプロケットが付くのでOLDが前輪軸より長くなっている。
テンションプーリ (tension pully)
張りプーリ
のこと。
後ディレイラー
のケージ下部に付いている、
チェーン
に張り(テンション)を与える外径54mm程の張り
プーリ
(滑車)。
チェーンが掛かるようスプロケット状となっている。張りの力は支点の
ねじりコイルばね
で与えている。
バルブ穴 (valve hole)
バルブ穴径[mm]
仏式バルブ
6.3
英式バルブ
8.2
米式バルブ
8.7
リム
の
バルブ
用穴。
チューブ
に付いたバルブをリムの外に出すために、リムに空けた丸穴。
実態は、
バルブステム
を通すバルブステム穴。
二重壁リム
には、内壁にもバルブ穴が開いている。
右表にバルブ穴の寸法を示す(JIS D9421、自転車-リム)。 穴の大きさは、バルブの型式によって異なり、
米式バルブ
が最も大きく、
仏式バルブ
が最も小さい。
英式バルブ
はその中間。
穴が大きいとリムの強度が低下するので、幅の狭いリムには米式バルブは使えない。工場では自動の穴打抜機で打抜いて開ける。
ポタリング (pottering、puttering)
散歩やハイキング程度に、自転車に乗って自分のペースで軽く走り、季節や景色を楽しんだり、
公園や川岸などで停車したり、のんびり楽しんで走ること。
観光地などで、自転車を借りて(
サイクルハイヤー
)走るのもポタリング。
ポタリングは、ぶらぶらするという意味。
街中を自転車で走ることは
街乗り
と言う。
カーボン (carbon、carbon fiber、carbon fiber reinforced plastic)
炭素
無定形炭素、石墨(黒鉛)及びダイヤモンドの3種の同素体がある。融点・沸点が高く、水及び溶剤に不溶。燃焼すると二酸化炭素になる。同位体のうち質量数12の炭素は原子量の基準とされる。元素記号はC。
素繊維強化樹脂
炭素繊維
または
素繊維強化樹脂
(CFRP)のことを、俗にカーボンと言っている。
髪の毛が太く見えるほど細い炭素の線(フィラメントと言う)を繊維として織り、
エポキシ樹脂
の
プリプレグ
を作り何層にも重ね、加熱硬化させると、軽く強い炭素繊維強化樹脂ができる。右写真はフィラメントを出荷のために円筒に巻きつけたもの。
クロモリ管 (chromoly pipe、chromoly ube、chrome molybdenum steel pipe、cro-moly tube)
クロムモリブデン鋼管の略称。
フレーム
などに使われる。 クロムモリブデン鋼管は、炭素鋼にクロム(Cr : 0.9~1.2%)およびモリブデン(Mo : 0.15~0.3%)を加えた合金鋼で作った鋼管で、
引張強さ
が大きいため、薄肉の管を使うことができて軽くなる。 引張強さは、
高張力鋼管
(ハイテン鋼管)の約1.7倍ほどある。
リム (rim、wheel rim)
概要
ホイール
の構成要素で外面に
タイヤ
を付ける円環。
スポーク穴
および
バルブ穴
が開いている。 リムはタイヤの形式とサイズに合わなければならない。リムは
ハブ
と同じスポーク穴数が必要。
種類
使用するタイヤの形式に対応して、
クリンチャーリム
、
チューブラーリム
及び
チューブレスリム
がある。
構造
(1) クリンチャーリムの断面構造を見ると、
単壁リム
および
二重壁リム
に 分けることができる。
(2)
オフセットリム
がある。
(3) スポーク穴に
はとめ
を入れたリムがある。
(4) スポーク曲げが起きないよう、スポーク穴を±5°傾けた形がある。
製法
アルミ合金リムは、押出し成型によって、リムの断面形状に作った形材を所定長さに切断後、丸く曲げて突合せ部を接合して作る。
接合
アルミ合金リムの端面の接合方法により分けると、
溶接リム
、
スリーブ接合リム
及び
ピン接合リム
の3種類がある。強度も価格もこの順に大きい。
質量
ロードバイク
用700Cのリム及び
マウンテンバイク
用26インチのリムの質量を打点したグラフを右図に示す。リム幅が大きくなると質量も大きくなっている。
チューブラーリムはクリンチャーリムより平均的には約50g軽い。
その一因はチューブラーリムには
フック
および
リムフランジ
が無いためである。
材質
炭素鋼、アルミ合金、炭素繊維強化樹脂(CFRP、
カーボンリム
)、マグネシウム合金及びスカンジウム合金などがある。
木製リム
もある。
アルミ合金は鋼の約5倍の熱伝導率がある。アルミ合金製リムは、1926年に
マビック
(Mavic)が始めて世に出した。 アルミ合金のリムベースに炭素繊維強化樹脂(CFRP)層を付けたリムもある。スポークの張力がかかる部分はCFRP層厚を大きくしている。 価格を下げかつCFRPリムに近い性能を得ることを意図している。
鋼製リムは
ニップル
を支持する強度が大きい。
表面処理
めっき
、
陽極酸化
及び
ショットピーニング
などがある。
磨耗
リムブレーキ
の付いたアルミ合金リムは、
ブレーキング
によって側壁が磨耗する。側壁が薄くなって破損することは、
リム破裂
と呼ばれることがある。
磨耗指示器
付きがある。
荷重
コーナリング
(曲がり)においては横方向荷重は後輪よりも前輪がはるかに大きい。
メーカー
新家工業
、
24 bicycles
、
Alchemist
、
Alex Global technology
、
Ambrosio Spa
、
Arrow Racing
、
Atomlab
、
Beretta Cerchi
、
Bitex Industrial
、
Corima
、
DRC Srl
、
DT Swiss
、
Funn
、
Easton Sports
、
Edge Composites
、
Gipiemme
、
Gold Star Industries
、
G-Sport
、
Halo Rims
、
Hsin Chuan Ind.(Jetset)
、
Interloc Racing Design
、
Leaf Cycles
、
Loaded Precision
、
Mavic
、
Nine Gs
、
Odyssey BMX
、
Sank Industries
、
Quad Technologies
、
Remerx
、
Rigida
、
Roland Werk
、
Salsa Cycles
、
SUNringle
、
Syncros
、
Velocity
、
WTB
、
Xpace Industrial
、
Zipp Speed Weaponry
、など。
参考資料
「
リム
」
スポーク (spoke)
名称
寸法
質量[g]
質量グラフ
Revolution
1.8/1.5
261
Aerolite
2.0/2.3 x 0.9/2.0
278
Revolution
2.0/1.5
283
Competition
1.8/1.6
311
Super Competition
2.0/1.7/1.8
318
Aerospeed
1.8/2.3 x 1.2/1.8
355
Champion
1.8
359
Competition
2.0/1.8
382
Alpine III
2.34/1.8/2.0
418
New Aero
2.0/3.3 x 1.0/2.0
437
Champion
2.0
444
Champion
2.34
591
概要
ハブフランジ
と
リム
を結んで
ホイール
を作っている太さ1.8~2.6mm程、長さ130~300mm程(リム寸法などで決まる)の棒。
取付
エルボ
までハブフランジの
スポーク穴
に入れ、他端をリムのスポーク穴に入れ、ねじに
ニップル
をねじ込んで、リムに固定する。 厚さが 1.5mm のスポークは、ニップルを回して張力を加えるときに捩れやすい。
本数
1車輪当たり32本または36本が普通。
色
着色したスポーク(
カラースポーク
)がある。
材質
炭素鋼、ステンレス鋼、アルミ合金及びチタン合金、カーボン
(
カーボンスポーク
)など。炭素鋼製は腐食しないよう
めっき
する。
カーボンの左右に
アラミド繊維
を積層した形がある。
質量
スポーク質量の一例として、DT Swiss社の長さ264mmのスポーク64本(前後車輪の合計)の値を表に示す。 Revolution 1.8/1.5 の平均質量は 261g/64本 = 4.08g/本。
工具
スポークカッター
、
スポークねじ切り機
、
ニップル回し
及び
スポーク張力計
などがある。
メーカー
星工業
、
American Classic
、
BDop Cycling
、
Chun Nan
、
DT Swiss
、
Ison Distribution(Halo)
、
Sapim
、
Sha Dar Accessories
、
Topolino
、
Wheelsmith Fabrications
、など。
参考資料
「
スポーク
」
カンパ (Campagnolo)
カンパニョーロ
の不適切な略称。
スケルトン (skeleton、frame skeleton )
フレーム寸法図
のこと。スケルトンは、骨格の意味。フレームの基本設計に使う。 ジオメトリー(幾何図形)とも呼ばれる。寸法図によって自分に合う自転車かどうか判断する。
トレッド模様 (tread pattern)
タイヤ
のトレッド(
踏面
)に付いている模様(パターン)のこと。タイヤの
ころがり抵抗
に影響する。ブロック模様は、
マウンテンバイク
のタイヤに使われる。模様の名目の目的は、
オフロード
でのすべり対策およびタイヤ摩耗量の指示機能など。
トレッドパターン
とも呼ばれる。
ピッチ (pitch)
何かが等間隔で並んでいる場合、その間隔(距離)をピッチという。
チェーン
の場合は、ピンの間隔をピッチという。
穴芯などが等間隔で仮想円上に並んでいる場合、その仮想円はピッチ円と呼び、その仮想円の直径は
ピッチ円直径
(PCD)と言う。
型
タイヤ
の外径の呼称。タイヤの外径をインチ(inch)で表したもの。例えば、27型の自転車のタイヤの呼称外径は27インチ。商取引に於いては、インチという単位の使用が
計量法(第8条)により禁じられているので、カタログなどでは、「インチ」の代わりに「型」を使う。ただし、法律を知らない業者もいる。
シフトレバー (shift lever)
シフター
に付いている変速のためのレバー。シフトレバーと
ワイヤーロープ
によってつながっている
ディレイラー
又は
内装変速機
を遠隔操作して、変速する。
ハンドルの左のシフトレバーで前ディリイラーを操作し、右のシフトレバーで後デイレイラーを操作する。変速レバーとも言う。稀に、シフターを指すこともある。
ドロップハンドル用に、シフトレバー及びブレーキレバーを一体にした方式として、STI及びエルゴパワーがある。
エアロ (aero、aerodynamics)
空力。エアロダイナミックス(空気力学)の略語。エアロの語源は空気(air)を意味するギリシャ語。主に、
空気抵抗
を減らすという意味の接頭語として使われる。
一例を挙げれば、
エアロチューブ
、
エアロフレーム
、
エアロリム
、
エアロスポーク
、
エアロホイール
、
エアロバー
、
エアロシートポスト
、
エアロフォーク
、
エアロクランク
および
エアロポジション
など。
ブレーキシュー (brake shoe)
概要
リムブレーキ
摩擦材である
ブレーキパッド
(ゴムまたはブロックとも言う)が付いている金具。ブレーキパッドホルダー及び船とも言う。 シューとパッドを合わせて、ブレーキシューと言うこともある。 背中に付いているスタッド(支柱)で、
キヤリパー
に固定する。固定方式に応じて、スタッドはねじ付き及びねじ無しがある。 パッドが交換できるもの(
カートリッジシュー
)とできないものがある。
特殊仕様
トウイン
のためにブレーキシューのキャリパーに対する傾き角を調節できるようにした形もある。
メーカー
シマノ
、
BBB Bike Parts
、
Clarks Cycle Systems
、
THM Faserverbund-Technologie
、
Kcnc Bikes
、
Marwi
、
Quad Technologies
、
Tr!ckstuff
、 など。
ブリッジ (bridge)
何かの左右をつなぐものをブリッジと言う。川の両岸をつなぐ構造物はブリッジ(橋)と呼ばれる。自転車には次のようなブリッジがある。
チェーンステイ
チェーンステイブリッジ
。チェーンステイのBB寄りに有って、左右のチェーンステイを結合している細く短い管または板。補強と泥除けの取り付け部品を兼ねている。
シートステイ
シートステイブリッジ
。シートステイの上部に有って、左右のシートステイを結合している細く短い管または板。補強と泥除けやブレーキの取り付け部品を兼ねている。
サスペンション
サスペンションブリッジ
。サスペンションフォークにおいて、左右一対の筒を結合している。
スタンド (stand、bicycle stand、floor bike stand)
自転車
自転車と一体になっていて、自転車が転倒しないよう、立たせる装置。
1本スタンド
および
両立スタンド
がある。
メーカーは、
Hebie
、など。
駐輪場
家の駐車場または公共および大形店の駐輪場に設置して、自転車が転倒しないように支持する装置。
家庭用(写真)と駐輪場用では形状および大きさが異なる。スタンドは立たせると言う意味。
保守
点検、保守および修理のために、自転車を保持するスタンド(
作業スタンド
)。
保管
自転車の保管及び展示のために、保持するスタンド(
バイクスタンド
)。
歯飛び (jumping、tooth jumping、chain skipping、chain skip)
チェーン
の
ローラ
が
スプロケット
の歯と正しくかみ合わず、チェーンのローラが歯の上を滑って越えること。上り坂などでチェーンに大きな力がかかったときなどに起こりやすい。原因は、(1)チェーンのピンなどの磨耗によるチェーンの伸び、(2)スプロケットの歯の磨耗、(3)リンクが1箇所で硬くなっている、等。歯飛びによって、
クランク
のスプロケットからチェーンへの動力伝達またはチェーンから
後輪スプロケット
への動力手伝達が出来なくなる。
参考資料
「
チェーン
」
ディレイラーケージ (derailleur cage)
前ディレイラー
前ディレイラーケージ
後ディレイラー
後ディレイラーケージ
ボトムスイング (bottom swing)
前ディレイラー
において、
平行四辺形
の上リンクに
フレーム
に固定するクランプを付け、下リンクに
ケージ
を付けた従来の標準方式。
トップスイング
の反意語。
ケージ位置がクランプ位置より低い。
ロードバイク
用および
マウンテンバイク
用がある。
トップスイング (top swing)
前ディレイラー
において、従来の
ボトムスイング
とは正反対に、
平行四辺形
の上リンクに
ケージ
を付け、下リンクにフレームに固定するクランプを付けた方式。
ケージ位置がクランプ位置より高い。
ボトムスイングと比べて、シフトレバーの操作に要する力が約30%少ない。
マウンテンバイク
用のみで、
ロードバイク
用はない。
コンポジット (composite)
複合材または複合物。複数の材料を組み合わせて、単独の材料に無い特性を持たせたもの。例えば、
炭素繊維強化樹脂
(CFRP)は
炭素繊維布
を層状に合成樹脂
(
エポキシ樹脂
)と組み合わせた複合材(コンポジット)で
フレーム
および
ホイール
などに使われる。
チェーンカバー (chain cover、chainguard、chain guard)
チェーンガード
チェーンガード
のこと。
チェーン
による
ズボン
や長い
スカート
の裾などの汚れおよび噛み込みを防止を意図したチェーンの覆い。
チェーン全体を覆うものは
チェーンケース
と呼ばれる。
チェーンと共に動くカバーがある(右図)。
メーカーは、
BioLogic
、など。
輪行袋
輪行袋
内がチェーンの
潤滑油
で汚れるにのを防ぐために、チェーンに被せる布製の覆い(右図)。
カバーの左右を
マジックテープ
で留める形およびフックボタンで留める形がある。
右図には
エンド金具
を付けている。
カバー
自転車の運搬及び屋内保管などの時にチェーンの潤滑油によって汚れないようにする覆い。
材質はナイロン布など。
メーカーは
White Lightning
など。
ベアリング (bearing)
軸受
のこと。
底ブラケット (bottom bracket)
クランク軸と軸受が一体となった部品。
ボトムブラケット
、BBまたはハンガーとも言う。 底ブラケットのクランク軸とクランクとの連結方式には、四角テーパー、
オクタリンクおよびISISなどがあり互換性はない。クランク軸長はチェーンラインが適正となるものを選ぶ。
車輪組み (wheel building、wheelbuilding、building a wheel、wheel lacing)
ホイール組み
のこと。
バテッドチューブ (butted tube)
両バテッド管
片バテッド管
バテッド管
のこと。両端または一端の肉厚を厚くした管。大きな応力の働く管端以外の肉厚を薄くすることにより軽量化したもの。
フレーム
および
サドル支柱
(シートポスト)などの管として使われる。
両端の肉厚を厚くした
両バテッド管
および片端のみ厚くした
片バテッド管
がある。図は管の長手方向の断面図。
カーボンブラック (carbon black)
炭素の微粉末(粉体)。
平均粒径は20~120nm(ナノメートル)(0.00002~0.00012mm)。比重は1.7~1.9。
タイヤ
の使用量が最も多い。タイヤのゴムに強度、硬さ及び耐
磨耗
性を付与するために質量比で約45%添加されている。
その他、印刷インキ、トナー、塗料および樹脂着色剤として黒の顔料などとして使われる。
クイックリリースクランプ (quick release clamp、quick release seatpost clamp )
立管
に付ける
サドル支柱
(シートポスト)の固定を、工具を使わず
クイックリリースレバー
の開閉で簡単に出来るようにしたクランプ。
マウンテンバイク
で
丘上り
の時は
サドル
高さは正常位置とし、
丘下り
の時は運転しやすいようサドルを下げるために考案された。
メーカーは、
Chromag Bikes
、
FireEye Bikes
、
Kona Bikes
、など。
摩擦シフト (friction shifting)
シフトレバー
が変速域を無段階そして連続的に動く変速シフト方式。レバー位置は
チェーン
が
スプロケット
間を移動した(変速した)という人の感覚で決め、
その位置はレバー支点の摩擦力で保持される。また、レバーはその摩擦力に抗して動かす。 不連続的に動く方式は、
インデックスシフト
と呼ばれる。
コッター (cotter、cotter pin)
クランク
を
クランク軸
に固定するために、その軸に偏芯して垂直にクランクに開けた穴に差し込むくさびの栓。クランク軸にはみぞが付いている。一端に雄ねじが切ってあり、取付後ナットで固定して外れないようにする。
コッタードクランク
をクランク軸(BB軸)に固定するのに使う。
シティ車
に使われている。
化合物 (compound)
2種類以上の元素または物質の化合によって生じた物質。
タイヤ
のトレッド(
踏面
)はゴムの外、
カーボンブラック
または/およびシリカの化合物となっている。
カーボンブラックは耐磨耗性を与えそしてシリカは摩擦力を向上させる。その他、加硫のためのイオウ、劣化防止剤(酸化防止剤およびワックスなど)などが添加される。
結合ペダル (clipless pedal、binding type pedal)
概要
靴底
の
クリート
を
ペダル
に差し込んで
靴
とペダルを連結するペダル。かかとを水平に外にひねると靴はペダルから外れる。 欧米では
クリップレスペダル
と呼ばれる。シマノの結合ペダルは
SPD
と呼ばれる。
靴にペダルを合わせるので、ある価格帯(又は
グループ
)以上の自転車は自分の靴に合うペダルを付けるよう、
クランク
にペダルを付けていないものがある。
歴史
1984年にフランスの
ルック社
がスキーのクリートをペダルに応用したのが始まり。1988年にシマノはクリートが靴底に沈んだ
マウンテンバイク
用の結合ペダルを最初に世に出した。1989年にはフランスのタイム社が
フロート
の付いた結合ペダルを最初に世に出した。
1992年には米国のスピードプレイ社がどちらの面にも結合できる結合ペダルを始めて市販した。
特徴
靴とペダルの位置決めが確定し、かつ
上死点
、
下死点
および
引上げ行程
においてもペダルに力が加えられるので、効率よくより大きな動力を出すことができる。
種類
大きく分けると、
ロードバイク
用とマウンテンバイク用に分かれる。特殊な形として、
エッグビーター
がある。
結合面
片面結合(
シングルサイドペダル
)および両面結合(
ダブルサイドペダル
)がある。片面のみ連結できるペダルは、次の利点があるのでロードバイク用のペダルとして使われる。
(1)
コーナリング
(曲がり)時のペダルと路面のすき間を大きくできるので、自転車の傾斜角度を大きくできる。(2)
ペダル軸
と靴との距離(スタック高さ)を小さくできるので
ペダリング効率
がよくなる。(3)ペダルの質量が小さくなる。
調整
ペダル軸上に拇指球がくるように靴底にクリートを固定する。
靴のクリートを結合ペダルに出し入れ(クリップアウト、クリップイン)する力の大きさは、ペダルのばね力調整ボルトを
六角レンチ
で 回して調整できる。両面結合ペダルの場合は、両面独立に調整する。
材質
本体材質は、アルミ合金、
炭素繊維強化樹脂
(CFRP、俗に言うカーボン)、チタン合金及び
マグネシウム合金
など。
軸材質は、クロモリ鋼、チタン合金及びステンレス鋼など。
リコール
Look Cycleは2004~2005年に販売した結合ペダルの軸が破損する可能性があるとしてリコールした。
他の結合方式
ペダルと靴を結合する他の方式として、
ペダルストラップ
がある。
メーカー
シマノ
、
Atomlab
、
BBB Bike Parts
、
Bebop
、
Campagnolo
、
crankbrothers
、
Dimension
、
DMR
、
Exustar Enterprise
、
Fac Michelin
、
Karbona Parts
、
Keywin Pedals
、
Look Cycle
、
Original Bike Engineering
、
QBP
、
Sampson Sports
、
Sinz Racing
、
Speedplay
、
Straitline Components
、
Syncros
、
Time Sport
、
Tioga
、
SRAM(Truvativ)
、
VP Components
、
WellGo Pedal's
、
Xpedo
など。
参考資料
「
ペダル
」
慣性 (inertia)
概要
外力が働かない限り、物体がその運動状態を持続する性質。
慣性力
慣性力Fは物体の質量mと
加速度
(ブレーキ掛けの場合は減速度)αの積に比例する。式にすると、 F = mα となる。
自転車と慣性
自転車のブレーキをかけて減速すると、身体はブレーキ前の運動状態を持続しようとして、身体から自転車に前方方向の力が加わる。
そのため、前輪の接地点を支点にして、後輪は持ち上がろうとする。 後輪と地面の
摩擦力
が低下するため、後輪のブレーキの利きが悪くなる。
段付スポーク (butted spoke)
段付スポーク
スポーク
において、大きな応力の働く両端または片端は太くして強度を持たせ、中間部は細くして軽量化を計ったスポーク。
空気抵抗も幾分小さい。
両端(ダブル)段付スポーク
及び
片端(シングル)段付スポーク
がある。
慣性モーメント (moment of inertia)
回転体の
慣性
を表す量。慣性モーメント I は回転体の質量 m および回転軸から質量までの距離 r の2乗に比例する。式で表すと、
I = m r
2
となる。
慣性モーメントが大きいと、車輪の回転加速および減速に時間がかかる。
軽快車 (comfort bike、light roadster)
日常の交通手段およびレジャー用に用いる短中距離、低中速走行用の一般用自転車で、サドル最大高さが750mmを超え1,100mm以下、車輪の径の呼び25以上のもの(JIS D9101の定義)。
シティ車
およびシティサイクルとも呼ばれる。
参考資料
「
自転車の種類
」
クロムモリブデン鋼 (chrome molybdenum steel)
炭素鋼にクロム(Cr)0.9~1.2%およびモリブデン(Mo)0.15~0.3%を加えた合金鋼。
クロムモリブデン鋼管は
フレーム
に使うと、
引張強さ
が大きいため、薄肉の管を使うことができて軽くなる。
引張強さは、
高張力鋼管
(ハイテン鋼管)の約1.7倍ほどある。
ヘルメット通気 (helmet ventilation)
運動によって、人の頭は多くの熱と湿気を放出するので、
自転車の
ヘルメット
は
通気孔
を設けて通気(換気)することにより、頭の冷却と湿気の排出をするようになっている。
冬においても湿気の排出は必要。
通気のためには、前方および後方の通気孔が必要。
通気の良いヘルメットは、素頭よりも冷却効果が大きい。
通気孔の数は10~25穴。