自転車用語 (続き19)
自転車探険!
パニア (pannier、pannier bag)
概要
車輪
の横につける主に
自転車旅行
用の
バッグ
。左右一対のもの(
ダブルパニア
)が多い。
バッグを取り付けるために
パニアラック
が必要。 交通安全上は明るい目立つ色のパニアが望ましい。
語源
パニアという英語は仏語panier(パニエ)から由来したもの。panierは(パン)かごのこと。
仕様
(1) 雨が降ることもあるので、防水性が必要。防水性のないものは
パニアレインカバー
が必要。
(2) パニア背面の上部左右及び下部には荷台に固定するための金具が付いている。
(3) 歩行時にパニアを持ち運ぶとき、パニアを肩に掛ける肩掛け帯(
ショルダーストラップ
)の付いたものもある。
(4)
メッセンジャーバッグ
として使える形もある。
(5) ロール状に折りたたみのできるパニアがある。
(6) 背面にプラスチックの板を付けた形がある。
(7)
反射テープ
を後部に付いた形がある。
(8) プラスチックをダンボール状にした箱がある(1.8リッター、400g)。
(9) バスケット又はピクニック用のテーブル及び椅子になる形がある。
(10) 保管時に巻物にして小さく出来る形がある。
メッセンジャーバッグ
レインカバー
パニアが雨で濡れないように被せる防水性の
パニアレインカバー
がある。
質量
片側のパニア質量は0.5~1.5kg。
巻物形は軽く作られており210g。
容量
容量は10~50リットルそして平均的な寸法は:
かかと隙間
自転車には、
かかと隙間
が必要。
かかとが当たる部分の角を無くしたパニアもある。
長さ: 40cm前後(38~70cm)
幅 : 30cm前後(25~45cm)
深さ: 20cm前後(15~30cm)
荷物質量
自転車にもよるが、標準的に運搬できる荷物の質量は、前パニアで10kgそして後パニアで15kgの合計25kg程度である。
重心
荷物によって重心が低くなると走行が安定すると考えがちであるが、実際は不安定となる。
安定には静的安定と動的安定があり、重心が低くなると例えば箱を机の上に立てるような静的安定は良くなるが、自転車のような動的安定(動かないと倒れる)を必要とする場合は、 重心が高いほうが走行が安定する。
しかし、わざわざ重心を高くする必要性はない。
メーカー
アズマ産業
、
モンベル
、
Agu
、
Ally Capellino
、
Altura Panniers
、
Arkel
、
Axiom Performance Gear
、
Banjo Brothers
、
Blackburn
、
BloonDesign
、
Brooks England
、
Bruce Gordon Cycles
、
Carradice of Nelson
、
Carsick Designs
、
Civia Cycles
、
Crosso
、
Delta Cycle
、
Detours Sports
、
Deuter Sport
、
Donkey Boxx
、
Ecologic Designs
、
Extrawheel
、
Exustar Enterprise
、
Hyalite Equipment
、
Inertia Designs
、
Jandd Mountaineering
、
Lezyne
、
Lone Peak Packs
、
Louis Garneau
、
Mainstream Msx
、
Mountain Equipment Co-op
、
Ortlieb Sportartikel
、
OverBoard Accessories
、
Oxford Products
、
Pacific Outdoor Equipment
、
Po Campo
、
Potenza Cycling Gear
、
Rivendell Bicycle Works
、
Rixen & Kaul
、
Robert Beckman Designs
、
Sunlite
、
Swift Industries
、
Topeak
、
Two Wheel Gear
、
Vaude Sport
、
Velomann
、
Velo Transit
、
Zixtro
、など。
スローピングフレーム (sloping frame)
傾斜フレーム
のこと。
ベルクランク (bell crank、bellcrank)
支点(ピボット)で直角などに交わるレバーのクランク。一例は、
変速レバー
による
ロープ
(ケーブル)の動きを、
内装変速機
の押し棒(プッシュロッド)の動きに変換する。押し棒の動きによって歯車を切り替えて変速する。
写真はベルクランク及びベルクランクの付いた内装変速機。
3段変速機の場合は変速を2速にしたとき、後輪軸の端面と軸の中に入っている押し棒に付いている赤い線が一致していること。
一致していないときは、
ケーブルアジャスター
で調整する。
ベルクランクという名称は、紐を下に引くとベル突き棒が水平に動いてベル(釣鐘)を鳴らすためのレバーとして使われたことに由来している。
直付けディレイラー (braze-on derailleur)
フレーム
の
立管
に付けた
直付け座
(タブ)に付属のボルトで固定する方式の
前ディレイラー
。
立管径および管断面形状にかかわらず対応できる。
取付高さが調節できるようにタブのボルト穴は長穴になっている。
立管におけるタブの位置は50T~54Tの
クランクスプロケット
に対応させていることが多い。
ブレーズオンディレイラーともいう。
立管に直付け座(タブ)がない場合は、
アダプタークランプ
で取付ける。
クランプで固定する方式の前ディレイラーは、
クランプオンディレイラー
という。
シャフト駆動 (shaft drive)
概要
軸駆動。
チェーン
および
スプロケット
を使わず、シャフト(伝動軸)で
後輪ハブ
を駆動する方式。
右図おいて、伝動軸は軸筒の中にあるので見えない。
クランク軸
と伝動軸(シャフト)および伝動軸と後輪ハブ軸は直角となるので、直角に伝動できる
かさ歯車
を伝動軸の前後に使う。
変速手段としてはスプロケットとチェーンの組合せが使えないので、後輪の
内装変速機
を使う。変速段数は市販の内装変速機の段数になる。
シャフト駆動の自転車は
シャフト駆動自転車
と言う。
利点
(1) 密閉構造が容易なこと。
(2)
伝動効率
がチェーンよりは良いこと。ただし、変速機まで含めた効率は大差ない。
(3) 動きが連続していること(チェーンは多角形運動のためいくらかの速度変動がある)。
(4) 保守に手間がかからないこと。
(5)
ズボン
及び長い
スカート
の裾がチェーンの
潤滑油
で汚れないこと。
欠点
質量が大きくなること。
メーカー
Sussex Enterprises
など。
参考資料
「
自転車の駆動方式
」
シートバンド (seat clamp)
シートクランプ
のこと。バンド状ではなく、クランプ状となっている。シートバンドという用語は和製英語と思われる。
クランク (crank)
概要
一端に
ペダル
が付き、そして他端には
クランク軸
が付いている
スプロケット
を回すための棒。
右クランクはスプロケットを付ける
スパイダーアーム
(くも腕またはくも足)の付いた形が一般的。
中空にしたクランク(
ホローテック
)もある。
クランクに
スプロケットをボルト
で固定したセットは、
クランクセット
と呼ばれる。
製法
金属製のクランクは、
ダイキャスト
、
冷間鍛造
及び
CNC
機械加工によって作らる。
炭素繊維強化樹脂
のクランクは、加熱プレス機及び
加熱炉
などで硬化して作る。
材質
アルミ合金が多いが、炭素繊維強化樹脂(CFRP、俗に言うカーボン)およびチタン合金もある。
力の伝達
クランクと人体の脚は、クランク軸および大腿骨支持点を支点とするリンク機構となるので、ペダルに加えた脚力がスプロケットの回転トルクとなるように力を伝達する。
クランク長
自分の
脚長
に合う
クランク長
のクランクを選定する。
リコール
Full Speed Ahead社は、2011年にGossameシリーズのクランクの
クランクボルト
を規定以上のトルクで締めると、クランクに亀裂が入る可能性があるとしてリコールした。
メーカー
シマノ
、
スギノテクノ
、
AX-Lightness
、
Campagnolo
、
Dimension
、
Easton Sports
、
Extralite
、
Fac Michelin
、
FireEye Bikes
、
FUNN
、
Full Speed Ahead
、
Gigantex Composite Technologies
、
Hive
、
Karbona Parts
、
KCNC
、
Ken Chang Ind.
、
Kuota
、
Lightning Cycle Dynamics
、
Look Cycle
、
Middleburn Components
、
Miranda & Irmao
、
Mountain Racing Products
、
Octane One
、
PowerCranks
、
Profile Racing
、
Race Face Performance Products
、
Ritchey Design
、
Rotor Bike Componentes
、
Sampson Sports
、
Sinz Racing Products
、
Specialites T.A.
、
SRAM
、
Storck Bicycle
、
Stronglight
、
Sun Race
、
The Shadow Conspiracy
、
Time Ssport
、
Token Products
、
Vistadeal
、
White Industries
、
Zipp Speed Weaponry
、 など。
参考資料
「
クランク
」
メンテナンス (maintenance)
保全
のこと。
メカニック (mechanic、bicycle mechanic、bike mechanic)
自転車競技、大会または自転車店などにおいて、自転車の清掃、点検、整備、組立、
オーバーホール
および修理を行う人。
他のメカニックと区別するためにバイクメカニックとも言う。女性メカニックもいる。
競技のメカニックはレースメカニックそして店のメカニックは
ショップメカニック
と呼ばれることがある。
家庭のガレージや庭などで自転車の保全及び修理などをするメカニックは
ホームメカニック
と言う。
左図は2008年の
ツール・ド・フランス
、における
シマノ
のメカニック。
メーカーのメカニックが得た情報は本社に送られる。
右図は2012年のツール・ド・フランスにおける
team Argos-Shimano
のメカニック。
トラックに予備品および工具箱に入れた工具などを載せている。ホテルで宿泊する。
2011年の米国におけるバイクメカニックの平均年収は約200万円。
ピスト (pista)
伊語および仏語で、トラック(
自転車競技場
)またはトラック競技。
固定スプロケット自転車
を和製英語で
ピストバイク
ということがある。
カンチブレーキ (canti lever brake、cantilever brake)
概要
リム
を締め付けて制動する片持ちの
リムブレーキ
の一種。
カンティブレーキとも言う。
Vブレーキ
(横引き)もカンティレバーなので、それと区別するために中央引き(センタープル)カンチレバーブレーキと呼ばれることもある。
特徴
アーチ
がないので、幅の広い
タイヤ
および
泥よけ
の付いた
フレーム
にも使うことができる。
アーム比
はVブレーキより小さいが、その分
ブレーキパッド
とリムとのすき間が大きくとれ、泥詰まりが問題となる
オフロード
に向いているが、
マウンテンバイク
には利きの良いVブレーキが使われる。
Vブレーキと比べると質量は小さく、
パッドすき間
は大きくすることが可能。
STIシフター
を使うことができる。
形式
ロープロファイルブレーキ
が一般的となっているがワイドプロファイルブレーキ(ハイプロファイル)もある。
これは、ブレーキアームがフレームおよびフォークから出っ張っている。
構造
ブレーキシューの付いた左右の
ブレーキアーム
は、その下部にそれぞれ独立の支点(取付ボルト)を持つ。
ブレーキアーム内部の取付ボルト外部には、
ねじりコイルばね
が入っており、パッドがリムから離れる方向のばね力が働いている。 左右のブレーキアームの上端を山形の
ロープ
(シマノの名称は、
リンクワイヤー
)で結び、
その中央をブレーキレバーからのロープで上に引くと
パッドは、ばねに抗してリムに押し付けられる。
前輪ブレーキの支点は左右の
フォーク
、そして後輪ブレーキの支点は左右の
シートステイ
に付ける。
用途
サイクロクロスバイク
に使われるので、サイクロクロスブレーキとも言う。
クロスバイク
および旅行車の中にはカンチブレーキを使っているものがある。 Vブレーキが出現する前は、マウンテンバイクに使われていた。
パッド間調整
左右のパッド間の距離は、
リム幅
に応じて20~35mmに調整できる。パッドとリムの間のすき間は、ばね調整ねじで調整する。
ロープロファイル形のパッドすき間は1mmが標準。
車輪外し
車輪
を外す時は、左右のアームを手で締付けるとアームの溝に入っているロープを外すことができて、パッド間の間隔を広くすることができる。
トウイン
メーカーによって、
トウイン
が調整ができる形及び調整できない形がある。
メーカー
シマノ
、
ヨシガイ
、
4ZA
、
SRAM(Avid)
、
Campagnolo
、
Cane Creek
、
Full Speed Ahead
、
Grammo Factory Outlet
、
Interloc Racing Design
、
Paul Components Engineering
、
Ratio Bike Design
、
Tektro Technology
、
TRP
など。
参考資料
「
ブレーキ
」
ブロウディ (brodie、broadie)
マウンテンバイク
の操作技術として、
後輪
を滑らせて急激な旋回をするために、後
ブレーキ
をかけて後輪を
ロック
させること。
コネックスリンク (connex link、ConneX Link)
ウイッパーマン社
(Wippermann、独)製
チェーン
の
クイックリリース
の
外リンク
。工具なしで、取付および取外しができる。ピン穴は取付け用(ピン側の穴)と作動用があり、そのためV字形になっている。連結する2つの内リンクのそれぞれのブッシュにコネックスリンクのピンを左右から通し、ピンの溝をそれぞれ相手の取付け用の穴に入れてチェーンを引っ張ると、ピンは作動用のピン穴(外側の穴)に移って固定される。取外しは取付の逆であるが、取付けほどは簡単でない。
取付および取外しが容易なので、取り外してチェーンを洗浄したい人には便利。
ギア板 (sprocket)
スプロケット
のこと。スプロケットの歯形はギア(歯車)と全く異なり、ギアを板状にしたものではないので、不適切な用語。
チェーンディバイス (chain device)
丘下り
(ダウンヒル)または
デュアルスラローム
などを行う
マウンテンバイク
の
チェーン
の外れ及びばたつきなどの防止を目的とした器具の総称。
各種の形式があり、そのメーカーおよび形式によってはチェーンガイドまたは
チェーンケージなどとも呼ばれる。質量は形式によって、120~350g。
バッシガード
(バッシュガード)を含めることもある。
構造の一例としては、
クランクスプロケット
へチェーンが入る部分に上部案内(ドップガイド)ローラ又はケージを付け、チェーンが出る部分に下部案内(ボトムガイド)ローラを付ける。この上下の案内はブーメラン状の板に付け、板の中央をボトムブラケットに固定する。バッシガードを兼ねた円板をスプロケットの左右に付加したものもが多い。
フレーム
への取り付け方式には、
ISCG
、
ISCG 05
及びアダプターで
ボトムブラケット
に取り付ける形などがある。
メーカーは、
e.thirteen
、
Mountain Racing Products(MRP)
、
Superstar Components
、など。
デュアルサスペンション (dual suspension)
前輪
と
後輪
に
サスペンション
が付いているという意味。このような自転車はデュアルサスペンションバイクという。デュアルは2箇所という意味。
アヘッドステム (aheadstem、ahead stem)
ステム呼び[inch]
コラムクランプ内径[mm]
用途例
1
25.4
標準
1 1/8
28.6
MTB
1 1/4
31.8
タンデム
1.5
38.1
ダウンヒルMTB
操縦管
(ステアリングコラム)と
ハンドル
を連結する部品。コラムクランプの内径は操縦管の外径に合わせて4種類ある(表)。 ステム呼びはコラムクランプの内径で表す。 バークランプ内径はハンドル中央部の外径に合わせる。
突出し
は60~150mmのものがある。
ステム角
が可変になったものもある。
ハンドルステム
とも言う。
オプション (option、optional parts)
標準仕様のほかに、客の注文によって取り付ける部品・装置。例えば、
結合ペダル
の
反射器
はオプションとなっている。
両立スタンド (double stand)
概要
自転車が倒れないよう、直立させておく装置。後ろから見ると二本足又はコの字を立てた形をしている。 両脚スタンド及び2本足スタンドとも言う。一般に
シティサイクル
に使われていて、
自転車かご
に買い物した品物を載せる時に倒れなくて便利。 路面に接地する部分の前後幅が広くなった(横から見るとL形)幅広てこ式両立スタンドもある。 取付け位置は
チェーンステイ
前方または後輪
ハブ軸
。
試験
JIS D9453(自転車-リヤキャリヤ及びスタンド)によれば、スタンドを走行状態にして、前
車輪
を地面に固定し、 後車輪を地面から200mm持上げ、自然落下させたとき、スタンド端が地面と接触してはならない。
バイシクル (bicycle)
自転車または二輪車。米国、英国および欧州などで使われる。ただし、米国では口語としてバイクと言うことが多いが公式文書ではバイシクルが使われる。
スパナ (spanner)
六角ボルト
及び
六角ナット
を締める工具。両口スパナと片口スパナがある。口がスパナ芯に対して15°傾いているので、スパナが何かに当たる場合は、裏返すと当たらなくなる。 スパナの呼び寸法は口の開き幅で表す。ただし、開き幅に適応するボルト・ナットの呼びで表示してもよい(JIS)。
呼びが大きいほど対応する締付けトルクが加えられるよう全長は長くなる。
JIS B4630(スパナ)および英国ではスパナというが米国ではレンチと呼ばれる。
トリプル (triple)
「3」の意味。3重(の)、3倍(の)、3種(の)、3部(の)など。3種(大、中及び小)のスプロケットの付いたクランクまたはそのスプロケット。
ショルダーノブ (shoulder knob)
タイヤ
の肩突起。
マウンテンバイク
用タイヤの肩の部分の突起。
肩突起の形状および配置などは、
オフロード
で曲がるとき(
コーナリング
)の安定性および路面のつかみ(グリップ)などに影響する。
写真の橙色の囲い線は、肩の部分を大雑把に示した書き込み線で、タイヤに付いている線ではありません。
ノブ
は突起またはこぶの意味。
突起のあるタイヤは
ノビイタイヤ
と呼ばれる。
シートチューブ長 (seat tube length)
立管長
のこと。
チェーンリング (chain ring、chainring)
概要
クランク
の
スプロケット
に対する俗語。スプロケットはディスク(円盤)であるが、軽量化のために部分的に肉を取ってあるので、歯の部分がリングに見えたらしい。チェーンホイールとも言う。
段数
スプロケットの数で見ると、1段(単段)、2段(ダブル)及び3段(トリプル)がある。
3段のクランクスプロケットは、内から外へ、小スプロケット、中間スプロケット、大スプロケットの順に並んでいる。
歯数
2段の歯数は 24/38 、26/38 、34/50 、36/50 、39/53 及び 42/54 など。
3段の歯数は 22/32/42 、22/32/44 、24/34/42 、26/36/46 、30/39/52 、30/42/52 など。
隣接するチェーンリングの歯数差は16T以下であることが望ましい。
ボルト数
スプロケットをクランクに固定するボルト穴の数は、4穴及び5穴がある。
ピッチ円直径
3段のスプロケットをクランクに固定するボルト穴の
ピッチ円直径
(PCD)はメーカーによって異なり、大スプロケット及び
中間スプロケット用として94、104、110、130及び135mmがある。 小スプロケット用として58、64及び74mmがある。
小スプロケット位置
左右の
チェーンステイ
は
ボトムブラケットシェル
から後方へ「ハ」の字状に広がって出ているので、スプロケットの歯が
チェーンステイと当たらないよう、小スプロケットは最内側に配置している(右図)。
歯厚呼び
1/8(3.175mm)及び3/32(2.38mm)の2種類がある。
呼び1/8は、
シティ車
及び
固定スプロケット自転車
などに使われる。
呼び3/32は、
カセットスプロケッ
付いた
ロードバイク
、
マウンテンバイク
及び
サイクロクロスバイク
などに使われる。
シフトランプ
変速時にチェーンが容易に移動するように、
シフトランプ
を付けた形がある。
歯厚
歯厚を交互に広幅と細幅とした
ワイドナローチェーンリング
がある。
色
陽極酸化
によって着色した形がある。
製法
本体は円板からプレス加工で作り、歯は切削加工で作る。
冷間鍛造
で作ったものもある(右図)。
少量生産の場合は、
CNC
工作機械で作ることもある。
材質
アルミ合金及びチタン合金など。軽量化と耐磨耗性を両立させるために、本体は炭素繊維強化樹脂(俗にいう
カーボン
)とし歯はチタン合金またはアルミ合金とした形がある。
カバー
チェーンリングカバー
がある。
メーカー
シマノ
、
スギノエンジニアリング
、
Aerozine Bike
、
Carbon-Ti
、
Crupi Parts
、
Endless Bike Company
、
Full Speed Ahead
、
Ken Chang Ind.
、
Middleburn Cycle Components
、
Miranda & Irmao
、
Praxis Works
、
Race Face Performance Products
、
Rennen Design
、
Renthal
、
Sinz
、
Specialites T.A.
、
Stronglight
、
Tiso
、
Uberbike Components
、
WickWerks
、
Wolf Tooth Components
、など。
ハイブリッド (hybrid、hybrid bike、hybrid bicycle)
クロスバイク
と同じ。ハイブリッドは雑種という意味。
ロードバイク
と
マウンテンバイク
の雑種。
トウクリップ (toe clip)
概要
ペダル
に付けて、つま先(トウ)を固定する留め金具(クリップ)。
ひも(
トウストラップ
)と組み合わせて使う。
ひもで留めないクリップとして、
ハーフクリップ
がある。
用途
トラックペダル
などに使われる。
取付
トウクリップペダル
に2個のねじ及びナットで固定して使う。
サイズ
短、中及び長並びにM、L及びLLなど。
材質
プラスチック(ナイロンなど)及び金属(アルミ合金など)がある。金属製は自分の靴に合わせて曲げるとができる。
利点
トウクリップを使用すると、
クランク
の回転角360°すべてにおいて、ペダルに力を加えることができる。 現在はトウクリップよりも、それに代わる
結合ペダル
が普及している。
メーカー
三ヶ島製作所
、
All-City
、
Brooks
、
Delta Cycle
、
Ison Distribution(Genetic)
、
Pake Bicycles
、
WellGo Pedal's
、
Zéfal
、など。
ホリゾンタルフレーム (horizontal frame)
水平フレーム
のこと。
セラミックリム (ceramic rim、ceramic coated rim)
アルミ合金
リム
に
セラミックコーティング
を施したリム。
ブレーキパッド
との摩擦力(特に雨に濡れたとき)の向上およびリムの磨耗の減少を意図している。 欠点はパッドからの熱伝導が悪いこと、高価なことおよびブレーキパッドの磨耗が早いこと。
セラミックコーティングが無ければ、摩擦熱はリム全体に伝導され放熱されるが、セラミックがあると熱の絶縁体となりアルミ合金リムへの熱伝導が阻害されブレーキパッドの温度が上がりるためパッド表面が溶ける。 そのため、パッドはセラミックリム専用のものが必要。
スポークレンチ (spoke wrench)
ニップル回し
のこと。
エルゴパワー (Ergopower)
項目
STI
エルゴパワー
レバー
ブレーキレバーは
シフトレバーと共用。
ブレーキレバーは
ブレーキ専用。
アウター
ブレーキ用は
バーテープ下となるが
シフター用は外に出る。
ブレーキ用および
シフター用共に
バーテープの
下となる。
概要
ドロップハンドル
用の
ブレーキレバー
と
シフトレバー
を一体にした
カンパニョーロ
方式の商品名。シマノの
STI
に対応する。STIの成功を追って開発された。
操作
ブレーキレバーの背後の副レバーを、薬指と小指で内側へ押すと、
チェーン
は
大スプロケット
へ移動する。本体内側の指レバーを、親指で押すとチェーンは
小スプロケット
へ移動する。 アップシフトとダウンシフトでは別の指を使うので誤操作が無い。STIには指レバーはない。
レバー材質
炭素繊維強化樹脂
(CFRP、俗に言うカーボン)。樹脂にメッキすると金属のように見える。
エルゴパワーとSTIの比較
エルゴパワーと
STI
の外観上の違いを表に示す。エルゴパワーはハンドル前に
アウター
が出ていないので、
ハンドルバッグ
の取付ができる。
ブレーキレバーの背面にあるシフトレバーは、STIではチェーンを小スプロケットへ移すのに対し、エルゴパワーでは大スプロケットへ移すという違いがある。
ダイナモ (dynamo)
主に英国用語で
発電機
のこと。米国では主にジェネレーターと呼ばれる。
エルゴブレイン (ErgoBrain)
カンパニョーロ
の
サイクルコンピュータ
の商品名。
時間、速度、距離及び
ロールアウト
を表示する。
平均速度より速いか遅いかを矢印で表示する。
エルゴパワー
のレバーと連動して、使用している
クランクスプロケット
および
後輪スプロケット
の歯数並びに
チェーン
位置を表示する機能もある。
付属のブラケットで
ハンドル
に取付けると、画面は
ハンドルステム
前方(ハンドル中央)に位置する。
ラージフランジハブ (large flange hub)
大フランジハブ
のこと。
大フランジハブ (large flange hub)
スポーク
頭を付けるスペース以上に
ハブフランジ
外径が大きい
ハブ
。 軽量化のためにフランジに穴が開けられていることが多い。
小フランジハブ
が出るまでは主流であった。 スポークの
プレース角
が大きいため
ホイール
の横方向強度が大きい。ホイールの横方向の力が大きくなる
トラックバイク
に使われている。高フランジハブとも言う。
スポーク穴
の
ピッチ円直径
が
スプロケット
より大きいと、スプロケットを外すことなくスポーク交換ができる。
ビードシート (bead seat)
ビード座
のこと。
トルクスレンチ (Torx wrench)
トルクスねじ
の取付けまたは取外しをするための
レンチ
。
ギアレシオ (gear ratio)
ギア比
のこと。
トルクスねじ (Torx screw、Torx head screw)
工具の入るねじの頭部の形状を曲線でできた6点星形にしたねじ。頭部の形状は、平、ボタン、なべおよび皿などがある。 一般の
プラスねじ
より大きな
トルク
で締め付けできること、および工具の寿命が大幅に伸びることが特徴。頭部の質量は
六角穴付きボルト
より小さい。ねじの寸法はT10のように、ねじの呼び径にTを付けて表す。
ディスクブレーキ
の
ブレーキローター
のねじとして使われていることがある。工具として、
トルクスレンチ
または
トルクスねじ回し
が必要。トルクス(Torx)は米国のテキストロン社(Textron,Inc.)の登録商標。
フォークステム (fork stem)
操縦管
のこと。
電球 (lamp、bulb)
ガラス球の形式
定格電圧
V
消費電力
W
光束
lm
寿命
h
G形(球)
6
2.4
26
60
6
3.0
33
60
B形(円錐球)
6
2.4
28
60
6
3.0
40
60
T形(円筒)
6
2.4
28
60
6
3.0
40
60
概要
電気を通すと発光体となる物質を封入したガラス球。
前照灯
などの光源としてに使われる。
種類
LED
電球、
ハロゲン電球
及び
クリプトン電球
などがある。
規格
自転車発電ランプ用電球の規格(JIS C7510)の一部を右表に示す。
光束の数値が大きいほど明るい。口金の6V2.4Wの刻印の後にHの記号があれば、高効率形。
口金
口金はE10(外径10mm)であることが多い。ねじ形及び挿入形がある。
ヘキサゴンレンチ (hexagonal wrench、hexagon wrench)
六角レンチ
のこと。
ニップルドライバー (nipple driver、crank-type nipple driver)
先端がマイナス形のクランク脚が柄の中で回転するようになっており、
ニップル
のマイナス溝にいれてクランクを回すように回す。仮組みで
スポーク
に張力がかかり始めるまで使うと能率が良い。
脚の長さによって、標準リム用および
深リム
用がある。
グリス (grease)
グリース
のこと。
ダウンスイング (down swing)
前ディレイラー
において、可動ピボットが低い位置にある形。
平行四辺形
の上リンクにフレームに固定するクランプを付け、下リンクにケージを付けた従来の方式。
ケージ位置がクランプ位置より低い。
トップスイング
に対峙する用語。
ロードバイク
用は全てダウンスイング形。
マウンテンバイク
においては、
フルサスペンション
のようなトップスイング形が付けられない
マウンテンバイクフレーム
などに使われる。
トップスイングよりリンクは長くなる。ボトムスイングとも呼ばれる。
メインパイプ (main pipe)
主管。
下管
と同じ。
低フランジハブ (low flange hub)
ハブフランジ
の高さが
スポーク
を取付けるのに必要なだけの高さしかない低いフランジの
ハブ
。
小フランジハブ
とも言う。
現在は大部分のハブが低フランジとなっている。フランジの高さが高いハブは
高フランジハブ
と呼ばれる。高フランジハブは
ホイール
の横強度が大きくなる。
ストローク (stroke)
行程
のこと。
バルブアダプター (valve adapter)
概要
バルブ
に付けて、型式の異なる
空気入れ
が接続できるようにした金具。バルブは3種類(英式、仏式および米式)があり、接続口に互換性が無いので専用の空気入れが必要。 アダプターをバルブに付けることにより、異種の空気入れが使える。
次の4種のアダプターがある。空気を入れた後にアダプターは外す。
英式V→米式P
英式バルブ
(ウッズバルブ)に付けて、
米式バルブ
用の空気入れが接続できるようにするアダプター。
米式V→英式P
米式バルブ(シュレーダーバルブ)に付けて、英式バルブ用の空気入れが接続できるようにするアダプター。
仏式V→米式P
仏式バルブ
(プレスタバルブ)に付けて、米式バルブ用の空気入れが接続できるようにするアダプター。
使用に当たっては、仏式バルブの丸ナット(ロックナット)を上端まで緩めて、丸ナットの上端を押すことにより弁棒を下げて空気が弁座を通過できるようにして、仏式アダプターをねじ込み、空気入れで空気を入れる。 仏式アダプターを外し、丸ナットを元の位置まで締めてバルブから空気が漏れないようにする。
米式V→仏式P
米式バルブ(シュレーダー)に付けて、仏式バルブ用の空気入れが接続できるようにするアダプター。
メーカーは、
Silca
、など。
メンテ (maintenance)
メンテナンス(
保全
)の略語(俗語)。
パニアラック (pannier rack)
概要
後用
前用
パニア
を保持するラック(荷台)。
前ラック
および
後ラック
がある。
パニアキャリアとも呼ばれる。主に、
旅行車
に使われる。
前ラック
前輪
の左右を跨いで取付ける。
フォーク
の上と下で固定する。上はフォークに付ける専用のクランプまたはブレーキ座などに固定する。
下は前輪
ハブ軸
または
つめ
に付いている穴などに固定する。 左右の荷物の質量は、等しくすることが望ましい。
後ラック
後輪
の左右を跨いで取付ける。
シートステイ
の上と下で固定する。上は
サドル支柱クランプ
ボルトなどに固定する。
下は後輪
ハブ軸
またはつめに付いている穴などに固定する。
形状
パニアが車輪に当らないようにするための側面の形状は、逆三角形、逆台形および長方形などがある。
大きさ
車輪サイズに合った大きさのものがある。車輪サイズに合わせて高さを変えられる形がある。
許容荷重
積載できる荷物の最大質量は、メーカー形式によって前用は10~15kgそして後用は10~25kg。
材質
アルミ合金、クロモリ鋼、ステンレス鋼またはチタン合金の管または棒。管は軽く強度がある。
質量
前用は0.5~0.8kgそして後用は0.6~1.4kg。チタン合金製で形状が単純なものは0.3kg(右図)。
メーカー
日東
、
箕浦
、
Axiom
、
Bruce Gordon Cycles
、
Carradice of Nelson
、
Civia Cycles
、
Delta Cycle
、
Hebie
、
Racktime
、
Raleigh
、
Thorn Cycles
、
Topeak
、
Tubus Carrier Systems
、 など。
フルアシスト自転車 (full electric bicycle、electric bicycle、electric bike)
フル電動自転車
と同じ。
スキュアー (skewer)
一般用語としてのスキュアーは串 (くし)のこと。自転車には次のようなスキュアーと呼ばれる部品がある。
ハブスキュアー
シートポストスキュアー
フル電動自転車 (full electric bicycle、electric bicycle、electric bike)
電動機
(モーター)および
蓄電池
を備え自走するが、
ペダル
を用いて人力によっても走行できる自転車。フルアシスト自転車または
電動自転車
とも呼ばれる。
法規上は「ペダル付きの原動機付自転車」と呼ばれ、道路交通法第2条第1項第10号に該当する。従って、運転免許の取得、標識(ナンバー)の交付、自賠責保険の加入および
ヘルメット
の着用等、原動機付自転車の規則に従うことが必要。 最大出力は500Wのものが多い。
内装外装変速機
または
外装変速機
が付いている。
引き足 (pull up toe)
ペダル行程
の
戻り行程
において、
結合靴
によって
結合ペダル
を引き上げる動作。
または引き上げ行程。
クランクの角度で表せば約210°~330°。
参考資料
「
ペダル行程
」
年コード (year code)
製造年を表す記号。公表されていないが、シマノの部品にはその背面に年月コードが記されている。
アルファベットの大文字2字(例えばDB)で構成されており、最初の文字は月(Dは4月)そして次の文字は年(Bは2003年)を表している。
年のコードは表1ように1976年および2002年がAそして2001年がZとなっている。月のコードは表2のように1月がAそして12月がLとなっている。
表1 年コード
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M
N
O
P
Q
R
S
T
U
V
W
X
Y
Z
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
表2 月コード
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
ケーブル (cable)
ワイヤーロープ
のこと。
ブルホーンハンドル (bullhorn handlebar、bullhorn bar)
概要
ハンドル
の握る部分が前に出て、やや上を向いているハンドル。カウホーンとも言う。
牡牛(ブル)のつの(ホーン)と少しは似ている。
ハンドル自体の空気抵抗は
ドロップハンドル
よりやや少ない。
用途
ベースバー
として
クリップオンバー
を付けて
エアロバー
にして使う場合及び
ハンドルテープ
を巻きブルホーン単独で使う場合がある。
その場合の握る位置は左右水平部(フラット部)又は前に出た部分。
単速車
及び街乗りの自転車などに使われる。
マスドスタート
競技においてブルホーンを使用することを、
UCI
は禁止している。
仕様
ハンドルステム
と一体になった形がある。
ハンドル幅
38cm、40cm及び42cm。
クランプ径
ハンドル中央部の直径は25.4mm及び31.8mm(オーバーサイズ)。
材質
アルミ合金及び
炭素繊維強化樹脂
など。
ダブルバテッド管
を使った形もある。
メーカー
日東
、
Fyxation
、
Helios Bikes
、
Profile Design
、
Selev
、など。
シクロクロス (cyclo cross)
意味不明の誤った和製用語。欧米では、
サイクロクロス
と呼ばれている。サイクルレースと
クロスカントリー
を合わせた造語。
プレーンスポーク (plain spoke、plain gauge spoke)
ずん胴スポーク。端から端まで同一外径の
スポーク
。
プレーンゲージスポーク
とも言う。
段付きスポーク
と対峙する用語。
ホイール
の9割以上はずん胴スポークを使っている。 後輪
ホイール
の中には、駆動側はずん胴スポークを使い反駆動側は段付きスポークを使っている形がある。
エアーポンプ (air pump)
空気入れ
。流体を加圧して移送する機械をポンプという。
参考資料
「
空気入れ
」