自転車用語 (続き10)
自転車探険!
ハブ (hub)
前輪ハブ
後輪ハブ
概要
車輪の中央にあって車輪を支持して回転させる円筒状の部品。
中に
軸受
があって
ハブ軸
が通り、両側に
スポーク
を付けるための
ハブフランジ
が付いている。
種類
前ハブ
(フロントハブ)および
後ハブ
(リアハブ)がある。
フランジの高さによって、
高フランジハブ
および
低フランジハブ
がある。
ディスクブレーキ
の付く車輪は、
ディスクハブ
を使う。 車軸に
クイックリリース
の付いたハブもある。
軸受
軸受としては、
カップアンドコーン
軸受(右図)または
カートリッジ軸受
が使われる。
カップアンドコーン軸受は、カップ、玉およびコーン(円錐のこと)で構成されている。
カップとコーンの間で玉が回転する。
わんはハブ側にあり、一方玉押しは軸にねじ込まれて、ロックリングで固定されている。
ロックリングと玉押しの間にはスペーサーがある。
車軸における玉軸受の位置はメーカーによって異なり、次の4例がある。
(1)右図のように左はハブフランジ部にあり、右は
フリーハブボディ
部にある形。
(2)左右のハブフランジ部にあって、フリーハブボディ部にはない形。
(3)左右のハブフランジ部およびフリーハブボディ部にある形(合計3箇所)。
(4)左右のハブフランジ部および左右のフリーハブボディ部にある形(合計4箇所)。
構造
右図には、後輪ハブに
フリーホイール
の入ったフリーハブボディおよび
カセットスプロケット
を組み付けた構造例を示す。
朱色はハブおよびその玉軸受を示している。
寸法
カセットスプロケット10段及び11段用のハブの寸法例(DT Swiss製)を右図に示す。
図の下半分が10段用の寸法そして上半分が11段用の寸法。
OLD
は10段用が130mmそして11段用が131mmとなっている。
ハブフランジ
間距離は、何れも50mm。
製法
ハブシェル
は、
ダイキャスト
、
冷間鍛造
または
CNC
機械加工によって作らる。
材質
ハブシェル
はアルミ合金、チタン合金および
炭素繊維強化樹脂
がある。
ハブ軸
は
CrMo鋼
など。
質量
ハブ質量を打点したグラフを右に示す。
赤点は前輪ハブ(OLD=100)そして緑点は後輪フリーハブ(OLD=130,135)を示す。
いずれもクイックリリースは含まない。
平均質量は、前輪ハブが約140gそして後輪ハブが約300g。
メーカー
近藤機械製作所
、
シマノ
、
Ambrosio
、
American Classic
、
Atomlab
、
Azonic
、
Bitex Industrial
、
Borealis Bikes
、
Brunn Bike Parts
、
Burgtec
、
Campagnolo
、
Carbon-Ti
、
Chris King Precision Components
、
DT Swiss
、
Edco Engineering
、
Element Technic
、
Extralite
、
Fac Michelin
、
FireEye Bikes
、
Formula Engneering
、
Gravity-Zero
、
Halo
、
Hive
、
Hope Technology
、
Ison Distribution(Halo)
、
Joy Industrial(Novatec)
、
Kappius Component
、
Karbona Parts
、
Leaf Cycles
、
LLS
、
Marwi
、
Middleburn Components
、
NS bikes
、
Nuke Proof
、
Origin 8
、
Paul Component Engineering
、
Phil Wood
、
Primo
、
Profile Racing
、
Van Beurden Techniek
、
Soul Kozak
、
SRAM
、
Sturmey Archer
、
Sun Race
、
Sun ringle
、
Superstar Components
、
Token Products
、
Velocity
、
Victoire Cycles
、
Woodman Components
、
Wheels Manufacturing
、
White Industries
、
Zipp Speed Weaponry
など。
ハブ空港
ハブを空港そしてスポークを航路になぞらえて、各地に航路の出ている拠点となる空港はハブ空港と呼ばれる。
参考資料
「
ハブ
」
遊び (play)
部品と部品の間の動きうる余裕。
交差数 (cross number、number of crosses)
スポークの交差数と応力の関係
交差数
2交差
3交差
4交差
縦(半径方向)応力
0.98
0.99
0.99
横(横方向)応力
1.13
0.89
0.81
捩り(接線方向)応力
3.12
3.15
3.18
3交差
1本の
スポーク
に注目した時、他のスポークと交わっている数。
ハブフランジ
を挟んで交差している部分も1交差として数える。
2交差又は3交差(写真)が多い。特に3交差が一般的。実用的な交差数はスポークの本数で決まる。 交差数とスポーク
応力
の関係を右表に示す。数値が大きいほど応力は大きい。横方向応力だけが交差数によって大きく変わっている。 横方向応力は曲がり(
コーナリング
)のときに大きくなる。
パーツ (part、parts)
パート(部品)の複数形。部品。
リング錠 (ring rock)
錠
より円弧形の施錠棒を出して、
ホイール
の内側を通して錠の反対側に入れて施錠する方式の錠。
主に、
シティ車
に取付けて、後輪が回らないようにするために使われる。
馬てい錠
とも言う。
ゴム糊 (rubber cement)
加硫していないゴムをベンゼンなどの溶剤に溶解させた接着剤。
パンク
修理などの接着剤として使われる。保存期限は新品が3年そして開封後は2年。
ペグスパナ (peg spanner)
スプロケット
を
クランク
に固定している
スプロケットボルト
(2番目の写真)を
六角レンチ
で外すとき、ペグ(突起)を丸ナット(3番目の写真)の背面の溝に入れて共回りしないように抑えておく
スパナ
(左写真)。 クランクのほこりカバー取り外し用ペグ並びに9mm及び10mmの六角穴が付属している形もある。
チェーンリングナットレンチ
とも言う。
トーイン (toe in、toe-in)
トウイン
のこと。
シートクラスター (seat cluster)
フレーム
において、
立管
(シートチューブ)、
上管
(トップチューブ)および左右の
シートステイ
が連結されている部分。
クラスターは房のこと。結合方式、デザイン及び強度などを示したいメーカーおよび関心のある人が使う用語。
結合方式には、(1)
ラグ
(2)ラグと
溶接
の組み合わせ (3)溶接および (4)
CFRP
の一体構造がある。
レインギア (rain gear)
雨着
のこと。衣類をギアと呼ぶことがある。
フォーク長 (fork length)
操縦管
(ステアリングコラム)の中心線と平行に測って、
フォーク肩
から前輪
ハブ軸
芯までの距離。
フォーク長は
ブレード長さ
と等しい。
フォーク長は
タイヤ
外径でほぼ決まるが
サスペンション
が付くと
トラベル
に対応してフォーク長は長くなる。
各メーカーの
リジッドフォーク
の長さを右図に打点して示す。黒点は
ロードバイク
そして赤点は
マウンテンバイク
である。
フォーク長の平均を計算すると、ロードバイクは約375mmそしてマウンテンバイクは約430mmである。
冷間加工 (cold working)
塑性変形を利用し、再結晶温度未満または常温で行なう加工。具体例としては、冷間圧延、引抜きおよび
冷間鍛造
などがある。
冷間加工によって加工硬化を生じることもある。加工硬化により硬度および強度が増す。 冷間加工でも作られている自転車部品は、
ハブ
、
スポーク
および
クランク
など。
パンク修理キット (puncture repair kit)
パンク
による
チューブ
の穴あきを修理するための、複数の
チューブパッチ
(ゴムパッチ)、チューブ入りのゴム糊およびサンドペーパーなどのキット。
ケースが付属した形がある。
パッチキットとも呼ばれる。
メーカーは、
Lezyne
、
Meqix
、
Park Tool
、
Rema Tip Top
、
Syncros
、
Weldtite Products
、など。
バンド式ディレイラー (clip-on derailleur)
立管
(シートチューブ)に、バンドで固定する
前ディレイラー
。
ディレイラーとバンドは一体になっている。
クランプ径は立管外径28.6mm (1-1/8)、31.8mm (1-1/4)および34.9mm (1-3/8)に対応している。
外径28.6mm及び31.8mmの立管に対しては
バンドアダプター
を付ける。
それとは別に、
直付けディレイラー
もある。
ダブルレバー (downtube lever、downtube shift lever、downtube shifter)
前後
ディレイラー
の
シフター
を
下管
(ダウンチューブ)の左右に1対(ダブル)にして付けた
シフトレバー
に対する和製英語。 摩擦式およびインデックス式がある。取付には下管に取付座が必要。
シングルレバー
と対峙する用語。
下管シフター
、ダウンチューブレバーまたはダウンチューブシフターとも言う。
メインチューブ (main tube、main frame tube)
下管
(ダウンチューブ)の別名。
頭管
と
ボトムブラケットシェル
を連結している。メインパイプとも言う。ごく稀に、
前三角
(主三角)を構成する管をメインチューブと呼ぶ。
トラックエンド (track end、track fork end)
トラックレーサー
(トラックバイク)の後輪
ハブ軸
を付ける
爪
。開口が水平後方に開いているのでハブ軸を水平前後に動かして
チェーン
の張り調整ができる。 トラックレーサーは
ディレイラー
が付いていないので張り調整ができることが必要。
エンド幅
は120mmであることが多い。
クイルペダル (quill pedal)
U字形に曲げた金属板(ケージ)などで縁取りした
ペダル
。上から見た丸い船尾に似ているので、船形ペダルとも言う。
クイルは羽根のこと。尾羽根の丸い形状からの連想。 一般に
トウクリップ
をつけて使う。ケージにはトウクリップを固定するための2個の穴が開いている。
溶接フレーム (welded frame)
フレーム
を構成する管の結合に伝統的な
ラグ
を使わず、管を
溶接
して作ったフレーム。
ラグフレーム
と対峙する用語。
溶接技術の進歩および経済性(安価)のため、1981年頃から市場に出始めた。
1990年代に入って、ラグの伝統のない
マウンテンバイク
が安価な溶接技術を採用し、
ロードバイク
にも使われるようになった。
管をを正確な位置に固定するために、
フレームジグ
が使われる。
管と管を接合した溶接箇所で破損が起こることがある。
溶接したアルミ合金フレームは、溶接による残留応力を除去するために
熱処理
をすることが望ましい。
ドロップアウト (dropout)
概要
前輪または後輪の
ハブ軸
の付く
つめ
のこと。
ハブ軸が外しやすいように、かつ軸位置が調整できるように、一部が開いている。
昔々はハブ軸を通す単なる穴で開口部はなかった。
フォーク下端のつめ(爪)を
フォークエンド
と呼び、
チェーンステイ
後端の爪をドロップアウトと呼び区別することもある。
仕様
(1)
垂直つめ
及び
水平つめ
がある。
(2) 後輪軸位置の調節を行いやすくした、
アジャスタブル ドロップアウト
もある。
(3)
後ディレイラー
を付ける
ディレイラーハンガー
が付いたものが多い。ハンガーにはディレイラー取付穴が開いている。
(4)
カンパニョーロ
社は、自社の後ディレイラーに対して、安全性および駆動列(
ドライブトレイン
)の性能のために、右図において、X=4~8mmそしてL=24~28mmが適当としている。
(5) 遠隔操作で固定できるロッカードロップアウトがある。
メーカー
タカハシテクノ
、
Paragon Machine Works
、
Xi'an Changda Titanium Products
、など。
ハブシェル (hub shell)
ハブ
の円筒状の外殻。
シェルは殻のこと。
スポーク
が付く
ハブフランジ
と一体になっている。
一般に、一体となったハブフランジを含めてハブシェルという。 ハブフランジには
スポーク穴
が開いている。
中に
軸受
及び
ハブ軸
が入る。
後輪のハブシェルには
フリーハブボディ
又は
スプロケット
が付く。
ブレーキホース (brake hose、disc brake hose)
流体(油圧)ディスクブレーキ
において、
ブレーキレバー
を引いた時の
マスターシリンダー
の油圧上昇を、
ディスクキャリパー
の作動機構へ伝達する
作動油
の入った弾性体のホース。油圧チューブとも言う。
長さは、1300、1500、1600、1700、2200又は2500mmなど。
チューブ材質はナイロン又はテフロンなど。
構造の一例を右下図に示す。
メーカーは、
Clarks Cycle Systems
、
Gatorbrake
、
Jagwire
、
Quad Technologies
、など。
ダンシング (dancing)
立ち漕ぎ
のこと。
クイックリリースペダル (quick release pedal、removable pedal)
工具を使わず手で容易に着脱出来るようにした
ペダル
。
庭の散水ホースの連結器(カプラー)に似た構造となっている。
ロードバイク
の
輪行
でペダルを外す場合、
折りたたみ自転車
でペダルを外す場合または複数の自転車間でペダルを使い回しする場合(まれ)などに使われる。
カプラーは
クランク
にねじ込んでおく。カプラーにグリースの付いた小さい
玉軸受
が入っている。左右一対となっている。リムーバブルペダルとも言う。
メーカーは、
三ヶ島製作所
、など。
リターンスプリング (return spring)
戻しばね
。
スポーク穴オフセット (rim spoke hole offset、spoke hole offset)
スポーク穴
群の中心線を
リム
中心線より偏心させること(右写真)。
左右の
プレース角
の差、従って
スポーク張力
の差を減少させることにより
ホイール
の強度を上げることを目的としている。
なお、スポーク穴群はその中心線に対して交互に左右に偏心していることがある(左写真)。
シート (seat)
リカンベント
の座。一般の自転車の座は
サドル
と呼ばれる。
シートなので
サドル痛
は少ない。
詰物を入れた形が多い。
蒸れないようメッシュのカバーの付いた形がある。
背もたれ角
を調節できるようにした形がある。
ビード座 (bead seat)
クリンチャーリム
の
タイヤ
装着側の内面両側にある、タイヤの
ビード
がすわる座。
ISO
及び
ETRTO
においてはリム径及びタイヤ寸法は
ビード座直径
で表す。リム径(ビード座直径)はリム外径より小さい。
自転車 (bike、bicycle)
「ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車であつて、車いす及び小児用の車以外のものをいう。」
(道路交通法 第2条11の2 の定義)。
自転車店
で販売される。台湾および中国に於いては、自転車のことを自行車と言う。
用途で分類すると、
通勤自転車
、
自転車通学
、
自転車旅行
及び
サイクリング
に使う自転車などがある。
自転車フリーマーケット
がある。
2011年の
自転車販売台数
は、ドイツ405万台、英国358万台、フランス320万台そしてイタリア175万台で自動車の販売台数と等しかった。日本は1,055万台。
スコットランドのハイスクールでは、2008年からサイクリング技術、自転車
保全
(保守)及び安全などに付いても教えている。
自動車の使用を減らして、二酸化炭素の排出量を減らすことなども目的としている。
参考資料
「
自転車の種類
」 、 「
自転車と地球環境
」 、「
自転車メーカー
」 、「
部品・付属品メーカー
」 、「
自転車購入費回収日数
」
自転車産業振興協会
、
自転車協会
バイシクル (bicycle)
自転車または二輪車。米国、英国および欧州で使われる。ただし、米国では口語としてバイクと言うことが多い。
突出し (extension)
ハンドルステム
の突出し長さ。ハンドルステムの中心線(頭管の中心線に等しい)から
ハンドルクランプ
芯までの距離(A)。 または突き出しに沿った芯間距離(B)。
乗車姿勢
に影響する。突き出しが長いと前傾姿勢が大きくなる。
シティ車
は突出しが短い。
TTバー
(タイムトライアル ハンドル)または
エアロバー
の突き出し(
エアロイクステンション
)。
シュー (shoe、bike shoe、brake shoe)
ブレーキ
ブレーキシュー
のこと。
靴
自転車靴。自転車に乗る時にはく
靴
のこと。複数形はシューズ。日本では左右一組の靴を一足と数える。
参考資料
「
靴
」
レイク角 (rake angle)
フレーム
の
頭管
(ヘッドチューブ)と垂直線のなす角度(右図)。レイク角は14°~23°。レイク角が大きいと、安定性が大きくかつ
ハンドル
の旋回が軽くなる。
レイク角は
トレイル
に影響する。頭管と水平のなす角度は
ヘッド角
と呼ばれる。レイク角 = 90°- ヘッド角。
スタンディング (standing、track standing)
立ち漕ぎ
坂を登るときに
ペダル
に力を加えるために使われることがある。人によっては、体を前に少し傾けるとよい。
ペダルに力を加える別の方法としては、着座状態で
ハンドル
を引き寄せるように腕に力を加えると、ペダルにより大きな力を加えることができる。
丘下り
ペダル
の上に立った状態で丘を下ること。
静止均衡
トラックスタンド
のこと。
ケーブル固定ボルト (cable fixing bolt、anchor bolt、cable anchor bolt)
ケーブル(
ロープ
)を
ブレーキ
または
ディレイラー
に固定するボルト。 ブレーキロープ用はボルト軸に垂直に開いた穴にロープを通し、座金とナットで固定する(左2個)。アンカーボルトとも言う。
スポーク穴 (spoke hole)
リムスポーク穴径[mm]
ニップル径
スポーク穴径
4.0
4.4
4.3
4.7
4.6
5.0
スポーク
を付けるために
ハブ
フランジ又は、
リム
に開いている穴。
スポークの本数だけ開いている。
ニップル
径に対応したリムのスポーク穴径を右表に示す
(JIS D9421、自転車-リム)。
スポーク数が少ないと、その分軽くなるが、
ホイール
の強度は低下する。
スポーク穴位置をオフセットさせた
オフセットスポーク穴
がある。
スポーク穴に
はとめ
を入れることがある。
工場において、自動の穴打抜機で穴を打抜いて開ける。
図はリムに対する半自動のスポーク穴打抜機の2例。
この機械ではリムは自動的に芯出しされる。
バンドアダプター (band adapter、band clamp adapter )
バンドで
フレーム
の
立管
に固定する
バンド式ディレイラー
において、立管径34.9mm用または31.8mm用が立管径28.6mmに使えるようにするために、バンドと立管の間に入れる一対の半割りの薄い環。 一般には、
ディレイラーシム
と呼ばれる。
ラグフレーム (lugged frame)
継手(
ラグ
)を使った
フレーム
。ラグドフレームともいう。フレームを構成する管はラグで連結する。 ラグに管を差込み、そのすき間を
ロウ付け
して固定する。フレームにおいて大きな力の働く管端をラグで補強できるので、薄肉管を使うことができて軽くなる。
溶接
の熱ひずみが無い。 右図のAは
頭管
上ラグ(頭管と
上管
を連結)、Bは頭管下ラグ(頭管と
下管
を連結)そしてCは立管ラグ(
立管
、下管及び
チェーンステイ
を連結)。
トップギア (high gear)
高速で走るときに使う
スプロケット
。
クランクスプロケット
の歯数の多いスプロケット(大スプロケット)および
後輪スプロケット
群の歯数の少ないスプロケット。ハイギアとも言う。
後三角 (rear triangle)
菱形フレーム
の基本構造の一部である後部三角形。
三角形は丈夫な構造体。
立管(シートチューブ)、シートステイおよびチェーンステイで形作られている。
立管は前三角と共用。
フレーム中央を後輪が通るため、シートステイおよびチェーンステイは左右一対となっている。
UCI
は、
ツール・ド・フランス
のような国際競技において、菱形フレーム以外のフレームの使用を禁じている。
参考資料
「
フレーム
」
前三角 (front triangle、main triangle)
菱形フレーム
の基本構造の一部である前部三角形。
主三角(メイントライアングル)とも呼ばれる。
頭管(ヘッドチューブ)、立管(立パイプ、シートチューブ)、上管(トップチューブ)および下管(ダウンチューブ)の4本の管で形作られている。 立管は後三角と共通。
数学的には四角形。三角形は丈夫な構造体。
UCI
は、
ツール・ド・フランス
のような国際競技において、菱形フレーム以外のフレームの使用を禁じている。
参考資料
「
フレーム
」
フリーギア (freewheel sprocket)
後輪の
フリーホイール
に付いている
スプロケット
を意味する和製英語。対立語は
固定ギア
。スプロケット(鎖車)をギア(歯車)と呼ぶのは誤り。
ハードテールバイク (hardtail bike、hard tail bike)
サスペンション
が
フォーク
すなわち前輪のみに付いている自転車(主に
マウンテンバイク
)。後部(テール)は堅い(ハード)という意味。
後輪にもサスペンションが付いた形はソフトテールバイクまたはフルサスペンションバイクと呼ばれる。
ハードテールはソフトテールに比べ質量が小さく、効率が良くそして価格が安い。比較的平坦なオフロードに向いている。元々は、オートバイの用語。
ハイテン鋼管 (high tensile strength steel tube)
高張力鋼管
のこと。ハイテンスル(高張力)鋼管の略語。普通鋼管のマンガン含有量を増加させて、引張り強さを向上させた高張力鋼で作った鋼管。
引張強さが490MPa以上の鋼を高張力鋼という。
ハブフランジ (hub flange)
ハブ
両側の、
スポーク
が付いている円盤状の部分。一般に、板状に突出した部分をフランジ(つば)と言う。
フランジが大きい形は、
大フランジハブ
または高フランジハブと言い、車輪の横剛性が大きくなる(左写真)。
フランジが小さい形は、
小フランジハブ
または低フランジハブと言い、質量が小さくなる(右写真)。
左右のフランジの大きさが異なるハブフランジは
ハイローフランジ
と言う。
ケイデンス (cadence)
ケイデンス
計算器
クランク スプロケット歯数
ハブ スプロケット歯数
タイヤ外径
走行速度
ケイデンス
mm
km/h
rpm
ペダルの毎分回転数。片方の
クランク
または
ペダル
の毎分回転数に等しい。
毎分回転数(1分間に回す数)はrpmという記号で表わされる。
一般に、ケイデンスは50~100rpm。70rpmはエネルギー効率が高い。 80rpm以上の高いケイデンスには、
結合ペダル
の使用が望ましく、また必要とする。
上に「ケイデンス計算器」を示す。 自転車用語のケイデンスはペダルの毎分回転数であるが、一般用語としてのケイデンスは、調子、リズム、速さ、という意味。
参考資料
「
ペダル回転数の意味
」
ダウンチューブ (down tube)
フレーム
の
下管
のこと。下パイプ(JIS用語)とも言う。
頭管
下部と
ボトムブラケットシェル
を連結して、フレームの
前三角
を形作っている。
キャスター角 (caster angle)
操縦管
(ステアリングコラム)が水平となす角度。フレームの
頭管
が水平と作る角度である
ヘッド角
と等しい。67~76度。
立パイプ (seat pipe、seat tube)
立管
を表すJIS用語。
ボトムブラケットシェル
から立ち上がっているパイプで、
サドル支柱
が入る。 立管の上部は
上管
および
シートステイ
と連結されており、フレームの
前三角
および
後三角
の共通の構成要素となっている。シートパイプまたはシートチューブとも言う。
ショックアブソーバー (shock absober)
緩衝器
のこと。
トライアスロン (triathlon)
概要
マススタート
の三種競技。
遠泳(スイミング)、自転車ロード競技(サイクリング)およびマラソンの3種(トライ)を連続して争う競技。
遠泳は海、湖または川で行われる。
トライスーツ
などを着用する。競技者は
トライアスリート
と呼ばれる。
歴史
1972年にカリフォルニアで始まり、2000年のシドニー大会(上
写真)からオリンピックに採用された。
自転車
表1 トライアスロンの距離 [km]
種別
遠泳
自転車ロード競技
マラソン
合計距離
スプリント
0.75 (2.9%)
20 (77.7%)
5 (19.4%)
25.75
オリンピック
1.5 (2.9%)
40 (77.7%)
10 (19.4%)
51.5
アイアンマン
3.9 (1.7%)
180 (79.6%)
42.2 (18.7%)
226.1
トライアスロンバイク
が使われる。速度は35~40km/h。
距離
3種の距離を表1に示す。合計距離欄は3種の合計距離を記してある。%は合計距離に対する割合。スプリントの距離は主催者によって異なる。
オリンピックの距離は、既にあったオリンピックの各種目の距離から取られている。
資料
国際トライアスロン連盟(ITU)
、
日本トライアスロン連合
、
石垣島トライアスロン大会
、
佐渡国際トライアスロン
、
バイクアンドトライアスロンショー
、
耐フェード性 (fade resistance)
フェード
しにくい性質。
レバーブラケット (lever bracket)
レバーの支え。ブレーキレバーの支え。握りやすくするために、ゴム製等のフードをかぶっている。
上パイプ (top pipe、top tube)
上管
に対するJIS用語。
フレーム
の最上部にあり、
頭管
(ヘッドチューブ)と
立管
(立パイプまたはシートチューブ)を、その上部で連結しているパイプ(管)。 トップチューブとも言う。水平上管(左図)および傾斜上管(右図)がある。
上管長
は
乗車姿勢
に影響する。
傾斜上管
は股すき間を大きく取る必要のある
マウンテンバイク
のフレームとして考案されたもの。マウンテンバイクの要素を取り入れた
クロスバイク
も傾斜上管が多い。 傾斜上管にすると立管が短くなるため
サドル支柱
を長くする必要があり、自転車としての剛性が低下するのでロード競技車のフレームには向かない。
シートステイ (seat stay)
フレーム
において、
立管
(シートチューブ)上部と
チェーンステイ
後端の
つめ
(後輪の軸が付く部分)を結合する左右一対の管。
ステイは支え、支柱の意味。
シートステイ上部には左右の管を連結する
シートステイブリッジ
及び後輪ブレーキの座が付いている。
シートステイはフレームの
後三角
を構成している。
シートステイには
座漕ぎ
のときは圧縮荷重が働き、
立ち漕ぎ
のときは引張り荷重が働く。
一般には、真っ直ぐであるが中には曲線状に曲げた
カーブシートステイ
及びS字形に曲げた
Sベンドシートステイ
がある。
アーレンキー (Allen key)
一般には、
六角レンチ
と言う。六角形断面の細い棒をL字形に曲げた工具。
六角穴付ボルト
を締めるのに使う。アーレン(アレン)は米国人であり商標でもあった。
フォークオフセット (fork offset)
フォーク
において、
操縦管
(ステアリングコラム)中心線の延長線と前輪軸心との垂直距離。フォークを略して単にオフセットとも言う。
一般には、フォークを前方へ円弧状に曲げることによって、オフセットを作る。オフセットが大きいと
ハンドル
の動きが早い。レイクとも言う。
レイクは
フォークブレード
が傾いているという意味。
トレイル
に影響する。
参考資料
「
フォーク及びトレイル
」
パニアバッグ (pannier bag)
パニア
と同じ。
エンドキャップ (end cap)
端に付けるふた(キャップ)。何の端に付けるかによって、次のようなエンドキャップがある。
ハンドル
ハンドル
の両端にはめる
バーエンドキャップ
。ハンドル端部の安全、雨水の進入防止および美観のため。
アウター
ハウジング(
アウター
)の端に付ける
アウターキャップ
。端部を保護する。
ロープ
ロープ
の端に付ける
ケーブルキャップ
。鋭いロープ端に対する安全のため及びロープのほつれを防止するために使う。
メーカーは、
BBB
、
Clarks Cycle Systems
、
Jagwire
、など。
保全 (maintenance)
正常な状態を維持するために、点検や整備をすること。
保守及びメンテナンスとも言う。
寿命になった部品は故障してなくとも事前に交換するなどして、故障を防ぐ保全は
予防保全
(
PM
)と言う。
故障してから行う保全は事後保全と言う。
参考資料
「
自転車の点検表
」
コースターブレーキ (coaster brake、coaster brake hub)
後輪
ハブ
の中に、
ブレーキ
と
フリーホイール
の役目をするコースター(滑るという意味)を組み込んだブレーキ。 1,890年代に発明された。
クランク
(
ペダル
)を逆回転すると、ブレーキとなるのが大きな特徴。
子供の握力の小さいので、
子供自転車
に向いている。 筋肉の病気などで握力が大きくない大人にも向いている。
ブレーキレバー
および
ブレーキケーブル
は不要かつ、手でブレーキを操作する必要がないという利点がある。
ハブの中に組み込まれているので雨の影響を受けない。耐熱
グリース
が封入されている。
ハブフランジ
の
スポーク穴
数は36穴など。
ロックナット間距離
は110mmなど。
コースターブレーキハブ及び
コースターハブ
とも言う。3段、7段及び8段などの
内装変速機
と合体したコースターブレーキがある。
メーカーは、
シマノ
、
Sturmey Archer
、など。
内プレート (inner plate)
ディレイラー
前ディレイラー
の部品で、
チェーン
を小スプロケットから大スプロケットへ移動させる(
アップシフト
)眉形の板。
チェーン
チェーン
の
内リンク
を構成している長円形の板。
外プレート (outer plate)
ディレイラー
前ディレイラー
の部品で、
チェーン
を大スプロケットから小スプロケットへ移動させる(
ダウンシフト
)眉形の板。
チェーン
チェーン
の
外リンク
を構成している長円形の板。
行程 (stroke、pedal stroke、travel)
ペダル
ペダル
の最上端(
上死点
)から最下端(
下死点
)までの半回転(
行き行程
)、最下端から最上端までの半回転(
戻り行程
)または1回転(全行程)。
ブレーキ
ブレーキレバー
やブレーキ
キャリパー
の動きの始点から終点までの最大距離またはその動き。
サスペンション
サスペンション
が動く最大距離またはその動き。
トラベル
とも言う。
クランクアーム (crank、crank arm)
アーム
クランク
の腕。クランクは腕なので、冗長語。
ボトムブラケット
に取り付ける。
ペダル
が付く。
Full Speed Ahead 社は、クランクアームの
クランクボルト
を推奨トルクを超えて締め付けると、亀裂が入り破損する可能性があるとして、2011年にリコールした。
スパイダー
極めて稀に、
クランクスプロケット
と
スプロケットボルト
で連結するためにクランクから出ている4本または5本の腕(
スパイダー
)を、クランクアームと呼ぶことがある。
サンツアー (Suntour)
今は無き、世界的に名の知られた日本の自転車部品メーカー(前田工業、大阪府堺市、1912年設立)。
傾き平行四辺形
を持った
後ディレイラー
は高性能なディレイラーとの世界的な評価があった。
インデックスシフト
の投入はシマノに2年遅れた。
シマノ
との開発競争およぴ販売競争(マーケティング)に勝てず1995年に倒産した。 有名であったサンツアー(Suntour)という名称等は台湾のメーカー(SR社)が買い取り、
SR Suntour
として名称は残っている。
ねじ無しヘッドセット (threadless headset)
概要
フレーム
の
頭管
(ヘッドチューブ)の上下に付ける、
フォーク
の
操縦管
の
玉軸受
は
ヘッドセット
またはヘッド小物と呼ばれる。この軸受によって、ハンドルを軽く回すことができる。
上軸受と下軸受の間に
ハンドルステム
を入れる。
伝統的なヘッドセット(
ねじ付きヘッドセット
)は、操縦管にねじを切って取り付けるが、ねじ無しで取付けるヘッドセット(ヘッド小物)は、ねじ無しヘッドセットと言う。
操縦管にねじを切る必要がないので、フォークは安く作ることができる。
ダイヤコンペ
の商品名であった
アヘッドセット
に対応する一般名。
固定方法
頭管の上下に固定する方法として、(1)
スターファングルナッ
(スターナット)を使う、(2)
コンプレッションプラグ
を使う及び(3)
圧入
(プレスフィット)する、の3種類がある。