概要
カンティブレーキよりブレーキアーム(キャリパー)のてアーム比を大きくし、かつロープ(ケーブル)でアームを引く方向をアームと直角にして力の伝達効率を高め、ブレーキの効きを良くしたブレーキ。
1996年にシマノが最初に市販した。V字に見えることから名づけられた。
それまではカンチブレーキが使われていた。
丘下り(ダウンヒル)において効きの良いブレーキを必要としたマウンテンバイク用に作られた。
構造
左右のアーム(キャリパー)は、その下部にそれぞれ独立の支点(取付ボルト)を持つ。
フォークおよびシートステイに付けたブレーキボスに取付ボルトで固定する。
キャリパー内部の取付ボルト外部には、ねじりコイルばねが入っており、パッドがリムから離れる方向のばね力が働いている。片方のキャリパーにアウターの端をロープ固定ボルトで固定し、そこから出たロープが他方のキャリパーを引く。
ロープの向きを水平から上へ向けるためにヌードル(インナーリードユニット)と呼ばれる管が左上に付いている。
ブレーキパッドをリムに平行移動させる平行四辺形のリンク機構の付いた形もある。
寸法
アーム長さ(芯間)は100mmそして支点・シュー間距離は25±5mm、従ってアーム比は4。
ブレーキ固定用のポスト間の距離は80mmが標準的な芯間距離。
調整
ロープを固定するロープ固定ボルトによって、左右のパッドすき間の合計を2mmに設定する。左右のパッドすき間調整ねじ(芯出しねじ)によって、左右のパッドすき間をそれぞれ1mmに調整する。
左右のパッド上下ボルトによって、パッド端位置をタイヤ側のリム端から1mmの位置に調整する。そのためリムの左右の振れは±0.2mm以下であることが望ましい。
パッド
パッド(ブレーキパッド)は薄くすることによって、弾性を小さくして利きを良くし、かつ弾性によるブレーキ鳴きを少なくしている。パッドは交換できる。
パッドが磨耗してくると、パッドはリムのスポーク側へ移動してくるので、パッドとタイヤ側のリム端との距離は大きくなる。
パッドの開放
チューブ交換などでタイヤを外すときは、手でキャリパー(アーム)を内側に押した状態でヌードルを持上げてホルダーから外す(又はホルダーを下げてヌードルを開放する)とパッド間隔が広くなる。
アーム比の変更
アーム比を変えることにより、一般のブレーキレバーでVブレーキを操作できるようにする部品として、トラベルエージェントがある。
メーカー
シマノ 、Hostettler(ixs) 、Miranda & Irmao 、など。
参考資料
「ブレーキ」