(1) 概要
主に競技用の丸タイヤのこと。チューブラーはチューブ状という意味。
ロードレーサーなどのロード系の自転車、トラックレーサーおよびサイクロクロスバイクなどに使われる。
ツール・ド・フランスのプロの競技車の多くはチューブラータイヤを使っている。
(2) 構造
タイヤの骨組みであるケーシング(コード)にチューブを包み込んで、チューブ状に縫い合わせる。
縫い合わせ面はベーステープを接着して保護している。ケーシングは繊維数60~220TPIの繊維層(コード)を接着して2~4層の多層としている。
耐パンクベルト(パンク保護ベルト)の付いたものもある。
(3) 特徴
WOタイヤ(クリンチャータイヤ)に対する、チューブラータイヤの利点は:
- タイヤおよびリムが軽い。リムテープがいらない。そのため前後輪合わせて500gほど軽い。
- 回転部が軽いので加速性が良い。
- タイヤ圧力を高圧(1,000~1,400kPa)にできるので、ころがり抵抗が小さい。
- 断面形状が円形をしているので、振動吸収性がよい。
- パンクした場合の安定性および安全性が大きい。
- 緊急の場合は、パンクした状態でなんとか走れる。
- パンク(スネークバイト)は起こしにくい。
欠点は:
- 取付けは接着が必要なこと。従って、すぐには走れない。
- パンク修理が難しい。パンク修理は、パンク箇所の縫い目を外してチューブを部分的に出し、修理後に縫い合わせる。
ただし、新品のタイヤと交換することも行われる。 - 高価である。
(4) 材質
ケーシングの材質はナイロン、ポリエステル、木綿または絹などの繊維。チューブの材質は、ブチルゴム、ウレタンゴムまたは天然ゴムである。
(5)質量
呼び27インチおよび28インチのタイヤ質量を右のグラフに示す。27インチは赤点そして28インチは黒点となっている。
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メーカー P: パナソニック A: A.Dugast C: Continental T: TUFO V: Vittoria |
(6) 寸法
丸タイヤの呼び寸法を右表に示す。呼び寸法は、タイヤ呼び径[inch] x タイヤ幅[mm]となっている。
(7) 取付方法
新しいチューブラータイヤのリムへの接着は、チューブラータイヤ専用の接着剤(リムセメント)を使う。
一般の接着剤は、ベーステープの接着剤を溶かす可能性があるので使わない。
接着剤を均一に広げるブラシとしては、軟らかい歯ブラシまたは幅広の絵の具筆などを使う。
(1) 接着剤塗布後にリムに取付けやすいように、タイヤを伸ばしておく。伸ばし方としては、次のような3方法が知られている。
(a) タイヤをリムに取付けて所定空気圧まで空気を入れて、24時間以上放置する。
(b) 片足でタイヤの内側を踏み、他端を両手で引っ張る。
(c) 背中で斜めになるようタイヤを肩に掛け、片方のひざをタイヤに入れて押す。
(2) リムの接着面をシンナーまたはアルコールなどの溶剤で清掃する。ただし、炭素繊維強化樹脂(CFRP)リムに溶剤を使ってはいけない。
サンドペーパーなどで表面をざらつかせても、接着力が大きくなることはない。
(3) ベーステープが外を向く程度に、タイヤに空気を入れる。ベーステープに接着剤を付け、歯ブラシなどで均一に広げる。24時間以上放置する。
接着剤がケーシングまで出たときは、そのままにしておく。溶剤で拭き取ってはいけない。
(4) リムの接着面の全幅において、接着剤をブラシで広げて接着剤の薄い第1層を作る。24時間以上放置する。
(5) リムの接着面の全幅において、接着剤をブラシで広げて接着剤の薄い第2層を作る。12時間以上放置する。
(6) リムの接着面の全幅において、接着剤をブラシで広げて接着剤の薄い第3層を作る。接着剤がべとつくようになれば、リムに取付ける。
(7) バルブ穴が上になるように、リムを立てる。タイヤのバルブをバルブ穴に入れる。バルブから約20cm離れたタイヤの両側を両手で持って両側下に強く引き、この間のタイヤをリムに付ける。
手を約5cmずつ移動させて、この動作を繰り返す。最終段階においては、親指でタイヤ内面を押してリムに入れる。
(8) 膨らむ程度に空気を入れて、タイヤが全周に渡ってリムの中心にあることを確認する。必要なら修正する。
(9) 所定の空気圧になるまで空気を入れる。
(8) メーカー
パナソニック ポリテクノロジー 、A.Dugast 、Challenge 、Continental 、DedaTre 、FMB 、Ritchey Design 、TUFO 、Veloflex 、Vittoria など。