概要
路面との摩擦力を得るため、また路面の衝撃を吸収するために、車輪(リム)の外周に付けるゴム製の輪。空気を入れるチューブを含めてタイヤと言うことが多い。
構造
タイヤの本体(骨格)はコードと言い繊維層で出来ている。タイヤの受ける荷重、衝撃およびタイヤ圧力に耐える役割を持っている。
コードの層(プライ)数は2~5層であるが3層が多い。繊維の材質としてはナイロンが多いがポリエステルおよびケブラー(アラミド)も使われる。チューブラータイヤ(丸タイヤ)には木綿および絹(シルクタイヤ)も使われる。
ケブラーおよび木綿は耐パンク性が良好。木綿は転がり抵抗が比較的小さい。ケプラーは損失が大きいため転がり抵抗が大きくなる。繊維の本数は30~220 TPI 。
本数が多いほど強度および耐パンク性が向上する他、ゴムを薄く出来るので軽くなると同時に柔軟性が出る。柔軟性があると、転がり変形によるエネルギー損失が少ないので、転がり抵抗が小さくなる。
軽いタイヤはゴムの厚みが薄いので磨耗によるタイヤ寿命は短い。繊維を構成する糸の太さは120 デニール前後が多い。
工場
右写真は、Schwalbe社のインドネシア工場。タイヤメーカーはチューブも作っていることが多い。
種類
クリンチャータイヤ(WOタイヤ)、チューブラータイヤ、
チューブレスタイヤおよびエアレスタイヤがある。
用途から分けると、ロード車用およびマウンテンバイク用がある。
自動車のライトで光る反射タイヤ がある。
性能
タイヤの性能としては、転がり抵抗、路面のグリップ性、耐環境性(酸素、光、オゾンおよび温度など)、耐摩耗性および横剛性などがある。
タイヤが路面と接する外周部はトレッド(踏面)と言い、側壁よりも厚く、彫刻模様が付いているものが多い。
全く模様のないスリックタイヤは転がり抵抗が小さい。乗車時に、実際に路面と接する面積は、ロード形のタイヤで5cm2前後。
デュアルコンパウンド
トレッドを二種類(デュアル)の材質で構成した次のようなタイヤがある。
(左右軟) タイヤのトレッドにおいて、直線走行時に使われる中心部は硬くして耐摩耗性を持たせ、そして曲がり時に使われる肩部は軟らかくして滑りにくくした構成。
(上部軟) タイヤのトレッドにおいて、
下部構造を硬いゴムとして突起の補強骨格とし且つ耐パンク性を持たせ、そして表層部は軟らかくしてグリップを良くした構成。
色
カーボンブラックの添加で黒いタイヤが大部分であるが、着色したカラータイヤもある。
安全対策として、夜間に自動車の前照灯などの光によって、側面が環状に光る反射タイヤがある。
質量
各社のタイヤ質量を打点したグラフを右に示す。赤点はロード車用700Cそして黒点はマウンテンバイク用26インチ。
タイヤ幅が大きいほど質量は大きくなっている。
タイヤ幅が小さいと軽いので、軽く走れる傾向となる。加速性もよい。乗り心地はよくない。
寿命
トレッド(踏面)のゴムの厚みを薄くして軽くしたタイヤは磨耗によるタイヤ寿命は短い。
パンク対策
耐パンク性を向上させるために、パンク保護ベルトを入れたタイヤがある。
ベルト
廃タイヤで作ったタイヤベルトがある。
リコール
Schwalbe社は、2009年に販売したUltremo Rタイヤのコード層が剥離する可能性があるとしてリコールした。
メーカー
パナソニック ポリテクノロジー(パナレーサー) 、井上ゴム工業(IRC) 、共和 、大和紡績 、A.dugast 、Ambrosio SpA 、Apollo Vredestein 、Arrow Racing 、Avocet 、
BBB Bike Parts 、Bontrager 、Challenge 、Cheng Shin Rubber 、Clement 、Continental 、DedaTre 、Duro Tire & Wheel 、Forza 、Fyxation 、Geax 、Greentyre 、Hutchinson 、
Innova Rubber 、Intense Tire Systems 、Kenda 、Maxxis 、Michelin 、Rubena 、Schwalbe 、Serfas 、Specialized 、Syncros 、Tioga 、 Tufo 、Vee Rubber 、Veloflex 、Vittoria 、Vredestein 、WTB など。
参考資料 「自転車タイヤ」