目的
炭素税は、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素(CO2)の排出量を減らすことを目的として、化石燃料および化石燃料を含有する燃料(化石燃料等)
の使用者に
その使用量および化石炭素含有率に応じて課す税金(目的税)。
化石燃料
化石燃料としては、揮発油(ガソリン)、軽油、灯油、重油、ジェット燃料、都市ガス、液化プロパンガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)および石炭がある。
化石燃料等としては、ガソリンにバイオエタノールなどのバイオ燃料を混合したバイオガソリンなどがある。バイオ燃料の割合が多いほど、税金は安くなる。
純粋なバイオ燃料は、課税対象にはならない。
使用者
使用者としては、電力会社(発電所を含む)、一般の会社(工場および運輸会社を含む)、交通機関(航空会社を含む)、政府、自治体、公共施設、商店、事務所、農家及び
個人等がある。
課税時期
炭素税は、化石燃料等の製造施設および保税施設を出庫するときに課し(蔵出し課税)、使用者は購入時に炭素税が付加された料金を支払うことによって負担する。
課税効果
課税により次の効果がある。課税額が大きいほど効果が大きい。
(1) (補助) 税収を個人などの太陽光発電および風力発電などの自然エネルギー設備設置の補助金として使い、家庭(発電所)などから排出している二酸化炭素を減らす。
(2) (開発) 二酸化炭素排出量の少ない省エネルギーの乗り物(自動車、電車、船舶および航空機など)および省エネルギー設備
(冷蔵庫、空調機およびテレビなどの家電製品を含む)の開発誘引とする。
(3) (誘導) 炭素税を付加するとにより化石燃料の価格を上げて、二酸化炭素排出量の少ない設備および交通手段へ誘導する。発電方式を二酸化炭素を排出する火力発電から、太陽光発電、風力発電、地熱発電および原子力発電などへ変換する。
自動車より一人当たりの二酸化炭素排出量の少ない公共交通機関または自転車へ誘導する。
(4) (抑制) 炭素税を付加するとにより化石燃料の価格を上げて、消費を抑制して二酸化炭素の排出量を減らす。
10年間程度の長期で見ると、(補助)、(開発)および(誘導)の効果が大きく、(抑制)の効果は小さい。(補助)のない税金は、普通税(一般税)となり炭素税と呼べない。
環境税
炭素税は専ら二酸化炭素の排出削減を目的としているのに対し、環境税は全ての環境負荷物質の削減を目的としている。具体的には、自動車の排気ガス及び
自治体などの焼却場から排出される有害物質(環境ホルモンなど)
による大気汚染対策並びに河川及び湖沼の水質保全対策など。環境税は課税対象を決めるのが難しい。