定義
2組の対辺が互いに平行な四辺形は平行四辺形と言う。角(かど)の角度をどのような角度にしても、対辺は常に平行であるという特徴がある。なお、電車のパンタグラフは、下に押し下げると対辺が平行でなくなるので、平行四辺形とは言えない。
応用
カンパニョーロはこの原理を平行四辺形のリンク機構にして、ディレイラーに応用した。
1949年に後ディレイラーのプーリの平行移動に、そして1960年に前ディレイラーの前ディレイラーケージの平行移動に応用し、現在も各社で使われている(割り箸と画鋲で平行四辺形リンク機構の模型を作ると、その動きが分かる)。
後ディレイラー
右上写真の後ディレイラーの場合は、軸(ピボット)A、B、CおよびDを結ぶ直線が平行四辺形となっている。
軸CおよびDの位置はフレームに対しては固定側となっており動かない。
軸AおよびBは、軸CおよびDを支点としてスプロケットに平行移動する。平行四辺形に強度をもたせるため、箱のように厚みのある構造(ワイドリンク)となっている。
平行四辺形の対角線上の軸BとDを結んでコイルばねが付いており、ロープ(ケーブル)の引っ張り力に対抗して平行四辺形の形状を保持している
(言い換えれば、プーリの左右方向の位置を決めている)。軸A~Dに注油することが望ましい。
具体的には、リンクBC部より内側に出た突起にはロープの一端が固定されており、ロープを引くとリンクABに付いたケージおよびプーリは大スプロケットの方へ平行移動する。
ロープを緩めると、ねじりコイルばねの力でプーリは小スプロケットの方へ平行移動する。
Vブレーキ
Vブレーキの上位機種は平行四辺形のリンク機構を使って、ブレーキシューがリムに対して平行に動くようにしている(パラレルリンク)。
サスペンション
サスペンションステムおよびサスペンションサドル支柱の中には平行四辺形機構を使ったものがある。