概要
ハンドルの両端が、前に出て(リーチ)下に下がった(ドロップ)ハンドル。
ハンドルを握る位置によって、乗車姿勢を変えられる。平ハンドルと違って握る位置が一定していないので、人によっては長距離での手のしびれが少ない。
用途
速度を重視しているロードバイクおよび長距離走行に使われるランドナーなどに用いられる。
その他、サイクロクロスバイク 、トラックレーサー及び競輪自転車にも使われている。
ドロップハンドル を付けたマウンテンバイクがある。
形状、構造
ドロップの形状には、伝統的な円弧状および直線部(アナトミック曲がり)のあるアナトミックハンドル(エルゴノミックハンドル)がある。
伝統的なドロップハンドルには無いが、アウターを埋めるためのみぞ(ケーブルグループ)を設けたハンドルがある。
空力形状のものもある。右図の一例は、水平部及び曲がり部を薄くして空気抵抗を減らそうとしている。突出し握り部前方を盛り上げて手の空気抵抗を減らそうとしている。
ハンドルとハンドルステムを一体にした統合ハンドルがある。
握る位置
ハンドルを握る位置は次の5箇所があり、順に前傾が大きくなって上半身が水平に近づき空気抵抗が少なくなると同時にペダルに大きな力を加えられるようになる。
握る位置を時々変えることによって、手の疲労を軽減することができる。握る位置によって乗車姿勢 が変る。
(A) 横水平部(登坂に向いている)。
(B) 前方に出ている部分。
(C) フード (標準の乗車姿勢となる。この姿勢で楽なよう、上管長およびステム突出しなどを決める)。
(D) 下がりの高い位置(ブレーキレバー操作はできる。C位置よりも大きな力が加えられる)。
(E) 下がりの低い位置。
直径
ハンドル一般部の直径は23.8mm(JISおよびISO)が多い。
大きな力の働くハンドル中央部(クランプ部)の直径は、一般部よりやや大きく25.4mm(JISおよびISO)、26.0mm(イタリアン)及び31.8mm(オーバーサイズ)がある。
中には35mmと太くし、肉厚を薄くすることにより軽量化した形がある。
リーチ
市販品のリーチの平均は約85mmである。ドロップが長いとリーチも長い傾向が見られる。
ドロップ
ドロップ(下がり距離)の平均は約145mmである。
ドロップの短いものは浅曲がりハンドル(シャドウドロップ)そしてドロップの長いものは深曲がりハンドル(ディープドロップ)と呼ばれることがある。
浅曲がりは大きな前傾姿勢を必要としないサイクリング車および旅行車などに向いている。深曲がりは大きな前傾姿勢を必要とする競技車に向いている。
質量
ハンドル質量は、ハンドル幅およびクランプ径などによって変わるが、グラフに示すように160~300gとなっている。
平均質量は、CFRP(炭素繊維強化樹脂、俗に言うカーボン)製(黒点)が210gそしてアルミ合金製(赤点)が270gである。CFRP製はアルミ合金製より軽い。
取付角度
水平面に対するハンドルの角度は、次のように、基本的な(A)及び(B)並びにその中間の(C)及び(D)がある。
(A) 突出し(リーチ)部を水平にする。下がった部分は後方下に傾く。
(B) 下がった部分を水平にする。突出し部は前方に20~30°傾く。
(C) (A)と(B)の中間位置。
どちらにするかによって、レバーの付いているフードの角度が20~30°変わるので自分に合う方にする。
例えば、腕を下に自然にだらりとしたときの腕と手の関係は自然な関係であり、このときは腕の中心線と中指の中心線はほぼ一致している。
フードを握ったとき、腕の中心線と中指が一致するハンドル角度が望ましい(右図)。下がり部を握るときは、腕の中心線と中指が一致する位置を握るとよい(右図)。
(D) アナトミックハンドルは、アナトミック部を握ったときに手と腕が自然となるような角度とする。次にフードの握りおよびレバー操作が自然となるようにレバー位置を決める。
ハンドル幅
メーカーによって、ハンドルの外幅(O-O)又は左右のドロップ部の管の芯間距離(C-C)をハンドル幅と呼んでいる(右図)。
UCIは(ドロップハンドルの付いた競技用の)自転車の幅は500mm以下と規定しているので、ハンドル外幅も500mm以下でなければならない。外幅は芯間距離に管の外径を加えると出る。
市販品のハンドル幅は360~480mmとなっている。
ハンドル幅と操縦性
ハンドル幅は肩幅に見合ったものとする。ハンドル幅が肩幅より狭いと空気抵抗はより減少するが、 操縦の安定性が悪くなる他、呼吸が幾分困難となる。
空気抵抗と操縦性の妥協点が肩幅のハンドル幅となる。
旅行車で前にも荷物を付ける場合は、ハンドル幅は肩幅より大きい方が運転しやすい。
ハンドル幅が広すぎると、長距離走行で肩や背中上部に痛みを感じることがある。
女性は男性より肩幅が狭いので、肩幅に合わせると操縦の安定性が悪くなる。
材質
材質は、機械構造用炭素鋼、クロムモリブデン鋼、アルミ合金、炭素繊維強化樹脂(CFRP)および
スカンジウムアルミ合金 などの管。
アルミ合金製に ショットピーニング を施したものもある。
金メッキをしたものがある(左図)。木製もある(右図)。木製は主に木製自転車に使われる。
バーテープ
手の滑り防止等のために、ハンドルに ハンドルテープ を巻いてある。ハンドル端にはエンドプラグが付く。
体の傾き(参考)
上半身を前方に傾けるとペダルに大きな力を加えることができることは、次のようにすると分かる。片足で床に立ち、その足に瞬間的に大きな力を加える。
上半身を傾けたうずくまったような姿勢で足(ペダル)に大きな力が加えられることが分かる。
リコール
(1) Performance社は2004年に販売したForteFlyte OS型カーボンハンドルのケーブルみぞ端において亀裂が入ることがあるとしてリコールした。
(2) Shimano American Corporationは、2011~2012年に販売したPro Vibeカーボンハンドルが破損することがあるとしてリコールした。
メーカー
グラファイトデザイン 、日東、3T Design、4za 、Advanced Bike Research 、Aerozine 、Aerus Composites、Ambrosio 、AX-Lightness 、BBB Bike Parts 、
Blackwell Research 、Bontrager Wheelworks & Components 、CarbonSports 、Cinelli 、Control Tech 、Culprit Bicycles 、Deda Elementi 、Dimension 、Easton Sports 、
Enve Composites 、Equinox 、Forza 、FSA 、Giant Bicycle 、Gigantex Composite Technologies 、Grammo Factory Outlet 、Hsin Lung 、ITM Bike Components 、KCNC 、Ken Chang Ind. 、Kore Bicycle Components 、L.H. Thomson 、Look Cycle 、Modolo 、Origin8 、Original Bike Engineering 、Oval Concepts 、Pro 、
Profile Design 、
Pro-Lite 、PZracing 、Race Face Performance Products 、Ratio Bike Design 、Ravx 、Ritchey Design 、Salsa Cycles 、Schmolke Carbon 、Selcof 、Soma fabrications 、SRAM 、Starley Bikes 、Stella Azzurra 、Syntace 、Syntek Carbon Fiber Technology 、Teschner Technologies Group 、Time Ssport 、Token products 、
True Temper Sports 、Tune 、Ultimate Sports Engineering 、VCRC Bike 、 Velocite Tech 、Williams Cycling 、Winwood 、Xpace Industrial 、Zipp Speed Weaponry 、など。