概要
シマノの電子制御シフトシステム。機械式のロープ(ケーブル)は使わない。
電気式SISシフター、電気式前ディレイラー、電気式後ディレイラー、蓄電池 、配線及び充電器で構成されている。
取付位置は機械式と同じ。防水、耐振及び耐寒となっている。
グループ
2008年にデュラエース(Dura Ace)として市販された。その後、2011年にアルテグラ(Ultegra)用が追加された。
特徴
機械式のケーブル(ロープ)及びアウターによって生じる問題がない。シフトが約30%早く、かつ正確。用途は主に競技用。高価。
シフター
シフトはボタン(固体スイッチ)操作で行い、その位置は機械式のSTIに対応している。
操作に力はいらない。機械式のように大きく動かず、動きは約2mm。パソコンのマウスをクリックする感じ。
ブレーキレバーのエンボスの付いたボタンを押すとチェーンは大スプロケットへ動き、レバーから後方へ出っ張ったボタンを押すと小スプロケットへ動く。
フードに機械式シフターの部品を入れる必要がないので、形状は人間工学設計ができる。質量は255g。フライトデッキコンピューターと接続できる。
タイムトライアルバイク及びトライアスロンバイクに使うブレーキレバー/シフター及びバーエンドシフターもある。
上下一対のボタンの内、一方はダウンシフト用そして他方はアップシフト用。
サテライトシフター
スプリンターがドロップハンドルのドロップ部を握った状態で後ディレイラーをシフトさせるシフトボタン(右図の赤矢印)。
右手側のシフターでダウンシフトそして左手側のシフターでアップシフトを行う。
前ディレイラー
CPUを搭載している。プログラムされた自動作動となっている。サーボモーターで動く。
ケージはチェーンをこすらないよう、後ディレイラー位置に対応して動く。
後ディレイラーはチェーンの弛み側でチェーンを移動させるのに対し、前ディレイラーはチェーンの張り側でチェーンを移動させるので、後ろディレイラーよりはるかに動力の大きいサーボモーターが付いている。
ケージの移動を制限するL(ロー)制限ねじ及びH(トップ)制限ねじが付いている。最大スプロケット歯数は、50~56T。最大キャパシティは16T。
質量は124g。チェーンラインは43.5mm。
後ディレイラー
プログラムされた自動作動となっている。サーボモーターで動く。案内プーリの移動を制限するL(ロー)制限ねじ及びH(トップ)制限ねじが付いている。
対応するスプロケット歯数は、最大が27Tそして最小が11T。トータルキャパシティは32T。質量は225g。
バッテリー
7.4Vリチウムイオンバッテリー。バッテリー受けのブラケットは、下管(ダウンチューブ)のボトルケージの座(ボス )に付ける。
ケージが付いている場合は、ケージで挟んで付ける。質量は68g。充電器が付属している。
公称使用可能距離は1000km。充電時間は90分。
サドル支柱(シートポスト)に入れるバッテリーもある。
Calfee Design社は、フレームの立管(シートチューブ)に入るDi2用のバッテリーを作っている(右端図)。
立管より取り出したバッテリーに付属の充電器(右端図)のプラグを接続して充電する。
コントローラーをハンドルステムの下部からハンドルステムに内蔵できるようにした自転車メーカーがある(左から3番目の図)。
配線(ワイヤーハーネス)
シフター用及びディレイラー用で一組となる。シフター用は左右のシフターと接続する。
ディレイラー用の短い配線は前デイレイラーと接続し、中間の長さの配線は後ディレイラーと接続し、そして長い配線はシフター用のコネクターと接続する。
連結箱(ジャンクションボックス)はボトムブラケットシェルの下のロープ案内を外して付ける。
バッテリー受けとも配線されている。シフター用の配線長さは、フレームの大きさに応じて、S、M及びLの3種類がある。
内部配線
Di2のフレーム内配線(インターナルケーブルルーティング)ができるように、配線穴(右図赤矢印)を設けたフレームがある。
名称の由来
Digital の後に Integrated と Intelligence の2つの I (i2)が続いているので Di2 と呼んでいる。
Di2を採用している自転車メーカー
Cicli Pinarello 、Felt Racing 、Specialized Bicycle Components 、など。