概要
後輪スプロケット群(カセットスプロケット)およびクランクスプロケット群のレシオを調べることにより、変速による速度変化などの特性を知ることができる。
レシオ
定義
後輪スプロケット群(カセットスプロケット)およびクランクスプロケット群において、隣り合うスプロケット間の歯数比をレシオと呼ぶ。
分類
レシオはクロウスレシオ、中間レシオおよびワイドレシオに大別できる。
クロウスレシオ
隣接するスプロケット間の歯数比が接近していること。クロウスレシオは細かな速度変更ができるので、負荷(風や緩やかな坂)に対応して自分に適したケイデンスを維持しやすい。競技者は、与えられた競技路において、自分に合った最適のケイデンスで走ることができる。
一般にはロード車の後輪スプロケット(カセットスプロケット)はクロウスレシオとなっている。クロスレシオ(交差レシオ)と呼ばれることもあるが、そのようなレシオは存在しない。クロス(交差する)ではなく、クロウス(接近した)の意味。
ワイドレシオ
隣接するスプロケット間の歯数比の幅が広いこと。細かい速度変更はできないが、スプロケット数が同じならワイドレンジとなる。一般にオフロードの丘などを走るマウンテンバイク及び荷物を積む旅行車はワイドレシオとなっている。
中間レシオ
クロウスレシオとワイドレシオの中間が中間レシオとなる。
数値例
後輪スプロケットに関し、クロウスレシオとワイドレシオの具体的な数値例としては、隣のスプロケットとの歯数比が6%(歯数比1.06)に近ければクロウスレシオで、 18%(歯数比1.18)に近ければワイドレシオ。そのほぼ中間の12%(歯数比1.12)付近は中間レシオ。定規の目盛りで示すと次のようになる。
+----------+----------+ | ||
6% | 12% | 18% |
クロウスレシオ | 中間レシオ | ワイドレシオ |
後輪隣接スプロケット歯数比 |
+----------+----------+ | ||
26% | 37% | 48% |
クロウスレシオ | 中間レシオ | ワイドレシオ |
クランク隣接スプロケット歯数比 |
例えば、後輪スプロケットの12Tの隣が13Tなら13T/12T=1.08(歯数比が8%開いている)だからクロウスレシオ。11Tの隣が12Tなら12T/11T=1.10(歯数比が10%開いている)だから中間レシオ。12Tの隣が14Tなら14T/12T=1.18(歯数比が18%開いている)だからワイドレシオ(広いレシオ)。
(注) スプロケットを交換する場合は、ディレイラーのキャパシティの検討が必要。
速度変化
ケイデンスが同じ場合は、レシオは変速したときの速度変化率に等しい。従って、クロウスレシオは変速による速度変化率が相対的に小さく、ワイドレシオは変速による速度変化率が相対的に大きい。
例えばあるスプロケット間のレシオが8.3%の場合は変速すると速度が同じ8.3%変化する。人にもよるが、速度が10%以上変化すると速度変化が大きいと感じるようである。
レシオ計算器
次のレシオ計算器で後輪スプロケット(カセットスプロケット)のレシオが一度に計算できます。その結果、クロウスレシオとワイドレシオの間のどの位置にあるか分かる。
スプロケット群の歯数を少ないものから順に半角数字で入れて[計算]を押して下さい(無い段は空白のままとする)。レシオが出ます。
(表が見切れる場合は横にスクロールできます)
- 計算例 1
- ロードバイクに使う後輪9段スプロケット歯数が、12T _ 13T _ 14T _ 15T _ 16T _ 17T _ 19T _ 21T _ 23T の場合のレシオを計算する。
計算結果は下図に示す。
上図によると、レシオは、8.3% _ 7.7% _ 7.1% _ 6.7% _ 6.3% _ 11.8% _ 10.5% _ 9.5%である。
クロウスレシオと中間レシオが混在している。レシオの平均値は8.5%で、平均的にはクロウスレシオに近い。計算結果はグラフにして下図に示す。縦軸はレシオ[%]そして横軸は段を示している。例えば、1~2段間のレシオは赤色の横棒で8.3%を示している。
- 計算例 2
- マウンテンバイクに使う後輪9段スプロケット歯数が、12T _ 14T _ 16T _ 18T _ 20T _ 23T _ 26T _ 30T _ 34T の場合のレシオを計算する。
計算結果は下図に示す。
上図によるとレシオは、16.7% _ 14.3% _ 12.5% _11.1% _ 15% _ 13% _ 15.4% _ 13.3%である。
ワイドレシオと中間レシオが混在している。レシオの平均値は13.9%で、平均的には中間レシオに近いワイドレシオとなっている。速度変化として見ると、ケイデンスが同じ場合は例えば1段と2段の間では速度が16.7%変化する。計算結果はグラフにして下図に示す。
- 計算例 3
- ロードバイクに使う後輪11段スプロケット歯数が、12T _ 13T _ 14T _ 15T _ 16T _ 17T _ 18T _ 19T _ 21T _ 23T _ 25T の場合のレシオを計算する。
計算結果は下図に示す。
上図によるとレシオは、8.3% _ 7.7% _ 7.1% _ 6.7% _ 6.3% _ 5.9% _ 5.6% _ 10.5% _ 9.5% _ 8.7%である。
クロウスレシオと中間レシオが混在している。レシオの平均値は7.6%で、平均的にはクロウスレシオに近い。
- 計算例 4
- アルフィーネ11段のハブギアのレシオを計算する。ハブギアの場合は、歯数の代わりにギア比を入れると、レシオが計算できる。
計算結果は下図に示す。入力画面では、ギア比の1桁目が隠れているが計算は出来る。
上図によるとレシオは、最初が29.2%と大変大きいがそれ以外は13~14%となっている。
- 計算例 5
- クランクスプロケットの歯数が、24T _ 34T _ 46Tの場合のレシオ。レシオは、41.7% _ 35.3%であり、レシオの平均値は38.5%となっている。
- 計算例 6
- マウンテンバイクの11 _ 36Tカセットにおいて、17Tを外して42Tを追加した場合。
レシオは、9.1 _ 8.3 _ 7.7 _ 7.1 _ 6.7 _ 18.8 _ 10.5 _ 9.5 _ 13.0 _ 61.5%、そして、平均は15.2%のワイドレシオとなる。