乗車スタイル
乗車姿勢の要因
身体の胴角度および肩角度
乗車姿勢 計算器
簡易点検法
乗車スタイル
乗車スタイルは、乗車の種類または目的のこと。例えば、街乗り、通勤、旅行、ロード競技、トラック競技、オフロード走行、丘下り(ダウンヒル)、フリーライド、クロスカントリーおよび曲乗りなど。
乗車姿勢の要因
身体と自転車の接点は、ハンドル、サドルおよびペダルであり、この3点の相対位置によって乗車姿勢がほぼ決まる。乗車姿勢は走行速度、快適さ、操縦性および持久性などに影響する。これらの中には互いに反するものもあり、全てを満足する乗車姿勢はない。乗車姿勢は自転車の種類(ロード車、トライアスロン車など)、構造及び寸法でほとんど決まるが、ドロップハンドルなどの握る位置によっても変わる。
早く走るためには、空気抵抗を減らすために前傾姿勢とし、手足の左右幅は小さくする。ただし、手の幅は肩幅より小さくすると操縦が不安定となる。足幅はクランク外端間距離(「Qファクター」)で決まる。
身体の胴角度および肩角度
胴角度は、乗車姿勢において、胴(具体的には上腕の肩関節と大腿骨の骨盤関節を結ぶ直線)が水平線と作る角度。胴傾き角とも言う。一般に、快適さと走行速度は両立せず、胴角度が小さくなるほど最高速度は増すが快適さは減少し、前方視認性は悪くなる。胴角度が小さいほど空気抵抗が少なく、かつ臀筋(でんきん、お尻の筋肉)も有効に利用できてペダルにより大きな力を加えることができ、速度を上げるのに適している。 肩角度が90°を越えると、肩および背中への負担が大きくなり好ましくない。人によっては痛みを感じることがある。車種および用途に適した胴角度の例を、次に示す。
シティ車、小径車
シティ車の胴傾き角は70°~80°(後退ハンドルのものは80°~90°)が標準的。肩角度は60°~80°となる。
ロード車
ハンドル、肩およびサドルが作る三角形が正三角形に近い、胴角度(胴傾き角)30°~60°前後がロード車の標準的な乗車姿勢。
ロード競技車
ロードの競技車の胴角度は25°~35°であることが多い。肩角度は80°~100°となる。ただし、クライテリアム競技には直立に近い胴角度60°前後が向いている。
マウンテンバイク
オフロードを走るマウンテンバイクは、前方の状況認識および操作性の向上のため、直立に近い姿勢が向いている。
旅行車
景色を見ながらのサイクリングおよび旅行には、シティ車のような直立に近い楽な姿勢が適している。呼吸が楽になる利点もある。胴角度が45°以上あれば、首を不自然に曲げることなく前方を見ることができる。
トライアスロン車
エアロバーを使ったトライアスロン車およびタイムトライアル車における乗車姿勢の胴角度は15°以下が一般的。タイムトライアルで54.7km/hの速度を出したZabriskieの胴角度は7°であった。胴角度がこのように小さくなっても、肩角度は約90°とする。 前腕と上腕の角度は90~110°とする。なお、エアロバーを使った乗車姿勢(空力姿勢)は特殊なので、次の「乗車姿勢 計算器」は使えません。
乗車姿勢 計算器
胴長から握り高さまでを半角数字で入れて、[計算]を押して下さい。胴傾き角が出ます。
- 計算例
- 胴長650mm、腕長620mm、コクピット長540mm、手の突出し50mm、サドル高さ920mmそして握り高さ890mmの場合、水平からの胴傾き角(胴角度)は57度となる。
- 胴長
- 床に座り骨盤および背中を壁に付けて、床から上腕骨上端までの高さを測る。
- 腕長
- 肩関節から手のひらの指関節までの長さ。手で棒を握り、運転状態に肘を曲げて、肩関節から棒芯までの直線距離を測る。上腕と下腕の角度は、振動吸収などのために約120°が適当。
- コクピット長
- ハンドルの中心からサドル中心までの水平距離。
- 手の突出し
- ハンドルから手の握り部までの水平距離。
- サドル高さ
- サドルの路面からの高さ。
- ハンドル高さ
- ハンドル握り部の路面からの高さ。
- 胴角度
- 水平からの胴の傾き角度。
簡易点検法
乗車姿勢を簡単に調べる方法として、乗車して前輪のハブを見る方法がある(右図)。ハンドルの後方にハブが見える場合は、胴角度(水平と胴の角度)が大きいとみなす。ハンドルの前方にハブが見える場合は、胴角度が小さいとみなす。正確さはなく一つの目安であり、人によってはハブがハンドルに隠れる姿勢が最適ということでもない。