平ペダル
結合ペダル
軸のねじ
摂動
トウクリップペダル
ハーフクリップ
ペダルエクステンダー
ペダル反射器
シングルサイドペダル
クイックリリースペダル
トラックペダル
BMXペダル
折りたたみペダル
エッグビーター
軽量ペダル
ペダルストラップ
ペダルの足位置
踏み幅
ロープロファイル
コーナリング傾き角度
ペダルすき間
プラットフォーム幅
強度
動的耐久試験
工具
ペダル速度
足を載せて自転車に人力を伝達する踏み板をペダルと呼ぶ。ペダルおよびクランクが発明されたのは1861年、それまでは足で路面を蹴って走っていた。大きく分けると平ペダルおよび結合ペダルに分かれる。
平ペダル
概要
結合ペダルでない踏面が平らなペダル。
用途
普通の靴またはクリート付きでないマウンテンバイク用及びBMXバイク用の靴(BMX靴)で走りたいときに使う。シティ車及びBMXバイク(BMXペダル)、フリーライド及び丘下り(ダウンヒル)のマウンテンバイクなどに使われる。
特殊仕様
- 踏面に滑り止めのゴム又はピン(グリップピン)などを付けた形もある。
- 折りたたみ式(折りたたみペダル)もある。
- ペダルストラップ を取付ける形もある。
- 反射器の付いた形がある。
- SPDペダルに付けて、片面を平ペダルに変える部品もある。
- 表面にグリップテープを貼った形がある。この平板部品の表面には滑り止めの突起が付いている。SPDペダルのクリート受けに差し込むと、その面が平ペダルとなる。
- 色の好みに合うよう、5色の色を用意した形がある。
- SPDペダルに付けて、片面を平ペダルに変える部品がある。平板の表面には滑り止めの突起が付いており、裏面にはクリートを付ける。SPDペダルのクリート受けに差し込むと、その面が平ペダルとなる。 普通の靴で走りたいときに使う。
- 180°折りたたんだ延長ペダルを出すと、後荷台に乗った人も延長ペダルに足を置いて漕げる形がある(下左図)。右下図は女性が延長ペダルに足を乗せて漕いでいる。
軸受
カートリッジ、ニードル及びブッシュなどがある。
材質
本体材質は、アルミ合金、炭素繊維強化樹脂(俗に言うカーボン)、ナイロン、チタン合金またはマグネシウム合金など。軸の材質はクロモリ鋼またはアルミ合金など。
結合ペダル
概要
結合ペダルはペダルに付けた金具と靴底に付けた留め具(クリートと呼ばれる)を結合するようにしたペダル。クリートを使うペダルは、欧米ではクリップレスペダルと呼ばれている。
歴史
スキーの連結具のメーカーであったフランスのルック社がスキーの連結具を1984年にペダルに応用したのが始まり。間もなく、同じくフランスのタイム社が参入した。その後、1987年にマウンテンバイク用にクリートを靴底に沈めたSPDでシマノが参入した。それまでは、マウンテンバイクにはロードバイクと同じくトウクリップが使われていた。
種類
A: PD-6610、308g、競技
B: PD-R540、330g、競技、入門、銀色と黒色
C: PD-A520、315g、サイクリング、通勤、旅行
D: PD-M324、533g、1面はクリップ、他面は鋼ケージ
E: PD-M424、472g、両面クリップ、樹脂ケージ、ポップアップ
F: PD-M520、315g、両面クリップ、小形軽量、XC入門
G: PD-M540、352g、両面クリップ、小形、XC用
H: PD-M545、567g、両面クリップ、アルミケージ、ポップアップ
I: PD-M647、568g、両面クリップ、樹脂ケージ、ポップアップ
J: PD-M959、350g、軽量、XCなどの競技用
大きく分けると、ロード用およびオフロード用(マウンテンバイク用)に分かれる。ロード用はクリートが靴底から出ているがオフロード用はクリートが地面にあたらないよう靴底に沈んでいる。ロード用およびオフロード用の結合ペダルの比較を表1に示す。
種類 | ロード | オフロード |
---|---|---|
質量 | 小 | |
力伝達効率 | 良 | |
空気抵抗 | 小 | |
着脱性 | 良 | |
ペダル幅 | 小 | やや広い |
ペダル厚さ | 小 | やや厚い |
クリート面 | 片面 | 両面 |
オフロード用を通勤などのロードに使っても差し支えない。クリートが靴底から出た形式はペダルとの結合が容易という利点がある。ポップアップ機構の付いたペダルは、靴のクリートを入れ出しし易いようクリートを固定する部分が起き上がる。シマノの結合ペダルは、SPD(シマノ ペダリング ダイナミックス)ペダルと呼ばれる。靴の方はSPD靴と呼ばれる。
競技およびロード用のSPDはSPD-R(踏面は樹脂製)およびその後継のSPD-SL(踏面はアルミ合金製)がある。シマノの結合ペダルの一例をA~C(ロード用)およびD~J(MTB用)に示す(上図)。
利点
結合ペダルを使用することには次のような利点がある。
- 足とペダルの位置決めがされる。
- クランク角360度に渡って、ペダルに脚力が伝達できる。ペダルへ伝達する力は、トウクリップより1割ほど大きい。
- マウンテンバイクでオフロードのがたがた道を走る時も、振動で足がペダルから外れることがない。
結合ペダルが付いていなくとも、付いているつもりで足を動かすと(持ち上げる)と、押し下げる方のペダルで他方のペダルに乗った足と脚を押し上げる負担が無くなり、軽く走ることが出来る。連結具がペダルの片面のみに付いた形(シングル)及び両面に付いた形(ダブル又はデュアル)がある。シングルの片面は普通の靴に使えるものもある。
ペダル踏面
シングルはペダルを軽くかつ薄くできて、ペダルすき間を大きく出来るので、コーナリングにおいてペダルを漕ぐことが出来る可能性が広がる。また、やや力伝達高率が大きいため、競技などの速度を重視する用途の自転車に使われる。ただし、ペダルを見て踏面が上を向いていなければ、裏返す必要がある。
デュアルは両面に連結具が付いているため連結部が常に上面に来て、着脱がやり易いので信号などで停止することの多い用途の自転車に向いている。普通の靴でも使えるように、回りにケージが付いたものもある。踏面(靴底と接触する部分)はプラットフォームと言われることがある。
フロート
靴のクリートとペダルを結合する結合ペダルの結合状態において、ペダリングで足またはひざを痛めないよう、ペダルに対して靴を自由に左右回転できることをフロートという。その範囲はメーカー型式によって7~9度。0~9度の範囲でフロート角を設定できるものもある。フロート角が大きいほど、靴をはずすことのできる角度(リリース角)も大きくなる。
メーカー型式によって次の3種類のフロートがある。
(A) 自由 好む位置に自由に動く。
(B) ばね 中立位置に戻そうとするばねの力が働く。
(C) 摩擦 規定角度内において、摩擦力に打ち勝って好みの角度にできるが、自由には動かない。
フロートは自分の足(靴)位置が確定できないことに対する補償であるという見方もある。自由にフロートすることは、滑りながら歩いているようなものだという見方もある。フロートがない方が靴からペダルへの力の伝達効率は高い。トウクリップにはフロートはない。フロートの付いた結合ペダルは、フランスのタイム社が1989年に始めて市販した。
リリース
ペダルと結合する時は靴を前に押すが、離す時はシングルリリース方式およびマルチリリース方式がある。
- シングルリリース
- 靴のかかと(踵)を、外にひねるとペダルとの結合が外れる標準の方式。
- マルチリリース
- 靴のかかとを、外、斜め上および上など、どの方向にねじっても結合を外すことができる方式。上にねじる場合は、やや大きな力が必要となっている。外しやすいことは、外れやすいということにもつながる。クリートはマルチリリースクリートを使う。
クリート張力
クリートの脱(リリース)張力が調整できる形及び着脱(エントリー及びリリース)張力が調整できる形がある。
クリート角
クリートを靴底に付けたときの靴底中心線とクリート中心線の作る角度。この角度で靴とペダルの角度が決まる。歩くときにつま先が前方ではなく外を向いている人は、ペダルに対するクリート(靴)向きも、それに見合って外にむけた方が良好なことが多い。
材質
本体材質は、アルミ合金、炭素繊維強化樹脂(CFRP、俗に言うカーボン)、チタン合金及びマグネシウム合金など。軸材質は、クロモリ鋼、チタン合金及びステンレス鋼など。
質量
各社のペダル質量(左右一組)を打点したグラフを右に示す。片側の質量のみを記載しているメーカーおよび左右一組の質量を記載しているメーカーがある。一組の平均質量は、ロード車用が約230gそしてマウンテンバイク(MTB)用が約380gである。マウンテンバイク用は種類が多いため質量のばらつきが大きい。質量は加速性能に影響する。ペダル及び靴のような回転体は、前進の直線加速と同時に回転加速も行う必要があり、軽量化は加速に対しては二重の効果がある。
質量バランス
ロード用の中には、ペダルの後方(かかと側)が前方(つま先側)より重くなっており、後方が常に下となるため、クリートをペダルに入れやすくなっている形がある。
ポップアップ機構
靴のクリートを入れやすいよう、ペダルのクリートを固定する部分がばねで30°起き上がる機構の付いたマウンテンバイク用のSPDペダルがある。ポップアップ部を踏むと水平になりケージが付いているので、一般の靴も使用できる。
互換性
SPDペダルとクリートの互換性を表2に示す。
(表が見切れる場合は横にスクロールできます)
区分 | SPD-SL | SPD-R | ロードSPD | SPD | ||
---|---|---|---|---|---|---|
ペダル | PD-7800 PD-7750 PD-6610 PD-R600 PD-R540 |
PD-7701 PD-7700 PD-6601 PD-6600 PD-5500 PD-R535 |
PD-6500 | PD-M959 PD-M647 PD-M540 PD-M520 |
PD-M858 | PD-M646 PD-M545 PD-M536 PD-M515 PD-M505 PD-M424 PD-M324 PD-M323 PD-A520 PD-A515 |
クリート | SM-SH-10 SM-SH11 |
SM-SH90 SM-SH91 |
SM-SH70 SM-SH71 |
SM-SH51 SM-SH56 |
SM-SH52 | SM-SH51 SM-SH52 SM-SH55 SM-SH56 |
選定
選定に於いては、結合ペダルに合った靴を選ぶのではなく、まず靴を選定しそれに合った結合ペダルを選ぶことが望ましい。このことを考慮して、あるグループまたは価格帯以上の自転車はペダルを付けずに販売している。
取付
SPDペダルのクランクへの取り付けは、15mmスパナを使うものと8mm六角レンチを使うものがある。締付トルクはいずれも35Nm。
軸のねじ
クランクに固定するため、ペダル軸には BC 9/16 x 20 tpi のねじが切ってある。BCは自転車ねじの記号。このねじをmmに換算すると14.3 x 1.27、これはメートルねじの M14 x 1.25 に近いが互換性はない。BMX車用のペダル軸のねじは BC 9/16 および 規格外のBC 1/2 の2種類がある。
ねじの手前には、スパナがかけられるよう面間15mmの2面取りがある。クランクの雌ねじに、ねじ込んで固定する。
左ペダル軸はペダリングによってねじが緩まないよう左ねじ(逆ねじ)になっている。ペダルの軸端面などにR(右足用)またはL(左足用)の刻印がある。ペダルレンチで外すときは、左ペダルは時計方向に回す。なお、右ペダルは右ねじが切ってあるので、はずすときは反時計方向に回す。別の言い方をすると、左右いずれのペダルも緩めるときはレンチを後に回し、締めるときは前に回す。なお、イタリアンは左右のペダルとも右ねじとなっている。
摂動
左ペダル軸を右ねじにするとなぜ緩む可能性があるかについて、良く使われる実験は次のようなもの。右手の親指と人差し指の先を合わせて丸を作る。左手の指で鉛筆の一端を軽く持ち、他端を右手の丸に入れる。丸を右回転させる(振る)と鉛筆は左回転する(丸を左回転させると鉛筆は右回転する)。鉛筆はペダル軸に相当し、左手の指はクランクのねじに相当し、そして右手はペダルに相当する。このような回転力による加振現象は摂動(プリセッション)と呼ばれることがある。
トウクリップペダル
概要
トウクリップを付けることのできるペダルまたはトウクリップの付いたペダル。トウクリップはペダルに付けて、靴のつま先(トウ)を固定する留め金具(クリップ)。ひも(ストラップ)と組み合わせて使う。トウクリップペダルには一般の靴が使えるが、トウクリップ用の靴もある。
現在はトウクリップペダルよりも、伝達効率および操作性のよい結合ペダルが普及している。トウクリップペダルは結合ペダルが出現する以前よりあった。結合ペダルより安価なものもある。
固定方法
一般に、トウクリップ取付ねじ用の穴がケージに2つ開いており、トウクリップをケージに2個のねじ及びナットで固定する。ナットには回り止めが付いている。
特徴
結合ペダルと違って、冬に金属クリートおよびペダルからの放熱がない。クランクの回転角360°すべてにおいて、ペダルに力を加えることができる。自転車通勤などで靴を履き替えたくない場合などに使われることもある。人にもよるが、靴の装着及び取外しの操作は結合ペダルの方がやり易い。
材質
トウクリップが金属またはプラスチックそしてひも(ストラップ)は繊維または革。
トラックペダル
トラック競技の自転車に使われるものは、トラックペダルと呼ばれる。
特殊仕様
トウクリップは使わず、幅広のひも(ストラップ)をペダルに対角線状に取り付けて足を固定する方式もある。ひもの長さは六角レンチでねじを回してひもを移動させて調整できるようになっている。
質量
ペダルの質量はロード用の結合ペダルと似ているが、全体としてはトウクリップ及びひもの分だけ大きい。全体としての質量は、マウンテンバイク用の結合ペダルの平均的な質量と似ている。
ハーフクリップ
ぺダルの前端に付け、靴先を入れて留める横U字形の大きなクリップ。クリップはペダルにねじで連結する。クリップで靴をペダルに固定することによりペダルの戻り行程においてもペダルに力を加えることができる。ひもで留めないのが特徴。材質はプラスチックまたは金属。トウクリップは、ひも(ストラップ)で留める。
ペダルエクステンダー
ペダル軸とクランクの間に入れて、クランクとペダルの距離を大きくする部品。ペダル軸を受け入れる雌ねじおよびクランクに付ける雄ねじが切られている。取付はペダルレンチで行う。左右一対となっている。有効幅(長さ)は20mm、25mmおよび30mmなど。材質はステンレス鋼およびチタン合金など。次のような人を対象としている。(1)つま先が外に向いていて、かかとがクランクに当たる人、(2)足の大きい人または(3)骨盤が広いために支障のある人(骨盤が広いから必要とは限らない)。なお、正しい発音はペダルイクステンダー。
ペダル反射器
ペダルに取付けて、夜間に自動車およびバイクの前照灯の光を反射して、運転手が自転車の存在を視認できるように加工したプラスチック製の安全用反射器具。ペダルは動いているので、反射光も動いて眼にとまりやすい。ねじとナットで固定した形および接着剤で接着した形がある。反射器取付穴の付いているペダルは多い。反射光の色は、橙色又は赤色であること(道路交通法 施行規則 第9条4)。米国の 消費者製品安全委員会(CPSC) は、ペダル前後に反射器(色は無色または黄色)が付いていなければならないと規定している。
シングルサイド ペダル
結合ペダルにおいて、片面(結合面)のみが靴と結合できるペダル。他面は一般の靴が使えるように平坦になっている。結合面に見えるペダル枠は平坦面の枠の裏が見えているもので、結合面には必ずしも必要な枠ではない。
クイックリリースペダル
工具を使わず手で容易に着脱出来るようにしたペダル。庭の散水ホースの連結器(カプラー)に似た構造となっている。ロードバイクの輪行でペダルを外す場合、折りたたみ自転車でペダルを外す場合または複数の自転車間でペダルを使い回しする場合(まれ)などに使われる。カプラーはクランクにねじ込んでおく。カプラーにグリースの付いた玉軸受が入っている。左右一対となっている。取外しペダルともいう。
トウクリップペダル
トウクリップを付けることのできるペダルまたはトウクリップの付いたペダル。トウクリップ取付ねじ用の穴がケージに2つ開いており、トウクリップを2個のねじ及びナットで固定する。ナットには回り止めが付いている。ケージにひも(ストラップ)を通す長穴が開いている。
トラック競技の自転車に使われるものは、トラックペダルと呼ばれる。
トラックペダル
競輪などのトラック競技の自転車に使うペダル。トウクリップおよびひも(トウストラップ)が付けられるようになっている。幅は狭い。ペダルの前後の板(ケージ)は独立している。ペダルすき間(ペダルの下死点におけるペダルと路面の距離)が大きくなるように配慮されている。本体およびケージの材質はアルミ合金など、そして軸はクロモリ鋼など。
BMXペダル
BMX車に使う、グリップピンの付いた平ペダル。ピンによって靴底がペダルとの間で滑らないようにする。片面のピンの数は8、10、12または14本。10本が多い。ピンは交換できる形および交換できない形がある。取外し交換ができるピンは雄ねじが切られており、2.5mmなどの六角レンチでねじ込むための六角穴が付いている。ピンは表から交換するペダルと裏から交換するペダルがある。ペダルピンともいう。ペダル本体材質はアルミ合金など。軸材質はクロモリ鋼など。陽極酸化により着色している。
折りたたみペダル
折りたたみ自転車などに付けて、運搬時に折りたたむペダル。折りたたみ自転車によっては標準として装備されている。ペダルの折りたたみができると、駐輪場などで自転車を押していく場合にペダルが足に当たらない。
クランクに取付けるねじは標準のBC9/16 x 20山(ISO、JIS D9461)となっている。折りたたんだときのクランクからの水平方向の出っ張りは、少ないものは43mm。本体材質はプラスチックまたはアルミ合金。
エッグビーター
2001年にCrank Brothers社が商品化した卵の泡だて器(エッグビーター)のような形状をした 結合ペダルの商品名。ペダル座は、"コ"の字形の4個の棒だけという簡単な構造。
隣り合う2個の棒に靴を乗せる。ばねは向かい合った1組の棒だけに付いている。ばねはクリートとの連結および解除のときのみに使われ、結合後は自由になり働かないので、張力の調整はできない。クリートはSPD対応の靴に取付できる。SPDと同じく、結合するときは靴を前方に滑らせ、外すときはかかと外にねじる。フロートは6°そして開放角(リリース角)は15°または20°。
特徴は、(1)ペダルと連結できる面が4面あること。(2)泥詰まりしにくいこと。(3)軽量であること。
問題点は、(1)ペダル軸と靴底との距離(スタック高さ)が大きいこと。(2)ペダルと靴底との接触面積が小さいこと。(3)クリート入れ出しのばね力調整はできないこと。
主に、オフロードを走るマウンテンバイクおよびサイクロクロスバイクに使われることがある。材質は、本体が鋼またはチタン合金、軸がクロモリ鋼、チタン合金またはステンレス鋼そしてクリートが銅合金。左右1組の質量は材質に応じて、170~280g。エッグビーターに差し込むと平ペダルとなる部品(右端図)を他社(Indiegogo)が作っている。
軽量ペダル
ペダル、クリート及び固定ねじを合わせて、質量が左右一対で124gと軽量にしたペダル。内訳はペダル72g、クリート40gそしてねじ12g。専用のナイロン製のクリートを使う。
ペダルには踏面がなく、クリートが踏面を兼ねる。クリートはロード用のSPD靴に取り付けする。ペダル軸の外筒を左右に動かして結合する。クリートのフロートは4°または0°。
転倒した時にクリートが自動的に外れないのが欠点。クリートが厚すぎて歩きにくいのも欠点。
ペダルストラップ
ペダルに靴を固定するための帯。平ペダルなどに付けて、SPDなどの結合靴でない一般の靴に使う。ストラップを左右に取付ける形および対角線上に斜めに取付ける形がある。ペダル行程の「引上げ」行程においてもペダルに力が加えられる。
ペダルの足位置
足をペダルに載せる位置は、足指の付け根のふくらみ部がペダルの中央に来る位置とすると、力が効率よく伝達されて、ペダルを軽く漕ぐことが出来る。
踏み幅
左右のペダルの中心間の水平距離はトレッド幅(踏み幅)または単にトレッドと呼ばれる。トレッドは踏むという意味。踏み幅は大腿骨の関節間の距離より短いことが望ましい。踏み幅を広げる部品としては、ペダルエクステンダー(ペダルアダプター)がある。
踏み幅に影響する要因は靴幅の他、クランク外面間の水平距離を表すQファクターに影響する要因がある。Qファクターはトレッド幅より若い用語で、ペダルのトレッドがタイヤのトレッド(タイヤが路面を踏む部分)と紛らわしいので用いられるようになった。
しかし、実際にペダリングにおいて問題になるのは、クランク外面間距離よりも踏み幅。踏み幅を調節できるようにしたペダルもある。
参考: Qファクター
ロープロファイル
スタック高さ(ペダル軸芯から踏面までの距離、右図)が短いペダルは、ロープロファイルまたはロープロファイルペダルと呼ばれる。利点は、足からペダルへの力の伝達効率が良いこと及びペダル接地角が大きくなること。ほとんどのロードバイクペダルはロープロファイルとなるように設計されている。ペダル軸芯から踏面までの距離を短くするために、針軸受(ニードルベアリング)を使ったものがある。
コーナリング傾き角度
ペダル下死点において、ペダルが接地する自転車の傾き角が大きいと、コーナリングのとき、安全にペダルを漕ぐことの出来る可能性およびコーナリングの前に速度を落とさなくて良い可能性が広がる。ただし、競技でない場合は、ペダルが路面にあたらないよう、傾いた側のペダルは上げ、ペダルを漕がない方が安全である。
傾き角(ペダルすき間とも言う)に影響するペダルの要因としては、ペダル幅、ペダル軸芯から下面までの距離および形状がある。ペダル幅は靴幅と関連する。ペダル厚さはペダル軸太さおよび軸受寸法などと関係がある。ペダル軸はクロムモリブデン鋼などの強度のある材料を使って、できるだけ細く作られる。軸受は外側を針状軸受とし外径を小さくし、内側は 玉軸受としたものもある(針状軸受は軸方向荷重を受けられないので、他方は軸方向荷重の受けられる玉軸受とする必要がある)。
参考: コーナリングの傾き
ペダルすき間
ペダルすき間は、ペダルと路面の距離を表す場合および路面と接する傾き角度を表す場合がある。
路面距離
ペダルの下死点における、ペダルと路面の距離。ペダルクリアランスとも言う。ペダルすき間にはボトムブラケット(BB)高さ、クランク長およびペダル厚さなどが影響する。オフロードでは地面の障害物に影響される指標となる。コーナリングにおいては、ペダル踏み幅およびタイヤトレッド幅も影響する。ペダルすき間が大きいと、コーナリングにおいてペダルを漕げる可能性が大きくなる。
傾き角度
コーナリングにおいて、ペダルが路面と接する時の、自転車の傾き角度。ペダル接地角(JIS)またはコーナリングクリアランスとも言う。JISの規定は、「ペダル接地角は25゜以上でなければならない。」(JIS D9301)。CPSCの規定は、「自転車はペダルが最下位にあるとき、ペダルおよび他の部品が地面に接触せずに、両側に25度傾けられること。」(CPSC 16CFR1512)。
プラットフォーム幅
ペダル踏面の幅。ペダル軸上の踏面の幅(最も広くなっている)で表す。幅が広いほど足(靴)からの力の伝達が良い。上図のペダルのプラットフォーム幅は、66mm。
強度
JIS D9416(自転車-ペダル)に規定されているペダルの強度を次に示す。
- わんの強度
- 内わん及び外わんは、直径の両端に荷重を加え、その内径を3%圧縮したとき、破壊してはならない。
- ペダルの強度
- クランクはめ合いねじ部で水平に固定し、鋼板当て板(長さ100mm、幅50mm、厚さ5mm)を、その中心位置が固定面から60mmの位置に置き、その中心に鉛直に1800 N(ニュートン)の荷重を5分間加えたとき、ペダル軸およびペダル体にひび割れ、折損などが生じてはならない。
ペダル軸の強度
ペダル軸を固定具に水平に固定し、固定: 面から60mmの箇所に質量10kgのおもりを150mmの高さから落下させたとき、ペダル軸にひび割れ、折損などが生じてはならない。
動的耐久試験
JIS D9416に規定するペダルの動的耐久試験は次の通り。
1組のペダルを試験用回転軸の左右に、中心線が同一となるように取付ける。左右それぞれのペダルに90kgのおもりを荷重振動が最小限になるように、ばねでつる。回転軸を毎分100回の速度で10万回転させたとき、ペダルのいかなる部分にも目に見える破損があってはならない。ペダルに二つの踏面がある場合は、5万回転後にペダル踏面を180度反転させる。
工具
クランクからペダルを外すか又は取り付ける時に使用する、口の開きが15mmの専用レンチがある。反対側が32mmのヘッドスパナになっているものもある(下写真)。一般のスパナの厚みが大きくて入らない場合に使用する。ペダルスパナとも言う。左右いずれのペダルも、ペダルレンチを前方へ回すと締まり、後方に回すと弛む。
ペダル速度
ペダル速度は任意の点(例えば上死点)をペダルが通過する速度。クランク長およびケイデンスに比例する。
クランク長およびケイデンス(ペダル毎分回転数)を半角数字で入れて、[計算]を押して下さい。ペダル速度が出ます。
- 計算例
- クランク長 170mm そしてケイデンス 80rpm の場合、ペダル速度は 1.42m/s。